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機動戦士Zガンダム第7話「サイド1の脱出」 脚本:丸尾みほ

あらすじ
 無事レコアのカプセルを地球に降下させた戦艦アーガマは「魔の宙域」サイド1に向かう。エウーゴ秘密基地の所在を追うティターンズもサイド1に向かうが、実はエウーゴがサイド1に向かった目的は新参者のエマに30バンチ事件の真実を見せるためであった。

Aパート:サイド1に向かうアーガマ
Bパート:30バンチ、ライラ死す

 ライラとジャマイカンの訳のわからない哲学談義で始まるこの話、そんなにやられるほど戦っていないと思うが、聞けばもう半分もやられたらしい。「アーガマはニュータイプ部隊」という言葉におぞけるジャマイカンだが、「ビームサーベルをかざしたら斬られた」とか、「弾切れのライフルを投げたら当たった」とかいう戦いばかりしていれば損害率の高さも頷けるというものである。聞けばティターンズの方がライラ隊よりやられているらしい。愛想を尽かしたライラは分離して戦艦アーガマを追う。その間のやり取りでジェリドとライラがなんだかいい仲になっているが、そんな気配も無かっただけに、いつもの唐突感が漂う。そんな間にアーガマは虐殺コロニー30バンチに到着する。

カオルのひとこと:前話からの余韻なのか、女性陣が目立つお話。ライラはシャワーシーンまである大サービス、ジェリドとは何だかいい仲になりそうな気配が漂います。一方アーガマではヘンケンが艦長の特権でエマと個人面談。迷惑そうなエマの表情に、これはパワハラでは?との懸念がよぎります。

「制作者の都合」で爆破されるガルバルディ
 バスクの注入した毒ガスにより死の世界になった30バンチを目の当たりにするカミーユたちだが、その理由というのが「人類は地球を捨てて宇宙に住むべきだ」というデモを企画したエウーゴを鎮圧するためというのだから恐れ入る。しかし、核はもちろんのこと、コロニーが落ちれば大破、隕石が落ちれば氷河期という脆すぎる地球を守るのに毒ガス作戦は逆効果ではないのか。
 クワトロの解説はライラも聞いており、そこで戦闘になる。しかし初登場時の颯爽さはどこへやら、何か一方的に動揺して勝手にやられてしまうライラに視聴者は唖然。そしてなぜかライラの残留思念をテレビを見ていたジェリドが受信する。

 放置されていたポンコツ車を動かせるようにしたり(器用)、ジェリドなんかに熱を上げたり、出撃する理由も「ジャマイカン(ジェリド)に戦果を報告するため」と妙に純真なライラが健気だが、この感じだとあまり幸せな家庭に育っていない(元不良)と思わせる場面でもある。クワトロの説教が難しすぎて頭が爆発するというのは「オガンダムか」と思ったが、前後の話から察して、これの裏にあるのは売上不振によるデザイナー(永野護)更迭劇で、スポンサーの都合でリック・ディアスやガルバルディβを廃番にするために、巻き添えでガルバルディごと爆破された彼女はひたすら哀れであった。以降、安彦良和のキャラはこの作品には出ていない。なお、ガンダムで悪弊高い「主人公が敵と会話する」パターンの嚆矢を作ったのがこのライラである。

カオルのひとこと: 前半では「なぜ軍人なのか」と聞かれて「それしか食う方法を知らないから」などととぼけていたクワトロですが、30バンチでカミーユに説教を垂れる様子からはゲリラ戦士としての主張が伺えます。以前の彼は親友を騙して高笑いする策士でした。そんな過去があるだけに、これにも何か深謀遠慮があるのでは、と勘ぐってしまいます。

捻りのない演出と盛り上げるための「死」
 それにしても、ゼータの戦闘はつまらない。放映7話にもなるのに登場するモビルスーツは数種類だけで、ファーストにはあった戦車もなければ戦闘機もない。ひたすらバーニアを吹かして画面を飛び回るだけという戦法も捻りも何もない演出は、2ヶ月も見ているといいかげんにしろと投げたくなるものである。
 前話の予告編でライラの死を予告してしまうのもライターとして失格である。人の死で話を盛り上げようという手法はガンダムには非常に多いが、演出家として最低のやり方である。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:ベテランパイロットだったはずのライラが、なぜか脂汗をかきながら高校生パイロットのカミーユに大苦戦の末敗れ去っていきます。これがニュータイプとオールドタイプの差だそうですが、あの裸やジェリドとの思わせぶりな会話などすべてが虚しくなる結末です。早くもニュータイプらしく敵と会話しながら戦って着々と戦果を挙げるカミーユですが、アーガマに戻れば「まだ軍人にはなりたくない」とモラトリアムを決め込んでいます。彼のぶりっ子に付き合うのも飽きてきました。

評点
★★★ ライラの扱いはお粗末(小林)
★★ こんな大虐殺事件を隠し通せる世界ってすごいね(飛田)


関連レビュー「ZZ第7話 ガザの嵐」脚本:遠藤明吾

あらすじ
 ジャンク山に潜んだアーガマを倒せないことに焦ったマシュマーは巡洋艦エンドラを港の出入口に着底させ、燻り出しの強攻策に出る。マシュマーに出撃を願い出たガザの嵐隊のパンパはスクラムを組み、ガンダム退治に出撃する。「アーガマはみんなの迷惑だ」住民を扇動してアーガマに戦いを挑むパンパとガザの嵐隊にファのΖガンダムとトーレスのメタスは苦戦に陥る。しかし、「待て、後ろから撃つのは卑怯だ」ガザの嵐隊の騎士道精神でアーガマ隊はピンチを免れる。一方、ジュドーはゲモンに捕まり、ラビアンローズのルー・ルカに助けられる。「正攻法はもう止めだ!」ガンダムに乗り込んだジュドーにガザの嵐隊は三機一体の必殺技「ガザ・ストーム」を放つ。

Aパート:ガザの嵐隊出撃、パンパの住民扇動
Bパート:ルー・ルカ登場、必殺ガザ・ストーム

コメント
 5話に引き続き遠藤脚本のテンポの良い回、6話で実はエンドラ側に死者(ガザCのパイロット)が出ていたことが明らかになるが、その仇討ちとして出撃したパンパ(階級不詳)の勘違い騎士道精神が笑える。曲技飛行でバラの花を空中に描くなどその戦い方には上官マシュマーの影響が見られるが、追いつめられると非道な手段に走る、「この煙の中では手も足も出まい」、と言いながら自分らも煙に巻かれる間抜けさもマシュマーそっくりである。最終的にはZガンダムに三機まとめて葬られるが、できればもう少し長生きしてもらいたかったキャラである。実はこの辺がZZではいちばん面白いあたりかもしれない。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★★ ジオン兵のイメージを覆すパンパ隊の活躍。


関連レビュー「ガンダムAGE第7 話 進化するガンダム」脚本:兵頭一歩

あらすじ
 ザラムのアジトに捕まったフリットはザラムのボスにガンダムを引き渡すように迫られる。一方、トラックでフリット救援に向かったバルガスは少年たちと合流してザラム邸に向かう。そこにザラムの宿敵エルバのモビルスーツが現れる。

Aパート:フリット捕まる、少年探偵団登場
Bパート:エルバ登場、タイタス登場

コメント
 6話あたりから、「どんな面白い話をしてくれるんだろう」ではなく、「どんな話で(視聴者を)落胆させてくれるんだろう」という感じになっているガンダムAGEだが、ハッキリ言って話がタルい、タルすぎる。タイタスがUE(固いの)をやっつける話なら一話あれば十分じゃないか、目的を見失ったようなファーディーン編が始まってはや3話である。最初がどんな話だったのかも忘却の彼方に行きつつあるような。それと初登場のガンダムの鎧タイタス、何とも言えず「しょぼい」、装甲を増加しただけで動きが良くなるとか丈夫になるとか、色合いといい肌合いといい、ひどく昭和の薫りのするギミック玩具そのものだと思うが。なんとも言えないデザインに筆者は大昔のアオシマ文化社の名作プラモ「合体戦艦ヤマト」を思い出してしまった。 (レビュー:小林昭人)
※合体巨艦ヤマト http://www.1999.co.jp/10088707

評点
  評価としてはもはや化外の領域。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2199第7話 太陽圏に別れを告げて」
脚本:大野木寛

あらすじ(人類滅亡まで355日・冥王星から6日)
 太陽系の外縁ヘリオポーズに近づいたヤマトは地球への最後の交信と赤道祭を行う。家族を失った古代は同じく孤児の山本と談笑し、沖田は徳川と酒を酌み交わす。

Aパート:ヘリオポーズ到達、藤堂との交信
Bパート:赤道祭、乗員の交信

コメント
 地球との交信で冥王星基地の撃破が地球市民を安堵させたことを知った艦長沖田は新見の進言で地球との最後の交信と士気高揚のための赤道祭を企画する。この辺からして少し違うのだが、様子を見るとどうも交信は沖田の発案ではなく、イズモ計画に関わる新見が交信にかこつけて地球の上官芦沢に指示を仰ぐというのが動機のようである。「要らぬ里心などついては」と新見案に苦言を呈する保安部長伊東の言葉もあり、本来は別にやる必要のなかったイベントのようである。
 地球は配給が滞りヤミ市が立っているというのに、ビールにご馳走の赤道祭に仮装して浮かれ騒ぐ乗員も変なら、合間に家族と交信する会話の内容も変である。放射能が地下に浸透し、友だちがバタバタ倒れているというのに(前作)プレステで遊んでいる島の弟も変なら、ヤミ物資に手を出した長男を叱る徳川もこの状況でこれは的な変さ加減がある。そして、ヤマトを建造した南部重工業大公社(どうもこの時代の日本は中国に併呑されたらしい)の御曹司南部の会話も、そもそもヤマトを建造した会社のVIPにしては跡継ぎ以外何の関心もないなど、どこまでも無責任でステロタイプの会話が続くので見ていてダレてしまう。
 聞けば「ガミラスの攻撃で家族を全員失ったのは沖田や古代だけじゃない」という理由で、故郷を破壊されたもっと悲惨な山本を登場させたと思うのだが、そういう後付けの理屈こそはこの作品に要らない最たるものである。それにこの話で欠けているものはもう一つある。原作ではアルファ星のコロナ溶解炉まで続いた総統デスラーの高笑い、懸命な沖田以下ヤマト乗員の労苦をあざ笑うこれなしではこのエピソードはそもそも締まらない。そういうわけで、2199ヤマトに欠けているこの部分は筆者が補うこととしたい。

(第7話、新見がメガネを光らせた後に追加)



ボヨヨ〜ン <映るガミラス星>



デスラー 「フッフッフ、ヤマトめ、とうとう銀河にしゃしゃり出てきたな。宇宙の広さとそれを統べる大ガミラスの偉大さに縮み上がる姿が目に浮かぶようだ。ウワーッハッハッハ!」

 これがなければヤマトではないのである。 (レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:地球と通信する理由が士気高揚のためではなく、新見の陰謀通信のためだったとは…。滅亡の危機に瀕する人類をよそに、仮装パーティーで酔いつぶれるバカどもが許せん!

評点
 元の話をちゃんと見たのかと疑いたくなるひどい出来栄え。(小林)
 原作の、あの感動を返せ〜!(飛田)


関連レビュー
「Gのレコンギスタ第7話 マスク部隊の強襲」

あらすじ
 デレンセンが戦死し、クンタラ出身のマスク部隊がメガファウナ追撃の任務に就く。一方ベネリの母ウィルミットはグライダーで単身メガファウナに降下する。

Aパート:クンタラの解説、ウィルミットの脱出
Bパート:ラライヤGセルフに乗る、マスク襲撃

コメント
 冒頭でマスクがクンタラ出身の兵士を呼び集め、クンタラの説明を求める。今世紀以前の「人に食われるような劣った人々」という答えで、この世界では食人の歴史があったことが語られる。キャピタルの宗教世界といい、何とも我々に馴染みの薄い世界観である。弾道飛行に成功したメガファウナではバルーン・ダミーのテストが行われている。そもそもここはどこだ? 一方「ナット」ではグライダーに乗ったベルリの母ウィルミットが息子のいるメガファウナに向かう。そして、すっかり海賊パイロットに馴染んだベルリはアーミィーを迎え撃つためアメリア軍のMSジャナハムで出撃する。どうもモビルスーツの性能はキャピタルの方が優っているようである。
 どうもこの作品、見ること自体が過去作クイズといった感じで、これはあの演出、あれはこの演出と入れられているのだが、どうもキャピタルの教義から外れているらしいアーミィーはティターンズらしい。それが分かっているとこの作品は「情報の飽和攻撃」で、たぶん、どんな批判にも言い返せる内容はあると思うが、そんな手口はお見通しだし、期待されているものがクイズ番組ではない以上、今回も良い点をやれないとなる。なお、アーマーザガンはビグザム、ジャナハムはVガンダムの登場人物。
 この作品は作り手が「視聴者」について誤解をしているように見える。確かにネット時代の今日、目についた情報は直ぐにネットで調べられ裏を取られるし、Gレコもウィキペディアでは充実した項目を持つが、作品の視聴は算数ドリルの答え合わせではない。作品それ自体で世界観をきちんと語り、ストーリーを説明せねば、いくら裏情報が豊富でも、その作品に人に感動を与える力はないのである。 (レビュー:小林昭人)

アメリア:現在の北アメリカ大陸の位置にある超大国、ユーラシア大陸のゴンドワンと抗争を続けており、地球を二分する戦いを続けている。エネルギー供給はキャピタルに依存し、国民のほとんどがスコード教徒だがアグテックのタブーは軽視されており、進歩主義の思想を持つ。ベルリの姉アイーダが養育された地であるが、技術水準はキャピタル、トワサンガに比べ劣っている。この国がクンパ大佐の謀略によりヘルメスの薔薇の設計図を入手し、宇宙戦艦やモビルスーツを建造し始めたことが争乱の火種になった。主力MSのジャナハムは平凡な性能だが、アメリア製のMSモンデーロはキャピタル製やトワサンガ製のモビルスーツに対抗できる性能を持ち、Gアルケインも建造したことから、その軍拡はトワサンガに脅威を感じさせ、同国のザンクト・ポルト進出のきっかけとなった。

評点
 母さんグライダーはF91のパクリ、足サーベルはSEEDのイージス。


関連レビュー
「鉄血のオルフェンズ第7 話 いさなとり」

あらすじ
 木星に向かう鉄華団の戦艦イサリビを名瀬の戦艦ハンマーヘッドが捉える。前社長マルバも加わり、テイワズとの仲介を依頼するオルガだが交渉は決裂しタービンズとの戦闘に入る。

Aパート:名瀬タービンズ登場、交渉決裂
Bパート:タービンズとの戦闘、交渉成立

コメント
 ネタが無くなったので高倉健の仁侠物から持ってきたんだろうという感じの第7話、「兄弟の盃」とか、「姐さん」とかヤクザ用語が飛び交い、タービンズとの交渉は両者の実力行使に発展するが、鉄華団には無敵の三日月がいるので、ある意味安心してみていられる。そしてそろそろアニメ屋の本性も出たなというのはクーデリアの尻アップの場面。ホント話が弛んできたわ。名瀬配下のパイロットも少女ばかりというのも、もうウンザリ。今回は星2つと展開を見つつ思う。そして戦いはズルズルと続く。で、多少はまずいと思ったのかオルガが少年兵を率いてタービン艦に乗り込み交渉を成立させる。
 こういうレビューをする際に騙されてはいけないこととして、サンライズはロボットバトルには長い歴史とノウハウを持っており、およそどんな話でも「適当に盛り上がる」話は作れる。「ガンダムAGE」のような破綻した話でさえ戦闘シーンは盛り上がったのであり、レビューの際にはこの場面は「見なかったこと」にするか、むしろ差し引く必要がある。
 今話で登場した名瀬は鉄華団が伝手を探していたテイワズの直参で、どうやら先の話では巨大企業と説明されていたテイワズはマフィア組織と決めたようである。この世界には警察も裁判所もないので、だいぶ前の話でCGSの資金を持ち逃げしたマルバはどうも暴力団に庇護を求めたらしい。CGSは会社という話だが、この説明ではどう見ても社長マルバの個人事業主にしか見えない。やっぱりオルフェは視野を広げず、スタジオ・オルフェの経験だけで物を書いているような気がしてならない。
 あと、筆者が気になったのは戦闘開始時にアトラが寸胴の蓋を閉める場面、この場面では寸胴はベルトで固定していたが、蓋は載せるだけなので、これでは戦闘でスープがぶちまけられ、調理場は悲惨な状態になっていると思うが、この場面のフォローはなかった。あと、この調理場には洗い場がないので、このままでは食品安全基準に通らず、保健所に営業停止にされる。このアニメ、調理の場面はいつもおかしいが、オルフェはどうも自宅のキッチンの写真でも参考にしたらしい。なお、「いさなとり」とは鯨取りの意味。

(付記)
 年齢も50近くになると色々忙しいので、知識はネットや手近なハウツー本で片付けようという人が少なくないことは筆者も見て良く知っている。が、筆者の実体験で言えば、本当に役に立つのはそういう本よりきちんと書かれた多くはハードカバーの堅い本である。調理場の場面などネットで調べれば写真はいくらでもある話だ。そして、食品衛生の話などは自治体の規則をダウンロードし、食品衛生法の本を一冊読めばポイントは分かる話だ。事実関係に対する誠実さは制作者の良心を測る部分だ。その点において、オルフェンズの制作者たちには「ウケれば良い」という安直さが感じられ、どの描写にも今一歩信用するに足りないものを感じさせる。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★ 戦闘シーンはウンザリ。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第7話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第7話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第7話紹介
An another tale of Z 第7話「自由コロニー同盟」(本編)

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