機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー
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■第25話「光芒惑星の苦闘」
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俺にもう一つの勲章が増える。
かつて全ての隊長が手こずった地球、 このバトルマシンを、 俺が、この手で、、フハハハハ! |
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光芒惑星
極めて自転の速い星で星の内部が流動化している結果、全星が強力な磁場で覆われている。付近の恒星からの太陽風を受け、星全体がオーロラに覆われて発光している。 |
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■あらすじ
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連合艦隊の嚮導艦となったラガーガードは前線基地への航路の途上で謎の光芒を発する惑星を発見する。調査に向かった安芸、だが、そこには地球攻略に向かうグラモン艦隊の姿があった。
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■見どころ
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トンデモ司令官ルチアーノ編第1弾、24話で新司令ルチアーノはグラモンを地球攻撃の司令官に任命したが、良く考えると結構ひどい話である。地球までは遠く、途中にはあの宇宙要塞がある。連合艦隊が基地に向かっているとはいえ、地球にもそれなりの守備軍がいるはずで、それをたった1個艦隊で突破しろと言われてもグラモンも困るだろう。命令をサボタージュして光芒惑星にシケこんだグラモンにルチアーノはご立腹である。
「俺はテレスが一年掛かってできなかったことを短期間でやり遂げてみたいのだ」、これから彼はテレスが一年掛かっても失わなかったほどの隊長と戦力を失うことになるのだが、とにかく先発隊のグラモンは宇宙要塞にさえ行かず、途中のどうでもいい星で艦隊を停泊させている。シム殺し(11話)の件で悪名高いグラモンだが、実はなかなかの隊長である。停泊した星でも戦闘機術の訓練に余念がない。
光芒惑星に調査に向かったクウラガーは惑星の磁場を通過して半分以上のエネルギーを失う。超光速航行も普通に行える両軍の戦艦やバトルマシンはこういう環境に滅法弱いらしいのだ。「磁場の弱いところを調べずに突入してきた」、さすが歴戦の勇将グラモン、見る所はちゃんと見ている。
「俺にもう一つの勲章が増える。かつて全ての隊長が手こずった地球、このバトルマシンを、
俺が、この手で、、フハハハハ!」
というわけで、今週の言葉はグラモン隊長。ルチアーノに栄えある地球攻略艦隊指揮官に任命された彼はエネルギー不足のクウラガーを攻撃するよう命じ、予備隊にラガーガードや他のラガーマシンの光芒惑星への侵入阻止を命じる。ドレイクの影に霞んでしまったが、実はかなり有能な隊長である。バトルマシンも出撃させ、彼はラガーチームを追い詰める。しかし、伊勢もバカではなかった。サーチ博士の分析で光芒帯がラガーマシンのエネルギーを吸い取ることを知った彼はマシンを収容し、ラガーガードごと惑星に突入させる。
結局ラガーガード強襲が命取りになり、グラモンが光芒惑星の戦いで戦死したことを知ったルチアーノはチッと舌打ちする。「バカめ! あんな所でやられおって!」、そう言いたい気持ちは分かるが、そもそも最初の命令に無理がなかったか? ルチアーノはラフィットをグラモンの後任に指名し、美形チャーチに前線防衛を強化するように命じる。23話ではラフィット救出に活躍したチャーチだが、テレス派の隊長のため、任命はされたものの、その後は8話のローラン同様、艦隊を取り上げられて左遷された(出てこない)ようである。
なお、設定矛盾、いや、ガルベストンの名前にはチャーチ名は多く(一郎とか太郎といった感じだろう)、前線司令部には少なくとも三人のチャーチ(参謀チャーチ、美形チャーチ、禿チャーチ)が登場する。次回でやられる禿チャーチはこのチャーチとは別人である(禿チャーチの作戦を参謀チャーチが説明している。また、禿チャーチの死後に美形チャーチが登場している。参謀チャーチと美形チャーチはテレス時代に同時出演している)。このチャーチ三人組については、禿チャーチが戦死する次回でまとめて紹介する。
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■キャラクター紹介
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グラモン(CV銀河万丈) |
比較的早くから登場していたが、ドレイクやラフィットの影に霞んで今一歩目立たなかったガルベストンの隊長(日和見)。シムは殺害したが、バラタリアの裏切りではテレス側に付き、ラフィットに反発していたにも関わらず、ルチアーノには従うという態度が曖昧だったことも、ハトタカ両派に当てはまらない彼の評価を難しくしている。ルチアーノ体制ではラフィットに次ぐナンバー3の地位にあったが、テレス、ルチアーノ双方に仕えながら両者から評価されるというのは異例の扱いである。実は根っからの職業軍人でこれといった派閥も思想信条もなく、シムの殺害も規律に厳格なだけだったのかもしれない。戦闘機術にこだわりを持つ所を見ると、彼自身戦闘機パイロット出身だった可能性がある。ドレイク同様、部下にも信望のある優秀な将帥だったと思うが、光芒惑星の戦いでダイラガーの攻撃を受けて戦死する。
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美人助手 |
ドクター・サーチの助手を務める赤髪の女性、かなり優秀な女性らしく、サーチ同様、惑星の大気分析から看護婦までをこなすマルチな才能の持ち主である。第5話から登場し、サーチ同様作品の後半まで登場し続けるので比較的登場頻度は高いキャラ。
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■今週のバトルマシン(2分50秒)
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武器:ビーム砲、対艦ミサイル、ユニバーサルアーム |
グラモン隊のバトルマシン第2号「マービル」、軽量級メカロボの第1号と同じく、グラモン隊のマシンは戦闘能力や火力よりも機動力を重視している。タコに似た形状の4本足のマービルは見た目とは裏腹に高速で俊敏に空中を移動する(まさに空飛ぶタコである)。また、腕に相当する2本のユニバーサルアームは伸縮自在で内部に掴み腕を内蔵するスグレモノである。また、ミサイルを装備し、戦艦などを攻撃することもできる。4本の足で着地はできるが、その実はマリウス隊のマシンのような空中バランサーの機能の方が大きいようであり、歩行能力は高くない、というより全くない。
高機動力を生かし、エネルギー不足のクウラガーを集中的に狙ったり、合体寸前のダイラガーを攻撃するなど巧妙な戦術を駆使したが、完全合体後のダイラガーには30秒足らずで粉砕された。しょせんエビ(ドレイク3号)だタコだといった甲殻類、軟体類であのダイラガーに勝てるはずはないのである。
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バトルマシン語録 |
「逃がすな! 奴らはだいぶエネルギーを失っている!」
(浮上したクウラガーチームを空中で追跡)
「し、しまったぁっ! もう一息というところだったのに!」
(カイラガー、リックラガーが駆けつけ、ダイラガーに合体される)
「今だ! 合体途中の無防備なところを狙え!」
(気を取り直し合体直前の加賀ハルカのマシンを狙撃)
「しめた! やったぞ!」(加賀マシンを墜落させ会心の笑みを浮かべる)
「しまったぁっ!」(再度ダイラガーに合体され、不覚の叫びを上げる)
合体直前を狙うという今までにない戦法でハルカを気絶させるなど、かなりいい線行っていたマービルだが、やはり軽量級マシンが災いしたのだろうか、苦手な地上歩行中では完全合体のダイラガーには為す術もなかったようである。コクピットも他のマシンより狭く、着地後はほとんど動けなかった所を見ると、実は大型のガルベストン戦闘機のようなマシンで、操縦もかなり難しかったのかもしれない。
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■テレス司令の部屋
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テレスが更迭され、ルチアーノ体制に変わったガルベストン前線司令部だが、前任者のテレスは司令官であるとともに古き良きガルベストン美術の擁護者でもあった。武辺一辺倒のルチアーノ時代には見られなくなった彼の美術品コレクションの数々をご紹介したい。
前線司令部時代に広大な彼の司令室に掲げられていた裸婦の絵は彼のお気に入りである。この絵には二種類があり、上のように裸婦が横たわっている絵と足を開いている絵とがある。前者は前線司令部に、後者は彼の旗艦に飾られている。
後半以降は降格されるテレス氏だが、前線時代の彼の部屋はさながら美術館であった。
探査基地に赴任して以降は降格で待遇も悪くなったため、前線時代の広壮な趣味は鳴りを潜めるが、それでも居所には必ず絵画など美術品を飾る趣味人ぶりは健在のようである。これら彼の所蔵品(と思われる)美術品は作品にここで紹介しきれないほど登場しているので、興味のある方は番組を視聴してもらいたい。
番組を通してこれら美術品の傾向を眺めると、どうもテレスは前衛的な美術品には興味がなく、惑星が破壊される前の古いガルベストン星の文化に傾倒があるようである。裸体画や風景画などのモチーフになっている緑野は現在のガルベストン星では失われており、彼の言う崩壊以前の地球に似たガルベストン星の様子はこれら美術品を通してしか知ることができない。また、数多く飾られている槍や刀を持ったおどろ恐ろしげな彫像はガルベストンのよろずの神々と思われ、地球より尚武的なガルベストンの気質を伝えている。
敵対する地球側からはガルベストンの中でも話の分かる人物、和平派として知られるテレス氏だが、これら美術品の傾向から彼の性格を分析するに、彼は崩壊しつつあるガルベストンでは復古主義的傾向のある人物であり、現在よりも過去や将来に崇高な価値を置くルサンチマンだと考えられる。
ダイラガーの制作者はこの番組を作るにあたり、戦前戦中の日本社会の様子を研究した節が見受けられるが、その視点からテレスに似た人物を探ると、例えば吉田茂などは作品でもテレスにごく近い位置、性向の人物だったと思われる。同じく和平派であり、高位の官僚であり、そして欧米文化に通暁するもののその本質は保守主義者であった。好戦的な主戦派とは別に、このように二種類の「保守」を使い分けて描いていることは他の作品には見られない、この作品の大きな特徴の一つである。
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