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An another tale of Z

 このサイトについて

SF、エンターテイメント、そして歴史の三つの要素が融合した「An another tale of Z」

(1)「An another tale of Z」との出会い

  私が「An another tale of Z」と出会ったのは2007年のこと。運営しているサイト(本サイト)のガンダムコンテンツに行き詰まりを感じていたときでした。もともとガンダムのファンサイトとしてスタートし、シリーズすべてを網羅するものにしようと意気込んでいたものの、シリーズ作品は回を重ねるごとに魅力が薄れ、レビューや考察によって面白さを伝えていこうという意欲が持てなくなっていたのです。中でも「Zガンダム」への失望感は大きなものがありました。個々のキャラクターにはそれなりに魅力があるものの(だから恋愛分析のようなコンテンツはそれなりに成立します)、主人公には一向に共感出来ず、ストーリー展開にもついていけないものを感じました。にもかかわらず、ファンサイトなどを見ると高く評価されていることが多いのには違和感を持ち、自分の感覚が間違っているのだろうかと思ったこともありました。
 何か新しい風をもたらすような作品はないのか。そんなふうに思っていたとき、ふと目に留まったのが「An another tale of Z」のサイトでした。作者の掲げたコンセプトに惹かれるものを感じて読み始めると、たちまちその世界に引き込まれていきました。そして、思ったのです。「私が観たかったのは、こういう続編だった」。

(2)新発想によって不可能を可能にした「An another tale of Z」

  SFらしさを備えたロボットアニメとして、またティーンエイジャーにも受け入れられるエンターテイメント作品として一定の評価を得ている「機動戦士ガンダム」。しかし、その作品の核となるストーリーは戦乱に巻き込まれた少年少女と彼らをめぐる敵、味方の群像劇であって、その世界で提示された「宇宙世紀」という時代の全容を描ききるには至りませんでした。ただ、その世界には描かれていない様々な事象や局面があって、「次はどんなことが起こるだろう」「これからこの世界はどのように動いていくのだろう」と想像させるものがあったことも事実です。
「Zガンダム」を知る以前、続編として漠然と私がイメージしていたのは、ジオンを倒した主人公たちがやり残したこと、旧態依然とした官僚主義で主人公たちをたびたび苦しめた地球連邦を倒す、あるいは変えるということでした。しかし、そのままでは、これは内戦、あるいは革命の話になってしまいます。前作の主人公が、自分たちが守るために戦った国に反旗を翻して反乱軍、あるいはゲリラとなって戦うという話は、想像してみたものの、あまり楽しい話になりそうではありませんでした(そしてある意味、「Zガンダム」が、私が想像した、あまり楽しくなさそうな話そのままの構図で展開されたことには驚きを隠せませんでした)。さりとて、そのまま主人公が地球連邦の「正義」に立って敵と戦えばいいのかというと、それにも釈然としないものを感じたでしょう(事実、「逆襲のシャア」ではそんな感じになりました)。
 しかし「An another tale of Z」は、地球連邦が敵として立ちはだかるという一年戦争後の世界を、独自の視点と解釈を加えることによって違和感なく、そして面白い物語として見事に成り立たせていたのです。地球連邦、ジオン公国に新興国家を加える、という発想によって、そのことを可能にしたのでした。

(3)「An another tale of Z」の持つ三つの要素と七つの魅力

 このことからも分かるように、「An another tale of Z」は前作のエッセンスを継承しながらも「そのさらに上」を目指して創作された作品です。そこには前作から引き継がれてパワーアップした二つの要素にプラスして、もう一つの要素が盛り込まれています。
 一つ目は「SF小説としての魅力」。前作の世界を引き継ぎながらもより緻密な設定がなされ、現代からどれくらい先の未来で、どのような科学的・技術的発展と衰退とがあったかを物語の中で提示しつつ、現実感のある世界が描かれています。
 二つ目は「エンターテイメント小説としての魅力」。現実世界における冷戦後の世界情勢を見据えて作品世界に反映させ、その世界において勃興し、あるいは衰退していく多様な国や都市の様相、また人々の生き様を、時には豊かな情感を交えて描き出しています。
 そして三つ目は新たに加えられた「歴史小説としての魅力」。科学考証によって構築されたその世界は、現代から「宇宙世紀」と呼ばれるその作品世界の時代までを貫き通す時間軸の上にあり、読むものは作者に誘われながら、その世界の現在と過去を行き来していくことになります。そして、の先にある未来を思い描くことができるのです。

 そして「SF」「エンターテイメント」「歴史」の三つの要素は互いに作用し合いながら「An another tale of Z」の作品世界の魅力を引き出しています。私の感じたその魅力を七つの項目にまとめてみると…
1)未来宇宙史として構築された歴史観
2)その大きな歴史観の中で躍動する国々の興亡
3)その時代に生きる個性的なキャラクターの群像劇
   ・その持ち味を生かした原作キャラ
   ・作品世界の様々な様相を反映したオリジナルキャラ
4)提示される多様な価値観、そして読み手の自由な視角が許容されている
5)連続ドラマでありながら1話ずつ独立して楽しむことのできる読みやすさ
6)戦闘あり、恋愛あり、政治あり、市井の人々の人間ドラマありと、緩急のあるバラエティ豊かなストーリー展開
7)作者の深い人間洞察と社会への提言を含んだ多様なアイデア

 きっと、その魅力はこの7項目にあてはまるものだけではないでしょう。もう一つ、私に付け加えることがあるとすれば、それは「新しい世界を夢見る、というSFの原点を取り戻す」ということがあると思います。本サイトでは、そんな作品の7つの魅力を、様々な形でご紹介していきたいと思っています。

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