MUDDY WALKERS 

An another tale of Z

 Zガンダム 比較レビュー →ZZレビュー →ガンダムAGEレビュー

機動戦士Zガンダム第27話「シャアの帰還」鈴木裕美子

あらすじ
 先の戦いで大破し、修理して戦列に戻った戦艦アレキサンドリア、艦長のガディはアーガマを討つべくジェリド、マウアー、ヤザン、サラなど腕利きを戦艦に呼び集める。新兵器ハイメガ砲を装備し、地球上空に向かったアレキサンドリアはダカールから戻ったシャアを回収する戦艦アーガマに遭遇するのだった。

Aパート:アレキサンドリア再登場、シャア発進
Bパート:地球上空戦

豪華メンバーを揃えて打倒Z、の愚行
「ここにあなたがいることは分かっているから」、アレキサンドリアに来たマウアーの言葉であるが、前話でブリッジをぶち壊され、ガディ船長を初めとしてジェリドにヤザンにサラと悪の組織でも要らないメンバーばかり集めた戦艦アレキサンドリアは今日も賑やかである。聞けばシャアが地球から帰ってくるというのでそれをブチ落とすべく、今日もハイメガ砲を背負ってマウアーとサラが出撃だ。いまいち優秀なんだか狂っているのか分からないヤザン氏はギャブランで出撃する。一方、ハイメガ砲の殺気を感じたシャアはアーガマとの会合地点でいち早くボートで脱出する。敵の方が賑やかなのでどうもアーガマは苦戦しているらしい。
 一応、敵の作戦を説明すると、ガディ艦長(ジェリドでも可)の作戦はシャアを退治すると見せかけてギャブランやガブスレイでZガンダムの足を止め(文字通りの意味で静止させ)、サラのハイメガ砲でガンダムをズビビというものだったらしい。狙撃手にサラを選んだ時点で狙撃失敗は確定だし、使うのもあのハイメガ砲という時点でZガンダムなんか撃ち落せっこないこと確実である。何で戦艦アーガマを狙わなかったのだろう? 案の定作戦は失敗し、ガンダムではなくヤザンがハイメガ砲に撃ち落される。

カオルのひとこと:ジャマイカンが死んで指揮官に昇格(?)したガディ艦長が、精鋭を(というか出てきたティターンズキャラを)片っ端から集めてアーガマにクワトロが合流するのを阻止しよう、という作戦のようです。クワトロは確かダカールで演説しますが、それはまだ先の話だったんですね。上がったり下がったり、落ち着かない人です。

テレパシーと殺気が戦局を左右する
 ここで「やだな」と思うのは、外れたハイメガ砲の火線がそのまま宇宙の彼方に消えれば良いものを、わざわざシャアを運んできたシャトルを直撃して美人のスチュワーデスもろとも宇宙の藻屑となる場面である。確率的にありえないし、何か言いたいことがあるのか、別に聞きたくもないという場面である。
 画面が反転してのプレッシャーとかテレパスが煩くなってくるのもこの辺りからで、実は最初から宇宙空間における戦闘やビーム兵器の概念を整理していなかったゆえの苦し紛れの描写だが、カミーユの殺気でビームが撃てなくなるとか、とどめをさせないとかいう描写は今後は山盛りで描かれることになり、本作の特徴の一つになっていく。

カオルのひとこと:格納庫で大暴れのヤザンに「Zを倒せば認めてやる」と上から目線のジェリド。でも作戦は、サラとマウアーの巨大ランチャーでZを狙い撃ちすることみたいです。Zと一緒にヤザンを葬る気なのでしょうか、それを知ってか知らずか、戦場に出たヤザンはなぜかエマのマークIIにまっしぐら。ランチャーのエネルギー供給のためについていくだけのマウアー、尽くす女もこれに極まれリ? まったく、もったいない話です。

 シャアがダカール市で出会った連れ子のガキ(シンタ、クム)を二人連れてアーガマに戻るが、アムロならともかくあのシャア(誰もクワトロと思ってない)がという所で、これは視聴者と同年齢の子供を加えろというスポンサーの要望だろう。事実、この二人は後のエピソードにはほとんど絡まずに作品の背景となっていく。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:不穏な空気を感じたカツは、エマに釘を刺されたにもかかわらず無断出撃、Zに狙いを定めるサラの「気配」を感じたカミーユの 「撃つな」ですべてが解決してしまいます。お邪魔なヤザンと、クワトロを送り届けて用済みになったシャトルがZのかわりに撃たれてサヨウナラ。クワトロがハヤトから預かった、妻からのビデオレターに涙を流すブライトはえらくエモーショナルな描き方ですが、摩訶不思議な不条理劇を見せられた後だけに、何もかもが白々しく見えてなりません。

評点
 シャトル撃墜はありえない。(小林)
 いろいろ、変すぎる(飛田)


関連レビュー「ZZ第27話 リィナの血(前編)」脚本:遠藤明吾

あらすじ
 連邦首都ダカールで歓待されるネオジオンのハマーンとミネバ、晩餐会が開かれ、グレミーは手塩にかけて育てたリィナの社交界デビューを狙う。一方、ダカール襲撃を狙うジュドーは単身迎賓館に潜入する。

Aパート: ハマーンの戦勝パレード、ハマーンの晩餐会
Bパート:ハマーン対ジュドー、カラバ出現

コメント
 ジジイ復活の第一弾、そもそも始まりからしておかしいし、BGMもいつもの「悪の作戦会議」の迷曲だし、地球連邦政府の関係者が何だか銀河英雄伝説の貴族連合みたいになっているし(マント付けているし)、まあ、「情けない大人たち」という、主役ジュドーらのテロ攻撃を正当化する理由付けなのだけどさ、そうこう言っているうちにジュドーらの攻撃が始まる。ああ、これも福井のUCがマネしていたな。しかし、あり得ない状況にあり得ない戦闘はいい加減白ける。そしてこのデタラメな展開にリィナが気分を悪くする。それに制作指導が戻ったのでピキーン・ジャキーン・バキーンのニュータイプ描写はてんこ盛りである。頼むからまともな人間の話をしてくれ。
 「続きは天国とかでやるんだな!」、それにしてもハマーン様、ジュドーを説得するにしても「悪い大人をやっつける」とかじゃなく、もう少しちゃんとした説得はしていただけないんでしょうか(作画もひどいし)、リィナがやけに立派だが、「ここまで教育したリィナを取り戻されてたまるか」とグレミーも何か勘違いしているというか、方向性を間違えているようである(人質じゃなかったのか)。いずれにしろ、ニュータイプ能力でジュドーが巨大化したりいろいろしたおかげでリィナがハマーンに撃たれてしまう。どう見てもかすり傷だが、たぶんハマーン銃の弾には毒でも塗ってあるんでしょう (レビュー:小林昭人)

評点
★★  ひどいオープニングで星一つにしようと思ったが、まだ見られないことはない。


関連レビュー「ガンダムAGE第 27話 赤い夕陽を見た」脚本:日野晃博

あらすじ
 ディーバはヴェイガン要塞のコロニー「ノートラム」との結合阻止のため動き出す。要塞の動きを止めることに成功するものの、このままではノートラムと衝突する事態となるため、衝突回避に向けてボトンブラスターを発射。進路を変えた要塞は地球へ落下を始めたため、要塞破壊のためアセムとゼハートはそれぞれに、要塞内部に進入してエネルギーコアの破壊を目指す。

Aパート:ヴェイガン要塞の動きを阻止
Bパート:ヴェイガン要塞の地球への落下を阻止

コメント
 ヴェイガンの目的は、コロニー「ノートラム」を結合して地球征服の拠点とすること。その作戦を見抜いたフリットは、結合阻止のために要塞の姿勢制御装置の破壊を試みる。しかし、命中したものの要塞の動きは停まらなかった。敵MSが要塞に取りついて「押して」いるのだ。ディーバで指揮を執る金髪参謀がボトンブラスターを発射し別の標的を狙うとなぜか動きは停まるのだが、そのままノートラムに衝突してしまうことがわかり、その後はノートラム衝突回避、そして地球への落下回避へと動いていくことになる。
 アセム編開始当初には考えられなかったような内容がぎっしり詰め込まれた脚本だが、それまでのドラマがペラペラなので、ただ、アセム編を終わらせるために残りのステージをこなしているだけ、という状態に思えてしまう。「このままではコロニーに衝突」とか「このままでは地球に落下」とか、何千万人の命がかかった作戦に広がっていくのだが、そんな危機感、悲壮感もまったくなく、唐突に訪れるメガネっ子の死でその悲壮感は代弁されるのだった。
 それにしても、要塞を押すMSとか、要塞落下阻止のために名乗りを上げるアセムとか、どうにもこうにも失笑を禁じ得ない。そういう話は、シリーズの他の話でもうやっているではないか。古くは「逆襲のシャア」、平成ガンダムでは「ガンダムW」、要塞の内部に乗り込んで核を破壊、なんてそれより古い「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士だち」で出てきている。そういう、手垢のついたネタで盛り上げようという安直な考えが、シリーズ全体を蝕んでいる。

評点
 シリーズで同じネタを使い回すのはやめてほしい。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第27話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第27話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第27話紹介
An another tale of Z 第27話「氷結地帯」(本編)
An another tale of Z 第28話紹介
An another tale of Z 第28話「抵抗記念日」(本編)

<<BACK  NEXT>>

 MUDDY WALKERS◇