MUDDY WALKERS 

dairugger

 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第29話「宇宙砦の反乱」

dairugger

その証拠には、現に我々は彼らの命令一つで、
働かされているじゃないか。

dairugger

青い光の星
 女王ズノウが教えたガルベストン前線基地の方向にある星、ガルベストンの宇宙砦があり、連れて行かれたエルドラ星の男たちが奴隷として使役されている。

あらすじ

 女王ズノウからの情報でガルベストン前線基地の方向を掴んだ戦艦ラガーガードと連合艦隊は青い光の星で合流する。しかし、この星はガルベストンの宇宙砦のある星だった。砦で働かされていたエルドラの男たちは地球軍の攻撃に呼応して決起を目論む。

見どころ

「ラガーガード、、こちら連合艦隊、、」、火山の多い惑星の基地で地球艦隊の通信を傍受するガルベストン基地、「フフ、、飛んで火に入る夏の虫とは奴らのことよ」、ほくそ笑む細面のガルベストン士官の様子でガルベストンが地球艦隊に罠を仕掛けていることが分かる。「待て、シイラ」、後続する艦が合流してからでも遅くはないと上役風の黄色い髪の男が声を掛ける。青い光の星の宇宙砦は前線基地を守る最後の砦である。細面の顔の士官、シイラの後ろには3人のエルドラ人の班長がいる。どうやらズノウが言っていたエルドラの男たちはここで働かされていたようだ。

dairugger

 トンデモ司令官ルチアーノ編第5弾、女王ズノウの言う「青く輝く星」に到着した戦艦ラガーガードは先に到着していた連合艦隊と合流するため、青く輝く星の高空を飛行していた。美しい光景にクルーらもついリラックスする。甲斐の食事シーン、化粧をする加賀やキリガッスなど、彼らの素顔が見られる珍しい場面である。が、それはガルベストンの隊長ラトールの計算していたことだった。

 艦隊が合流した所を見計らって、ラトールの作戦に呼応したシイラが地球艦隊にミサイル攻撃を行う。ダイラガーが出撃し、ミサイル基地を次々と叩き潰すが、実はそれはシイラの罠であった。バトルマシンが出現し、ダイラガーと艦隊は分断される。そしてシイラは戦いを有利に進めるため、基地で働くエルドラ人の班長たちを呼び集める。「たとえガルベストンが勝ったとしても、我々は奴隷のように彼らの手足となって働くしかないんだ」、基地の一角でなぜそう思うと尋ねる年配の男に、言葉を発したエルドラの若い男が答える。

dairugger

「その証拠には、現に我々は彼らの命令一つで、働かされているじゃないか。」

 今週の言葉はエルドラの若い男、若い男の言葉で、自分たちが奴隷状態であることに気づいて慄然とするエルドラの男たち。シイラにほだされて地球と戦うと言っていた彼らは酷使されてるとは感じていたが、自分たちが奴隷だとは思っていなかった。

「このままガルベストンを宇宙にのさばらせていては、
エルドラも永久に平和を取り戻すことはできないと思う。」

 「お前たち! 何をしている!」、若い男がそう言った時、彼らを探していたガルベストン兵が銃を突きつけて誰何する。若い男を突き倒し、会話の内容を問い質すガルベストン兵、止めに入った別の男はその場で射殺されてしまう。「この!」、年配の男が兵士を押し倒し、エルドラの男たちはシイラの司令室に向かう。「どうやらお前の言うことの方が、正しかったようだ」、司令室に押し入り、年配の男がシイラに兵士から奪った銃を向ける。

dairugger

基地からの戦闘機隊の攻撃に苦戦していたラガーガードと地球艦隊は離陸して青い光の高空に向かう。再び見た眩しい光の光景にホッとする間もなく、敵艦からの砲撃があり、伊勢と伊達は地球艦隊がラトール艦隊に包囲されていることを知る。「こうなったらもう袋のネズミだ」、地球艦隊を追い詰め、上機嫌のラトールはシイラの基地にコンタクトを取る。しかし、すでに基地は反乱を起こしたエルドラ人たちに占拠されていた。

 戦いが終わり、ラガーガードでは投降したエルドラ人たちが安芸に戦いへの参加を志願する。死んだ年配の男の代わりに新たにリーダーとなったエルドラの若い男の熱意に、安芸は志願を認める。独断で志願を受け入れてしまったと報告する安芸に、伊勢は「そんなことより俺はお前の成長の方が嬉しい」と返す。ズノウとの約束通りエルドラの男たちを解放し、戦艦ラガーガードと連合艦隊はいよいよ前線基地での決戦に向かう。

dairugger

「ええい! ラトールめ! 抜かりおったな!」、戦いの一部始終を中継し、前線基地への最後の砦が落ちたことを知ったルチアーノは怒りに震える。

「俺はテレスが一年掛かってできなかったことを短期間でやり遂げてみたいのだ」、ルチアーノの就任(22話〜)以降、テレスが一年掛かってもできなかったほどのハイペースで次々と屍れていくガルベストンの隊長たち、テレス時代(1〜21話)に戦死した隊長はラッカルだけだが、ドレイク、グラモン、チャーチ、ラフィット、ドールン、そしてラトールとすでに6人の隊長が屍れ、惑星探査は事実上中止された。地球侵攻という軍事的賭博に挑んだガルベストンは、前線基地での戦いの前に、すでにかつてないほどの損失を受けている。

キャラクター紹介

dairugger

エルドラの男

 宇宙砦で働くエルドラ人たちに彼らが奴隷状態であることに気づかせた若いエルドラ人の男、それまでエルドラ人たちは過酷な労働環境に辟易しつつも、自分たちが奴隷であるとまでは思っていなかった。地球と戦えば解放されるという年配の男に対し、「このままガルベストンを宇宙にのさばらせていては、、平和を取り戻すことはできない」と述べた彼の結論は、奇しくも3万5千光年離れた地球にいる警備軍の長官若狭と同じものだった。声は古谷徹に似ている。

dairugger

ラトール

 ラトール艦隊を率いるガルベストンの隊長で、シイラの上官(タカ)、禿チャーチと同じくルチアーノが本国から引率してきた将校の一人と思われる。シイラと共同して地球艦隊に策略を巡らすが、エルドラ人の反乱で計画が狂い、ダイラガーの攻撃を受けて戦死する。

dairugger

シイラ

 惑星基地の指揮官、ラトールの部下(タカ)だがラトール同様ルチアーノが引率してきた士官かどうかは判然としない。むしろエルドラ人たちとの会話の内容から、より以前から基地の指揮官をしていた形跡がある。基地では支配者的な地位にあるシイラだが、実は見た目ほど悪い監督官ではなく、戦闘参加を条件に解放を約束する、エルドラ人たちを作戦会議に参加させる、反乱の際には発砲を躊躇するなど彼らの待遇に配慮している姿が見られた。問題だったのは彼の属していたガルベストン帝国の悪名が宇宙に轟きすぎ、彼がエルドラ人の待遇改善にいくら努力してもガルベストンの存在自体がエルドラにとっての悪、宇宙の敵とエルドラ人に認識されてしまったことである。投降の際に捕虜になった形跡もないことから、おそらく反乱の際に死亡したものと思われる。

今週のバトルマシン(6分40秒)

dairugger

武器:三連装砲塔、首ビーム

   シイラ隊のバトルマシンはマシンAに似た火力支援型マシンだが、一見して分かることはマシンAよりも2倍近く大きいことであり、見た目上はダイラガーよりもはるかに大きい。これはシイラ隊が惑星基地に駐留する部隊であり、ラトール隊のような艦隊ではないことから、艦艇搭載のバトルマシンより躯体を大型化できたことがあるかもしれないが、バトルマシンが元来惑星探査用の艦載マシンであることを考えると、地上運用を前提にしたこの巨大マシンはこれらとは別系列の武器と考えるのが適当である。つまり、タイプAとは関連性がなく、元々ガルベストン軍に配備されていた歩行戦車が原型のマシンである。つまり、これは本来の意味でのバトルマシンではない。搭載している武器も火砲系のみで近接戦闘を得意とするダイラガーには必ずしも適当な機体ではなく、また、火力も巨大砲塔を持つ見た目の割に不十分である。バトルマシン以前の旧式機であり、戦闘時間は最長の7分弱に達するが、大部分は艦隊戦とエルドラ人蜂起の場面のため、本格的な戦闘に入ってからの戦闘時間は50秒足らずである。

<<BACK  NEXT>>

 MUDDY WALKERS◇