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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第13話「心の中の敵」

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戦いは多くの場合、
弱点を見せまいとして起こるものだ。
お互い弱点をさらけ出した時、
仲良くやれるんじゃないかな。

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第6恒星系第5惑星
 第15恒星系の途上にある惑星、天候の変化は激しいが、可住惑星としては有力な星である。エンジンが故障したラガーガードが緊急的に停泊したが、予想以上に長く停泊することになる。実は恒星系から離れつつある星であり、いずれ漂流惑星となる星である。

あらすじ

 第15恒星系に向かっていたラガーガードのエンジンが突然出力低下し、艦は点検整備の必要に迫られる。停泊可能な惑星を捜索したラガーチームは惑星を発見するが、その星はすでにガルベストン、ラフィット艦隊が停泊している惑星であった。

見どころ

 第1話以降毎週毎週主人公らと死闘を繰り広げているガルベストン帝国、しかし、彼らとの戦いはこれは戦争といえるものなのだろうか。地球側はすでに3個艦隊が全滅し、最前線の宇宙要塞からラガーガードまでの空間は臨戦態勢にある。しかし、戦いに備えはするものの、彼らの本星も根拠地も分からず、平和的な探査活動になぜ執拗に付け狙われるのか、その答えを出せる者はまだ誰もいないのだ。

安芸 「地球は、我々の銀河探査をどう思っているんでしょうか? 2隻の支援艦隊は確かに苦労して来てくれました。しかし、いつまでこのままでいられるか。」
伊勢 「第15恒星系で支援艦隊と合流するために、支援体制は作りつつある。もうしばらく待て。」
キーツ 「しかしキャプテン、地球は宇宙要塞を攻撃されたことで、ガルベストンの攻撃目標が地球にあると思っているんじゃないでしょうか。おそらく地球は、我々がガルベストンの妨害に遭って、苦労して探査を続けているとは思っていないんじゃないですか? この分では、第15恒星系へもどの程度の支援艦隊を派遣してくれるのか分かりません。キャプテン、教えてください。地球は我々の活動にどの程度の理解を示してくれているんです? 我々だって、地球とサラ星、ミラ星の三惑星連合ばかりでなく、銀河の平和のために働いている! そういう気持ちで働きたいんです。」
ウォルター 「キャプテン、この前我々と仲良くやれたシムという兵が殺されてしまったのは、結局、ガルベストンの上層部にいる者が、シムが裏切ったと決めつけたからじゃないですか? 要するに、彼らは前線にいる者の気持ちを知らないということじゃありませんか。我々だって、いつシムのような運命になるか、、地球の幹部だって、我々をどのくらい理解しているか、分かりません。」
安芸 「キャプテン! 教えてください!」
ウォルター 「地球が、何を考えているのか?」
キーツ 「もう我々は、ただ駒のように使われていることに、耐えられません!」
伊勢 「安芸、ウォルター、キーツ、お前たちには失望したぞ!」

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 ガルベストン側については、地球の宇宙進出はこれまた理解不能なものである。出すぎた真似を戒めようと何度か熾烈な攻撃を掛けたが地球側は屈する気配がなく、探査艦ラガーガードの航海は続いており、次々と支援艦隊を編成しては彼らの領域に侵入してくる。惑星探査を命じられた司令テレスについては、このまま武闘路線を続けていて良いものかと考えるところである。

 第15恒星系に向かう途中の探査艦ラガーガードでも進展しない状況に乗員の苛立ちが募っている。特に前々話のシムの殺害は彼らに衝撃を与えた。ガルベストンの攻撃の苛烈さに地球政府は怖気付き、本土防衛に手一杯で宇宙の彼方の彼ら探査隊のことなど忘れているのではないか。シムのように切り捨てられるのではないかと安芸たちはキャプテン伊勢に直訴する。そんな彼らを伊勢は一喝し、クルーの不満はますます高まる。そして艦のエンジンが故障し、彼らは惑星に不時着を余儀なくされる。そこにはやはり艦の損傷で停泊中のラフィット艦隊がいた。戦闘を懸念する伊勢に艦長アシモフは苦笑して答える。

「戦いは多くの場合、弱点を見せまいとして起こるものだ。お互い弱点をさらけ出した時、仲良くやれるんじゃないかな。」

 艦長の大胆な提案でラフィット艦隊に率直に状況を説明したラガーガードはガルベストン艦隊の監視の下、短期間の滞在を条件に惑星の入江に着水する。そうなのだ、度々交戦しているが、実は彼らの間に正式な交戦関係は一度もないのだ。前線基地の司令テレスはこの偶然に両勢力の協調のチャンスを模索する。損傷したラフィットに艦の修繕後直ちに基地に帰還するように命じるテレス。しかし、ラフィット艦隊の修理作業は遅れていた。

ドレイク「私は、ラフィット隊長と地球探査隊の出会いに期待しています。」
テレス 「ドレイク、、」
ドレイク 「もしお互いに今のまま戦わずして別れることができたら、きっと新しい道が開かれると。」
テレス 「そうだ、それを期待している。」
グラモン 「しかし、あの惑星はかなり有望な星と聞いております。それを放棄してまで、ラフィット隊長を呼び戻すおつもりですか!」
テレス 「我々は今後の作戦をじっくり考えて見る必要がある。帰って来させる! 価値ある星を我々が立ち去るのを見れば、地球も我々の見方を改めるかもしれない。これは、一つの賭けだ。」

 互いの艦が目に見える距離でガルベストン艦を遠望していた伊勢は彼らの意図に懸念を覚える。「こんな目と鼻の先にいながら、言葉も交わさぬとは」、交信を拒絶するラフィットに、実は目の前の艦隊は前哨で、増援を待っているのではないかと言う伊勢にアシモフは顔を曇らせる。一方前線基地では武闘派のバラタリアがテレスにラガーガード撃滅を直訴していた。「我々は今後の作戦を見直す必要がある」、バラタリアを退席させ、テレスは部下たちにラフィット艦隊後退の意味を伝え、「地球も我々に対する見方を改めるはずだ」と告げる。そして、修理を終えたラフィットは命令通り惑星からの撤退を開始する。が、先の交信拒否が災いし、それは誤ったシグナルを伊勢に送った。ガルベストンの増援が到着したと判断した伊勢はダイラガーを出撃させ、ラガーガードは戦闘態勢に入る。

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「これはどういうことだ! 我々は前線司令部の命令で引き上げるところなのだぞ!」、ラフィットの言葉に愕然とする伊勢。「そちらがその気なら、我々も受けて立とう!」、ラフィットもバトルマシンを出動させ、両軍は惑星上空で対峙する。誤解に気づいた伊勢はダイラガーに戦闘中止を命じ、怒り狂ったラフィットも発砲中止を命じると、両軍のバトルマシンは砲火を交えることなくそのまますれ違う。そしてラフィットの艦隊はダイラガーとラガーガードを置いて惑星を去る。

 「私はお前たちに謝らなくてはならない。戦わなくてはならない敵は目の前にいるのではなく、俺の心の中にいたんだ。話し合いを求めながら、俺は相手を心から信用していなかった」、ラフィットが去った後、安芸らチーフを呼び自分の不明を詫びる伊勢、「理解し合う絶好のチャンスを危うく潰してしまうところだった」、危うい所で砲火を回避し、地球とガルベストンは初めて戦わずして別れたが、それが何を意味するのか、この時点で答えられる者は誰もいない。

 藤川得意の心理劇、ダイラガーも戦わず、両軍とも一弾も撃たないにも関わらず、凄まじい緊迫感のある話である。

キャラクター紹介

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ウォルター・ジャック (CV森功至)

 ラガーチームの地上部隊、リックラガーチームのチーフである気のいいアメリカ人、実家は農家でロデオ好きの弟がいる。マジックが趣味。陽気な性格だがアメリカ人らしくやや粗忽なところがあり、リーダーの彼の不注意でチームのメンバーが危険に晒されたことは一再ならずある。リックラガーチームの負傷率は高く、これは最終話までパティしか入院しなかったクウラガーチーム、入院者すらいないカイラガーチームと比べるとウォルターを初めとして全員が負傷して入院(サーチ医院)したという輝かしいものだが、多くは指揮官のウォルターの過失である。本人も注意力散漫なところがあり、ガルベストン兵士に撃たれそうになったところを他のメンバーに助けられたこともあった。なお、クウラガーチームのパティとは仲が良く、互いにファーストネームで呼び合う仲である。バーボンを好む成人男性で、非番の時には安芸らとグラスを傾けている。

今週のバトルマシン(0分)

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喋るダイラガー

今週はバトルマシン戦はなかったので、そういう場合のリザーブ企画として、スーパーロボ・ダイラガーの機能を紹介したい。計り知れないほどの性能と多機能を持つダイラガーだが、基本的には金属でできているはずなので合体した顔部分はこのように唇を真一文字に結び、いかなる苦戦の際にも表情に変化はないはずである。しかし、実際の戦いにおいては表情に変化があることが認められている。

dairugger見ての通り、どうも電撃など受けると口を開いて叫んでいるようであり、一応機械なのでダイラガー自身が苦痛を感じるとかいうことはないはずである。これは設計段階からの仕様のはずだが、どういう機能なのだろうか?

 一つの解釈として、合体後のダイラガーの操縦装置は主操縦士の安芸に移るのだが、今まで見る所、合体や分離以外で彼がダイラガーの多すぎる武器を使用する際にスイッチやレバーを操作している様子は見られない。ダイラガーは多機能でいちいちスイッチやレバーを操作していてはボタンがいくつあっても足りないことがある。そもそも操縦士が15人も必要なロボだ。

dairugger 多様な操作を迅速に行うため、おそらくダイラガーの武器装置は音声入力であり、これはこれまでのダイラガーの流れるような戦いぶりを見ても納得できるものがある。となれば、件の口は金属打ち出しのレリーフではなく形状記憶合金でできたスピーカーであり、彼が必殺技を繰り出す度に「ダイラガー・ソード!」とか「ダイラガーパーンチ!」と敵に向かって叫んでいるのだ。操縦士も15人いるので、強力な電波妨害やインターホンがやられた場合に各々の操縦士に確実に主パイロットの意思を伝える実用性もある。また、あえて技名を叫ぶことで敵の戦意を喪失させる意図など考えられる。そういうことであれば、ダイラガーが合体直後に気合を入れ、敵を威嚇するポーズを取っていることも理解できる。筆者はあれは合体後の機能チェックだと思っていたが、途中から叫ぶようになったということは、おそらくそうだろう。なお、ダイラガーが戦闘しない回はまだいくつかあるので、その際には別の機能を紹介したい。

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武器:不明

 一応紹介しておくが今回は出動したもののダイラガーとは交戦しなかったラフィット隊のバトルマシンである。火力系の武装が多いことから10話で登場したマシンAの発展型と思われる。あるいはマシンAの改修機かもしれない。

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マシンA(あまり似ていない)

ガルベストン帝国のメカ

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工作艇

 ガルベストン戦艦に搭載されている球形状の工作艇、地球の同種の飛行体はホバリングで移動するが、三惑星よりも若干進んだ科学力を持つガルベストンでは重力制御は地球側よりも実用化が進んでいる。母艦より発進し、損傷艦などの修理を行う。

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ガルベストン戦車

 ガルベストン戦艦や巡洋艦に搭載可能な中型戦車、大気圏外から降下して作戦できる。やや旧式なタイプのようであり、アキレウス星や惑星Kでの交戦で多大な損害を受けた後、探査戦車に取って代わられる。

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