機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー
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■第2話「孤独な守備隊」
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バカな! 発見した惑星で外敵の恐怖に 晒されている者たちのことを諸君は考えてるのかね! |
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■あらすじ
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ガルベストンを撃退し発見した惑星に基地を建設する探査船ラガーガードと地球艦隊、一方、ガルベストン前線基地では司令官テレスが
帰還したラッカルから地球艦隊の報告を受けていた。
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■見どころ
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「ラッカル、その惑星はくれてやれ」、ガルベストン側に司令テレス登場。何が何でも地球侵略と地球人全滅を狙う敵を見慣れてきた視聴
者にテレスのこの淡白な態度は衝撃的。従来のロボットアニメの敵とは全く異なるガルベストン帝国の全貌とテレスの言葉の理由は作品が進むにつれ明らか
になっていく。今週の言葉は再び出羽総司令、確保した惑星の支援が遅れていることで参謀たちを一喝する。惑星開発には銀河警備軍と太陽圏開発庁の双方
の管轄があり、どちらが担当するかで折り合いが付かないでいたのだ。
「バカな! 発見した惑星で外敵の恐怖に晒されている者たちのことを諸君は考えてるのかね!」
「太平の世を貪り、何もかもたるんでしまったのだ」、外敵の恐怖と戦いつつ基地建設に汗を流す隊員がいる一方、可住惑星発見や外敵出現などお構いなしに享楽的
な笑みを浮かべる本部の隊員たちに苦言する出羽。遠く離れた二つの場所で同じ制服を着た隊員相互の落差を描き切っている所にこの作品のただごとでなさを感じる。
見た目はロボットアニメだが、制作者の視線はどこまでも80年代当時の日本に向けられているのである。文明化が進みすぎ、朗報にも悲報にも無関心な警備軍本部
の空気はやがて中盤で警備軍が決起するまでに次々と起こる艦隊全滅や基地壊滅などの悲劇の引き金になっていく。
惑星ではラッカル隊が再び攻撃を開始し、地球側の戦力を分断したラッカルの作戦で孤立したラガーガードは危地に陥る。しかし、本部は退廃的でも現場の人間は
そうではなかった。小さな惑星での戦いに地球の存亡を見て取った地球艦隊を指揮する赤城司令に、ラガーガード一艦で優勢な敵艦隊に戦いを挑むアシモフなど出羽
の言う「弛み切った地球軍」は彼らのおかげで態勢を立て直し、ダイラガーの活躍でラッカル隊を再び撃退する。
「俺たちはこんなことのために銀河に出てきたのか」、惑星探査隊の一員として予期せぬ戦闘に巻き込まれた安芸は戦いの後、敵味方双方の膨大な犠牲の前で嘆息
する。しかし、これはまだ、これから始まる銀河大戦のほんの序の口にすぎなかったのである。
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■キャラクター紹介
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伊勢シンジ (CV田中秀幸) |
探査船ラガーガードの副長、ラガーチームの指揮官であり、中年の艦長アシモフを補佐する青年将校。元戦闘機パイロットの熱血漢で、任務に厳しく時
には鉄拳制裁など行うがチームの信頼は厚い。後に本部に転任したアシモフの後任としてラガーガードの艦長になり、対ガルベストン戦を最後まで戦い抜く。戦いではガルベ
ストンのテレスと並ぶ筋金入りのハト派であり、激しい戦いの最中にあってもガルベストンとの間に対話の道を模索し続ける。チーフの安芸たちを除く一般ラガーメンバーより
登場頻度も台詞もはるかに多いため、実は主役の安芸を凌ぐダイラガーの真の主役という説もある。
| 赤城 |
ラガーガードを護衛に来た機甲艦隊の司令官、勇猛な将校であり、警備軍の戦艦で優勢なラッカル艦隊と互角に渡り合うが、3度目の攻撃で光子ミサイルを
防ぎきれずに撤退する。以降は母港である宇宙要塞に戻ったようであり、その後の消息は不明。ラガーガードを護衛に来て戦死しなかった数少ない指揮官でもある。
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■今週のバトルマシン(2分45秒)
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武器:ロケット弾、ハサミ型ハンマー |
ラッカル隊のバトルマシン第2号、二本足に見えるが実は三本足で右腕のキャノン砲は発砲ではなく専らダイラガーを殴りつけることに使われる。ラガービームを
跳ね返すほどの装甲とパワーは前回のバルカム3を上回っているようであり、安芸をして「恐ろしいパワーだ」と言わしめている。飛び道具は肩のロケットランチャー、
また、左腕のハサミからは電気ショックを流すこともできる。この時点ではバトルマシンは有人か無人か良く分らないが、後に有人であることが明らかになる。ガルベス
トンの初期のバトルマシンは戦闘用と言うよりは惑星探査用らしく、このマシンも脚力はダイラガーより劣っているようであり、三本の足で飛び跳ねながら不器用に
移動する。前機よりも短い2分45秒(艦隊戦と合体シーンを引くと1分以下)でラガーソードの露と消えた。 |
■用語解説
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護衛戦艦 |
銀河警備軍の主力艦である宇宙戦艦、ガルベストン戦艦の半分ほどの大きさであり、
戦闘力も劣っているが、1艦隊あたりの配備数が多いため、数で互角に戦うという戦術思想で運営されている。連合艦隊配備艦はビーム砲の威力も強化され、数隻がかりならガルベスト
ン艦にも対抗できるようになっている。小艦隊でも3〜5隻が配備され、連合艦隊では85隻が配備されている。宇宙戦闘機の運用能力を持つ。地球ではポピュラーな軍艦であり、ラジ
コンモデルも発売され(30話)、ダイラガーよりも人気のある戦艦である。
元々銀河警備軍はその名の通り「警備軍」であり、その艦艇は宇宙海戦よりもパトロール任務を主眼に設計されていたと思われる。護衛戦艦は被弾しやすい艦首付近に艦橋がある
など、お世辞にも戦闘向けとは言いがたい軍艦だが、軍の性格を考えるとやむを得なかったといえる。
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駆逐艦 地球駆逐艦は一見大型の戦闘艇に見える艦である。ビーム砲とミサイルを
装備しているが戦艦と撃ち合うほどの能力はなく、護衛戦艦やレーザー砲艦による火力の壁を縫ったミサイル攻撃を得意とする。
レーザー砲艦 駆逐艦とほぼ同大、やや小型の砲艦、強力なレーザー砲で武装
するが、戦闘機の搭載能力はない。30話の地球防衛戦では主力となり、地球防衛に活躍した。
三惑星統一輸送艦 三惑星統一仕様の輸送艦は多数が配備されている。
警備軍の艦にしてはサラ星艦の様式を持つなどユニバーサルな印象の艦で、建設資材の搬入や物資輸送など作品全般を通じ活躍した。比較的小型の艦で、大きさは駆逐艦とレーザー砲
艦の中間程度である。
三惑星統一戦闘機
三惑星統一仕様の戦闘機は艦艇や基地に多数が配備されているが、いくつかバージョンがあるようであり、銀河警備軍配備の最新型と地球防衛軍所属の旧型、そしてサラ星軍の配備機や
複座型なども存在する。武装はビーム砲を中心とするが、ガルベストン戦闘機に比べるとかなり大型であり、その分運動性に劣っており、数も少ないため、宇宙戦では常に劣勢に立たされ
ているため、後半では基地配備機以外姿を見なくなる。 |
※軍艦のスケール
この当時の作品はコンピュータ作画ではないので、実は船のスケールはきちんと統一されていないケースがほとんどである。特に駆逐艦とレーザー砲艦の混乱が著しい。
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サラ星艦・ミラ星艦 |
緑色の艦色がサラ星、黄金色がミラ星である。両国は共同作戦行動を取ることが多く、サラ星艦はスター・トレックのエンタープライズ号に似たデザインだが、
実はフォルムなどは全く異なっている。花状の造形をしたミラ星艦はサラ星艦より数が少ないが、性能はほぼ互角と思われる。護衛戦艦並かそれ以上の戦闘力を持っており、ドレイク
艦隊との交戦では十数隻の艦隊でガルベストン艦15隻を撃破している。ただ、配備数は警備軍戦艦ほど多くなく、航続力も長くないため、配備は各々の本星に集中しており、宇宙要塞
より遠くに出撃することは稀である。
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