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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第14話「反撃、地球艦隊」

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ウム、一刻も早く彼らの本星を見つけ、
話し合いを持たねばならん。   そのためにも
探査隊の活動を応援してやらねばならんのだ。

あらすじ

 修復を終え第5惑星を離れようとしていたラガーガードに謎の彗星が接近し、艦長アシモフは出航を延期する。その時、地球では萩支援艦隊が編成され、ラガーガード救援に急いでいた。テレスは艦隊とラガーガードとの合流を防ぐべく、ドレイクに迎撃を指令する。

見どころ

 前話では互いに矛を収めたラガーガードとガルベストンだが、それだけで地球とガルベストンの紛争が終わったわけではない。テレスの措置に不満なラフィットは彗星に偽装した偵察機動艦を駆り、発進しようとしていたラガーガードを惑星に足止めする。ラフィットの独断専行に怒るテレスにラフィットはラガーガードが修理のみの約束に反し、まだ惑星に居座っていることを報告する。が、テレスはそんなヤラセに騙されるような司令官ではなかった。居座らせたのはお前ではないか、報告に白い目を向け、テレスはラフィットに帰還を厳命する。そこに地球から大艦隊接近の報告が入る。第5惑星は可住惑星としては無価値だが、基地を作られるなら話は別だ。「ドレイク、奴らを合流させるな、力を増せば簡単に引き下がらなくなる」、地球の銀河進出を阻止するため、テレスはドレイクに出撃を命じる。

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「ウム、一刻も早く彼らの本星を見つけ、話し合いを持たねばならん。そのためにも探査隊の活動を応援してやらねばならんのだ。」

 今週の言葉は出羽総司令、ガルベストンとはどこまでも違う論理と考え方で、全滅したケール、ネグレ両艦隊より大規模な萩支援艦隊を送る銀河警備軍本部。が、その支援活動自体がガルベストンの逆鱗に触れている以上、ラガーガード救援に努力すればするほど、両軍の衝突は避けられない情勢がある。そして新兵器無人スナイパーを装備した萩艦隊とドレイク艦隊の戦いが開始される。先制攻撃でドレイクのバトルマシンを封じた萩は艦隊戦を有利に進める。ドレイク不利を見たテレスはより与し易い相手、惑星のラガーガード攻撃にラフィットに出撃を命じる。

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「銀河に地球の拠点を築かせてはならない」、この探査艦さえいなくなれば地球艦隊は撤退するはずなのだ。一方、艦隊戦ではドレイク艦隊が萩艦隊に圧倒されつつあった。「もう逆転は不可能だ、、」、敗北に直面し、敵旗艦への特攻を決意するドレイクにテレスからの緊急通信が入る。「これ以上の戦いは戦力を消耗するだけだ。それに、何よりお前を失うことの方が重大だ」、ラガーガードと艦隊との合流は不可避と見たテレスはドレイクに撤退を命じる。そして惑星では反撃に転じたダイラガーがラフィットのバトルマシンを倒す。

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 そろそろ出揃ってきたガルベストンの将星たち。彼らを束ねるテレスに取っては部下はガルベストン右翼のバラタリアを筆頭にタカ派の扱いにくい面子も少なくない。軽薄なラフィット、残忍なグラモンなど大事を任せるには不穏な隊長もおり、そんな中で穏健派で話の分かるドレイクは貴重な存在である。地球が銀河進出に本腰を入れ始め、母国ガルベストンのために可住惑星を探す彼の任務はますます厳しいものになっていく。

dairugger なお、この話ではエンディング「愛を伝える旅」が加賀ハルカ(カイラガーチーム、CV飯塚はる美)の独唱でラガーチーム休憩中のカットとして流されている。こういう遊び心もこの時代の作品の良い所である。

キャラクター紹介

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ラフィット

 ガルベストン惑星探査隊ラフィット隊の隊長で肥満体の人物、当初は隠れタカ派として登場したが、盟友バラタリアの死後は本国の後ろ盾を受けてドレイクの後任の惑星探査隊長に就任し、タカ派の本性を露わにする。精神分析の手本になりそうな複雑な性格で、怒りっぽいが伊勢などに見せたように計算高いところもあり、また、偽装彗星など子どもっぽい挑発でテレスの失笑を買うなど、多重人格者的な所のある隊長である。このラフィットの特異人格がバラタリア事件からテレス解任、ルチアーノ体制までの地球との関係悪化に影響するので、そういう意味ではかなりの重要キャラである。

 ラフィットは27話の宇宙要塞攻略で要塞にいた出羽総司令の反撃を受けて戦死するが、この時も降伏勧告と称して地球側と通信を行い、応答した地球軍の総帥出羽を画面を指差して愚弄している。このラフィットとの会話は元々ハト派だった出羽を憤激させ、直属上官の若狭共々すでにアシモフに焚き付けられていた彼のタカ派転向を決定的にしたが、この種のチート的行動はガルベストンの将帥では彼がいちばんやっていたのだった。ラフィットに怒り狂った出羽は要塞のエネルギー転換炉を爆発させて彼のバトルマシンを駆逐し、これで要塞は崩壊したがラフィットの艦も損傷し、さらに要塞砲で止めを刺している。なお、ラフィットを屠った出羽はその後無事に地球に帰還し、大破した要塞は放棄された。

 ラフィットのCVは不明だが、声質が永井一郎に似ている。比較的有名声優の多いこの作品、後半では古谷徹らしい声優も出演しているので、ひょっとしたら永井本人かもしれない。当時の東映はラフィット役くらいではいちいちクレジットに載せないのである。

今週のバトルマシン(マシンC:不戦敗、マシンD:2分10秒)

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武器:不明

 ドレイク隊のバトルマシン第7号、13話でラフィット隊の機体として登場した機体と同型だが、同隊には宇宙要塞攻撃用にマシンAが装備されており、この機体はダイラガーに撃破されなかったので機種更新の理由は不明である。萩艦隊の無人スナイパーの攻撃を受け、発進前に被弾して撃破されるというバトルマシンの風上にも置けないやられ方をした。

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武器:鉄拳ハンマー、強力ビーム、6連ミサイル

 ラフィット隊の3番目のマシンであるマシンDは同隊の2番目のマシンであったマシンCとのバーターでドレイク隊から譲り受けられたマシンであり、おそらく戦闘経験豊富な同隊の開発である。ガルベストンは艦隊戦では火力系のバトルマシンを用いるが、マシンBは格闘系である。2本の腕に3本足は一見土建系マシンに見えるが、実は斬新なバトルマシン「ゲド」の流れを汲む本格的バトルマシンである。工作系マシンの長所である180度回転機能に加え、ゲド系の特徴である多関節の長い腕と土木マシン譲りの鉄拳ハンマーの打撃力はダイラガーを全く寄せ付けなかった。また、ゲド直系の強力ビームは一撃でダイラガーの右腕を吹き飛ばし、安芸に再合体を余儀なくさせるほどの威力を持つ。さらに6連装の対空ミサイルがあり、装甲もたいがいのバトルマシンには通用したダイラガーキルダーを跳ね返すなど、2分近くに渡り、ダイラガー相手に小気味良い戦いぶりを見せつけたが、反撃に転じたダイラガーの斬撃を受け、ラガーソードの露と消えた。

戦術ミサイルの系譜

 ダイラガーの戦いでは両軍とも大型の誘導ミサイルを開発して実戦に投入している。戦艦、バトルマシンの防御はフィールド防御のため、そのフィールドの薄い部分を探し出して命中することを目的とした兵器である。しかし、戦艦クラスの撃沈例は両軍とも少ない。

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無人スナイパー

 地球艦隊・萩艦隊に搭載された新型の誘導ミサイル。一見ただの大型ミサイルだが、バトルマシン撃破の実績もある通り、どうも敵の防御の脆弱な部分をコンピュータで探しだして着弾するマイコンミサイルのようである。後に改良型「ピラニアー」がアシモフ艦隊に配備される。また、同兵器の性能はガルベストンも注目しており、最終話付近ではさらに進歩した「スペース・インパルス」がガルベストン側によって使用され、対艦戦に多大な威力を発揮した。これは鹵獲した地球側のスナイパーを解析して作られた兵器だと思われる。

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ピラニアー

 アシモフの第2連合艦隊が基地に敷設した誘導ミサイル。無人スナイパーの改良型だが地上発射が可能であり、ゼロ発進から大気圏外の敵を捕捉して撃破できる。その加速能力と命中精度は戦闘機以上であり、基地防衛の切り札である。


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スペースインパルス

 地球の無人スナイパー、ピラニアーを鹵獲したガルベストンが開発した誘導ミサイル。地球ミサイルとの違いはステルス機能を持つことで、基地からあらかじめ設定された宙域に移動し、そこで敵艦隊を待ち受けて攻撃するなどトリッキーな攻撃が可能である。発射源も分からず、レーダーでも捉えられないため、この攻撃を受けたアシモフ艦隊では「姿なき超兵器」と呼んでいた。

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