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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第3話「さらばアキレウス」

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何もかも分からん、あの敵はどこの星のものなのか、
なぜこうもしつこくここを狙うのか。

あらすじ

 惑星に駐留する地球艦隊にガルベストン司令テレスは光子ミサイルを装填し最後通告を行う。ガルベストンの真意を巡り、地球側は対話 か徹底抗戦かで紛糾する。ついにミサイルが発射され、惑星上空は地球艦隊とラッカル艦隊の修羅場と化す。

見どころ

 光子ミサイルを装填し、地球艦隊を第8恒星系から撤収させることを企図する司令テレス、二度の敗戦に地球艦隊への復仇を狙う副将ラ ッカル、そして、テレスの最後通告を受けた銀河警備軍本部は勧告受諾か徹底抗戦かで紛糾する。ダイラガーによる二度の勝利は彼らに慢心を生じさせてい た。以前は計画の中止とラガーガードの撤退を口にしていた参謀たちが次々と変節し、口々に受諾拒否と徹底抗戦を主張する中、長官の若狭はラガーガード にガルベストンとの接触を命じる。が、これは致命的な誤りであった。ラガーガードが艦隊を離れ、警告の発信地点に移動している間に通告時間が過ぎ、 「惑星の退去が先」と、アシモフからの要請を拒否したテレスは第8恒星系に光子ミサイルの発射を命じる。

アシモフ 「しまった! 彼らは最初から!」
伊勢 「そうです、あの星に執着はなかったんです。」
アシモフ 「彼らの目的は!」
伊勢 「我々に対する威嚇です! 星1つを犠牲にしてまでも、我々を宇宙から追いだそうとする、意思表示です!」

dairugger 会合地点で迫り来る大量の光子ミサイルに伊勢はガルベストンの真意を悟る。 対話のため外宇宙に進出したラガーガードと惑星の地球艦隊は戦力を分断され、そこに ラッカルの機動部隊が襲いかかる。地球側の優柔不断を計算に入れた司令官テレスの怜悧さに戦慄する展開である。結局、赤城司令は惑星の防衛を放棄し地球艦隊は敗 走する。そして地球艦隊を排除したラッカルの機動部隊は悠々と惑星に着陸するのであった。が、「我がガルベストン星の光子ミサイルを使用するということは!」と いうテレスの言葉通り、多数の光子ミサイルの直撃を受けた惑星は徐々に崩壊しつつあった。

 相手の都合、事情を参酌せずに主張する「対話」というものがいかに危険な行動か、この戦いでは地球側もガルベストン側もオプションを用意していたが、相手方に 対する無知が惑星崩壊という最悪の結果をもたらした。判断を誤らなければ避けられたはずの結果を避け得なかったことに悔恨を感じた艦長アシモフは全乗員に訓示する。

「銀河探査隊の諸君、私は今、我々の手で滅んでいく惑星を忘れぬためにアキレウスと名付けた、我々はアキレウスに、もう二度とこういう過ちを犯さないと誓おう。」

 第8恒星系を離れ、再び銀河に出航する探査船ラガーガード、「同じ過ち」はあのガルベストン相手に、これから先も犯さずにいられるだろうか。この話にはバトルマシ ン戦はなかったが、そんなものよりも深刻な問題提起がある。対話だけでは十分ではない、戦いだけでは解決できない争いがある。星間戦争による星の崩壊という高い代償 を払った教訓を得て、厳しい銀河宇宙に乗り出した船には、この先何が待ち受けているのだろうか。

「何もかも分からん、あの敵はどこの星のものなのか、なぜこうもしつこくここを狙うのか。」

 今週の言葉はアシモフ艦長、冒頭で基地の建設現場を見上げつつ、ガルベストンの真意を測りかねている場面である。実はまだ、彼らについては何も分かっていないのだ。

キャラクター紹介

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ソクラット・テレス (CV戸谷公次)

 ガルベストン帝国の前線基地の司令官、当初はダイラガーらの強敵として登場したが、次第に穏健派(ハト)、地球との平和的解決を志向する人物として描かれていく。 が、その実は母星の崩壊を見て可住惑星の発見を戦闘に優先したり、地球艦隊も探査の邪魔とみなせば光子ミサイルで排除するなど現実主義者であり、後の平和主義もその延長線上のも のである。また、後の言動から平和主義者の一面ばかりが強調されがちなテレスだが、将帥としての能力も高く、直接指揮を執った3話では地球艦隊を敗退に追い込んでいる。中途で一度 司令官を解任され、24話では帰国した彼の実家が描かれ、実父の内務長官テスと母親が登場する。妻子はおらず、どうも地位の割にはかなり若い人物(20代後半〜30代)のようである。 作品が進むに連れてガルベストン和平派の中心人物として重要性が増すため、実は地球側の伊勢(ハト)と並ぶダイラガーの真の主役という説もある。

今週のバトルマシン(0分)

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ラガービーム

 3話ではバトルマシンは登場しなかったため、恒例のダイラガーとの戦いもなく、地球艦隊を追い払って惑星に着陸したラッカルは崩壊する惑星のマグマに巻き込まれて 殉職する。ラガービームはダイラガーが装備する数多いビーム兵器の一つで、巨大ロボットの定番である「目からビーム」である。威力はあまり大きくなく、バトルマシンに当たっても効 かないため、専ら必殺技に持ち込むまでの牽制用として用いられる。作画が面倒なため、後に「ウィングビーム」や「ハンドビーム」、「ダイラガーミラクルパワー」などのビーム兵器に取 って代わられる。

用語解説

ガルベルトン帝国軍宇宙艦船

 ガルベストン帝国の戦艦は3種類が確認されている。地球艦隊の2倍近い大型戦艦のほか、巡洋艦、ミサイル艦など概して三惑星連合の艦より強力な艦が多い。 解説は1〜33話までに登場した戦艦である。

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ガルベストン戦艦

dairugger 艦隊の旗艦ないしは主力艦である大型の宇宙戦艦、強力な主砲のほか、戦闘機母艦でも あり、また艦首の格納庫にはバトルマシンが収納可能である。地球艦隊戦艦のおよそ3倍の大きさを持ち、戦闘力もそれに照応したものだが、配備数は地球戦艦に比べると多くなく、通常 の艦隊、探査艦隊で1隻、戦時編制で3隻(グラモン、チャーチ両艦隊)、デュカス艦隊に12隻が配備されたのが最大である。探査艦隊級の小規模艦隊でも必ず1隻は配備されているこ とから、長距離補給船の機能も持っていると思われる。

dairugger ガルベストン巡洋艦
 ガルベストン艦隊の大半を占める小型の戦闘艦、地球駆逐艦よりやや大きく、 同艦にはない戦闘機の格納能力がある。レーザー砲とミサイルを装備している。1艦隊に付き5〜30隻ほどが配備され、偵察艦として用いられることもある。

dairugger ガルベストンミサイル艦
 レーザー砲艦と同大、巡洋艦より小型のミサイル攻撃を得意とする 駆逐艦、中期以降に配備され、最新鋭艦と思われる。

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巡洋艦より小型艦である。

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ガルベストン戦闘機

dairugger 士官搭乗タイプの立ち型とボブスレー風の一般用が配備されている。非常に小型の機体であるが、戦闘力は三惑星連合の標準戦闘機とほぼ変わらず、小型で敏捷な分だけ戦闘力 は優っている。宇宙空間でもどこでも搭乗員が剥き身で搭乗し、そのまま大気圏突入して攻撃することもあるが、何らかの乗員保護策は取られていると思われる。見た目に比べて安全性は意 外と高く、11話ではこの戦闘機のトップガン、シムが一度目は大気圏外から、二度目はレーザー砲で撃ち落とされて墜落したが、二回とも機体から放り出されるくらいで搭乗員の生命は保 護されている。また、38話ではエンマ隊長が立ち型戦闘機から転落したが、この際も重症は負ったもののエンマはラガーガードに保護されている。

dairugger ガルベストン兵士
 指揮官である隊長以外の兵士は士官も下士官もこのようにマスクを着用している。 このマスクは実は宇宙服も兼ねており、ガルベストン兵士はこの服装のまま宇宙空間や戦闘機に搭乗できる。士官と下士官はマントの有無で区別される。

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