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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第7話「救援艦隊全滅」

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戦闘は我々に任せて、直ちに戻れ! 
我々はそのために来たんだ!

あらすじ

 本星に地球の存在を報告した司令テレスは本星の対応に苛立つ。ドレイクはテレスに惑星探査に専念するよう勧め、ラガーガードの撃滅を引き受けることを進言する。一方地球側ではラガーガード救援のため、サラ星・ミラ星の連合艦隊が派遣されていた。

見どころ

 冒頭で各宙域を探査するガルベストン艦隊の様子が映し出される。地球側はラガーガード1隻だというのに、数個艦隊を動員したこの大規模探査はどうだろう。ガルベストンは帝国を挙げて惑星探査を推進しており、これがこれまで見られたように、ガルベストンが地球側に対し常に宙域情報で優位に立っている理由と思われる。しかし、探査に見せるガルベストンのこの執念はいったいどこから来るのか。テレスの報告を受けたガルベストン総司令カポネーロは「君の使命は一刻も早く、コルセール帝(ガルベストンの皇帝)の希望する惑星を発見することだ」と命令するが、「一刻も早く」とはいったい何を意味するのか。

「戦闘は我々に任せて、直ちに戻れ! 我々はそのために来たんだ!」

 今週の言葉は安芸を一喝するサラ星・ミラ星連合艦隊の司令官ケール。度重なる戦闘で傷ついたラガーガードを護衛するため、救援艦隊が派遣される。ドレイク艦隊と遭遇したケールは救援に来たクウラガーに帰還するように言い、ラガーチームによる救援を拒絶する。ラガーガードは探査船で、戦闘は自分が引き受けると言い、彼はドレイク艦隊に戦いを挑む。が、ドレイクはバトルマシンを出撃させ、ケールの艦隊を劣勢に追い込む。

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伊勢 「ところで、そちらの戦況は?」
ケール 「バトルマシンに苦しめられているが、何とか持ちこたえる。それより、一刻も早く発進してください。ガルベストンはここへ引きつけておきます(ドレイク艦隊との激しい戦闘の最中である)。」
伊勢 「しかし、、」
ケール 「伊勢キャプテン、こういう時、情を差し挟むのは危険です。お互い使命のためだと、割り切りましょう。」
ケール 「(旗艦の近くで爆発)おわっ!」
伊勢 「司令官!」
ケール 「ハハ、、君たちを援護しなければならんのに、却って心配を掛けてすまん(通信途絶)。」


 「使命のためとはいえ、あまりにも冷たい」、バトルマシンに苦戦しつつもラガーガードに退避を勧め、お互い使命だから割り切ろうと言うケールに伊勢は嘆息する。しかし、彼ら大人たちの対応に不満な者は他にもいた。ケール艦隊救援のため、安芸はじめ15人総出で出撃するラガーチームに伊勢は会心の笑みを浮かべる。

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 結局艦隊は全滅し、ダイラガーは戦域に残っていたバトルマシン・ローダを撃破してケールの弔いとする。帰還した安芸たちを伊勢は無断出撃の罪で咎めるが、その罰の内容は彼らしいものだった。

 使命という言葉がある。テレスが惑星を探し、ドレイクが地球艦隊と戦うのも使命のためなら、ラガーガードを守るため、全滅覚悟で戦域に踏みとどまるケールの判断も使命のためである。そしてラガーガードには銀河の宇宙図作成と知的生命体との融和という使命がある。どれが正しくどれが間違っているということはない。自分を殺しても為すべきことがある。そういう戦いであるから、敵味方とも、勝ったとしても果実の味は苦い。

キャラクター紹介

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ケール

 ラガーガード支援に派遣されたサラ星・ミラ星連合艦隊の司令官。サラ星人とミラ星人(キーツなど)は外見が似ているため区別しにくいが、司令ケールはキーツのように耳が尖っていないためサラ星人と思われる。作品に登場するサラ星人はクウラガーチームのクロイツを初めとして生真面目な性格が多いが、彼もその例に漏れず、ラガーガードを戦場から離脱させるため、ドレイク艦隊とバトルマシン・ローダ相手に奮戦する。なお、サラ星とミラ星は艦隊戦では共同行動を取ることが多いこと、肌の色や容貌が酷似していることから、両星は双子星、あるいはごく近い位置にある星と思われる。両星の連合艦隊の指揮官となったケールは戦いの最中、旗艦にローダの宇宙魚雷の攻撃を受けて戦死する。

今週のバトルマシン(1分15秒)

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武器:熱線ビーム、魚雷ミサイル、火炎放射器

 ドレイク隊のバトルマシン第4号「ローダ」はソーラXU以降、戦闘メカ化が進んだガルベストンのバトルマシンの中でも対船舶攻撃に特化したバトルマシンである。もはやかつての惑星開発用・土建メカの面影はなく、樽型の胴体に大量の兵器を満載し、両腕の大型魚雷は一撃で戦艦を沈める威力を持つ。また、頭部の熱線ビーム、胸の火炎放射器も強力で、ラガーガード救援に来援したケール艦隊相手に圧倒的な強さを見せつける。バトルマシンのデフォルト、ハンマーやカニバサミはもはや装備さえしておらず、全身武器のカタマリで戦闘以外に何に使うんだというハードボイルドなルックスのローダであったが、ケール艦隊の復讐に燃えるダイラガーの攻撃の前に撃破され(45秒)、ラガーソードの刀の錆となる。

ダイラガーの武器

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ラガーソード

 両肩を構成するヘリコプターである陸奥マシンとクロイツマシンのローターから構成されるダイラガー最大の武器ラガーソードは一見剣に見えるが、その実は15体のマシンの全エネルギーを結集した高エネルギーの塊である(第1話にエネルギー集中の場面がある)。戦いごとに原子レベルから一刀一刀構成されるこの剣は抜群の切れ味を誇り、いかなる戦艦、バトルマシンをも切り裂くことができる。なお、ローター系の武器には他にスピンカッター、ダイラガーキルダーがあるが、どの武器も戦いでは使用頻度の多い武器である。が、ラガーソードの使用率はこれらの武器の中でも抜群に高く、作品に登場する9割以上のマシンがこのソードの露と消えた。

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 ダイラガーは対抗するガルベストンのバトルマシンと比べると接近戦用の武器の多い機体であり、ほか、手裏剣系の武器であるショットアロー、アローを繋ぎあわせたダイラガーランサー、さらに背中の甲斐マシンから導出される電磁ビュート(鞭)など、多彩な武装を誇っている。長距離系の武器としてはミラクルビームがあるが、この武器も射程距離は長いものの、ダイラガー自体が格闘系の機体のため近接戦闘で用いられることが多い。バトルマシンの撃破数はダイラガーソードが圧倒的であるが、それに次ぐのがミラクルビームであり、その次がランサーである。なお、電磁ビュートも1機のバトルアタッカーを撃破している(51話)。

dairugger ラガーソードは極めて高い強度を誇り、後にガルベストンのアタッカーも同原理のソードを装備するようになるが、切れ味、硬度ともラガーソードに及ぶものではなく、最終回まで一度も折られなかったことも特筆すべき点である。

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