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■機動戦士Zガンダム第34話「宇宙が呼ぶ声」鈴木裕美子
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あらすじ
ネオジオンとの交渉に失敗したアーガマはグワダンとシロッコの戦艦ドゴス・ギアを追う、一方アーガマでは傷心の女レコアが居場所を探していた。ヤザン隊との戦闘の最中、レコアのメタスはヤザンのハンブラビに捕らえられる。
Aパート:アーガマのグワダン追跡、ヤザン出撃
Bパート:ヤザンの攪乱作戦、レコアやられる
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無視される驚愕の事実「クワトロ=シャア」 ここ数話の余計な雑音、シロッコに惹かれるレコアがエウーゴを裏切る回である。しかし、そこに至るまでの描写が薄いし意味不明だし、そもそもこんな情緒不安定な女性がなぜパイロットをやっているのかというのはファと並ぶエウーゴ七不思議である。
回が変わると人物描写が急に変わるのもこの作品の特徴で、やけにトゲトゲしいレコアとクワトロはもう別れ話モードである。同じような光景はファとカミーユで見慣れているので今さら。そもそもこの作品はどの人物も人物像がきちんと練られていない。取って付けたように月でゲリラをしていたというレコアの過去が語られる。
しかし、誰も注目しないのが前回ミネバの目前でばれた「クワトロ=シャア・アズナブル」という驚愕の事実、格納庫では「クワトロ大尉はジオンとは関係ないよ」の一言で済まされ、身を挺してシャアをかばったレコアは「あなたは私を止めるだけのことをしてくださいました?」と完全に裏切られ女モード、ファすら驚かず、元ジオンの「クワトロ=シャア」は今日も百式で出動していく。元々その程度のネームだったのだろう。
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カオルのひとこと:前々回、シロッコの方に生きそびれたレコアはそれ以来心ここにあらず。前回はクワトロの醜態を見せられた挙げ句、彼をかばって負傷したのに放ったらかしでご機嫌ななめです。カミーユとファの痴話げんかに変わって、レコアの揺れる女心がここ数話のトレンドです。ファに男と女の性について語るレコア。頭には、もうそのことしかないようです。
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現われては消えてゆく武器の数々
一方、暇つぶしにアーガマを攻撃するシロッコ、ヤザンが出動するが、ダミー風船作戦というちゃちい手でアーガマを追い詰めるが、このダミー風船という都合の良い代物、これは前回が初登場で、同じ武器をティターンズも持っているなら使う場所は以前にもあっただろうと言いたくなる。練られていないのはキャラ設定ばかりではないようだ。なお、前回使った海ヘビは今回は忘れたので持ってきていない。そして、なぶりものよろしくやけにねちっこくしつっこくレコアのメタスがやられてしまう。「こんなまともそうな女が、何で」、まともでない男ヤザンに救われたレコアは以降はティターンズ兵士として昔の男シャアに襲いかかることになる。
カオルのひとこと:アーガマを倒す気はあるのか!とシロッコに詰め寄ったヤザン、「私には君が必要だ」という気持ち悪い口説き文句に調子づき、ダミー風船を囮にして近づく作戦を決行します。ケガをおして出撃したレコアは、幻聴に悩まされている様子。誰かが呼んでいるって、それは自分の声でしょう。ふらふらするレコアの心理描写に多くの時間が費やされます。
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レコアを失った戦艦アーガマでは、未練がましくレコアの部屋でくだを巻いていたシャアにカミーユの修正拳が飛ぶ、カミーユに張り飛ばされ、「サボテンの花が咲いている」と情けない男モード全開のこの男に蹴りを入れてやりたくなるのは筆者だけではないだろう。
いつものことだが、単に「レコアがやられてティターンズに捕らえられる」だけのことを説明するのに丸々一話、前回のジュピトリス潜入もそうだったが、スタッフというのは言われたことをやるだけが仕事じゃないだろうと言いたくなる。もっと多くのテーマ、もっと多くの内容を詰め込まなくては、これはとても見るに耐えない。
(レビュー:小林昭人)
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カオルのひとこと:なぜかヤザンと感応し合うレコア、「教えて、呼んだのはあなたなの?」とか、もうストーリーそっちのけで寂しい女レコアの心の彷徨どっぷりです。ヤザンのハンムラビにコクピットをやられて吹き飛ぶレコア、それをモビルスーツの手で掴むヤザン。こうしてレコアは、ついにアーガマをおさらばすることになったのでした。アーガマでは、レコアは戦死したということになっており、涙にくれています。クワトロは、どうやら女が去って初めて自分の感情に気付くタイプのようです。ララァの時もそうだったよね? というか、肝心の話はどこへ行ったのでしょう? エウーゴ、ティターンズとアクシズの三角関係の方が、レコアをめぐる三角関係よりよっぽど本筋のはずなのですが。
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評点
★★ 人間関係の脈絡が分からない。(小林)
★ 心理を分析するには面白いけど、本筋から外れすぎ。(飛田)
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関連レビュー「ZZ第34話 カミーユの声」脚本:遠藤明吾
あらすじ
前回からの行きずりでなし崩しに戦闘が始まる。プルがダブルゼータで出撃し、ジオン軍を撃退する。一方、戦闘に巻き込まれたダブリン市長はアーガマに武装解除を要求する。グレミーの気配を感じたプルはマークIIで出撃する。ピンチに陥ったプルにカミーユの脳内アドバイスがこだまする。
Aパート:ジオン軍のダブリン襲撃、カミーユ行方不明
Bパート:サイコガンダム登場、プル対サンドラ隊
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コメント 脚本が手馴れているせいか、デタラメでしょうもない話の割にエピソードは適切に配置されている。つまり結構面白い。ニュータイプがどうだとかプルの超能力が人間離れしているとかいうのはあるが、カミーユの言霊に誘導されて話はテンポ良く進む。久々に普通に面白い話。ダブルゼータの合体シーンも久しぶりでラストのハイメガキャノンも爽快、結構見られる話。プルのキャラも良くこなれており、ラストのカミーユとの再会といい、実にプロの仕事でうーんマンダムと感心する。問題はやはりこの作品があのゼータの続編だったことだろう。脚本家も挫けそうになる非常に悪い状況で作られた話だけに、これは★4つ。
(レビュー:小林昭人)
評点
★★★★ 細かい所はいろいろ言いたいが、困難な状況で良く頑張った。
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関連レビュー「ガンダムAGE第 34話 宇宙海賊ビシディアン」 脚本:加藤陽一
あらすじ
宇宙に出たディーバの艦内で、キオは「誰かが待っている」という不思議な感覚を憶える。ディーバはヴェイガンの追撃を避けるため、「サルガッソー」と呼ばれる特別警戒空域を通過する。そこへ所属不明機が現れる。連邦軍を襲撃しているという宇宙海賊ビシティアンであった。出撃してキャプテン・アッシュと対戦するキオだったが、フリットは海賊の正体が行方不明の息子アセムであることを感じ取っていた。
Aパート:ディーバ、サルガッソー空域へ、宇宙海賊登場
Bパート:キオ対キャプテン・アッシュ、ヴェイガン包囲、キオを助けるアセム
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コメント 連邦軍の総司令部爆破に失敗したゼハートに、美少女戦士の部下が送り込まれているが、彼女は兄をゼハートのせいで失った恨みがあるようだ。今回は、そんな美少女の作戦でディーバがワナにはめられるが…という話である。
宇宙に出たディーバは、ヴェイガンの追撃をかわすため、特別警戒空域「サルガッソー」を通過する。ヴェイガンに見つかる可能性が低いというのがその理由で、艦はやがて濃い霧に包まれたような空域に入る。しかし予想に反して敵が出現し、新米艦長は慌てふためく。それが、宇宙海賊ビシティアンであった。
アビス隊とともに出撃したキオは、海賊の首領キャプテン・アッシュと1対1で戦うが、彼こそ行方不明になっていた父アセムであることは、台詞などから視聴者に伝わる。爺、父、息子の三代が、ここにそろい踏みというワケである。宇宙海賊になっていたアセムは、どうやら連邦のAGEシステムの運用に不満があったようだ。息子キオが、AGEシステムの使い手にふさわしいかどうか、試すのが襲撃の目的だったようである。
そこにヴェイガンが現れるのは、もはやお約束。逃げたアセムは陰からこっそりキオ対ヴェイガンの戦いを観戦するが、危機一髪で飛び出て助け、何か小さなカプセルのようなものをAGEガンダムに突き刺して去っていくのであった。
帰艦したキオはフリットに「じいちゃんはあの人が誰か知っているんだね」と問い掛ける。やっぱりアセムは生きていたのか、しかも海賊、これは、もしここまで堪え忍んで見続けた少年たちにとっては、胸躍る展開であろう。前話に続き、面白く飽きさせない展開で楽しめる。
しかし私は、ある点が引っ掛かって心から楽しむことが出来なかった。アセムが海賊になっていた、というのはまあいい。時代背景の描写がいい加減なせいで、なんでもアリな世界になっているのだ。しかし、その登場の仕方やエピソードが、似すぎていると思ったのだ、松本零士のコミック版「宇宙戦艦ヤマト」に登場するキャプテン・ハーロックに(ちなみに作中で明確にはされないが、彼の正体が死んだと思われていた古代進の兄、守であることがほのめかされるという話である)。
他の作品から影響を受けたり、たまたま良く似た話になってしまったということはあると思うので、これだけで判断はできないが、知っているものにとっては「アレレ?」と思ってしまうレベルであることは間違いない。観ている側として、非常に気まずい思いがした。評点にはこの辺は反映させないことにしたが、制作者にはクリエーターとしてのプライドを大切に、良いと思った作品のアイデアをさらに昇華させ自分のものにしてから出す、という作業を怠らないようにして欲しいと強く望むものである。
評点
★★★ 死んだと思われていたアセム再登場。決戦前に期待の持てる展開に?!
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その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第34話レビュー
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関連リンク
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An another tale of Z 第41話「外惑星にて」(本編)
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