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機動戦士Zガンダム第35話「キリマンジャロの嵐」鈴木裕美子

あらすじ
 ドック艦で修理をしたアーガマはカラバ支援のため地球に向かう。地球でヤザンの部隊と鉢合わせた百式は故障して墜落し、カミーユとシャアはキリマンジャロのティターンズ基地に降り立つ。そこにはサイコガンダムと死んだはずのフォウ・ムラサメの姿があった。一方、アムロは新型モビルスーツ、ディジェでティターンズと戦っていた。

Aパート:アーガマのキリマンジャロ攻撃、百式落ちる
Bパート:キリマンジャロ降下、フォウ再会

ファンサービスでフォウ再登場
 筆者の記憶が確かならば、確かカラバは前回は「ニューギニアのティターンズ基地」を攻略するために戦っていたはずであった、ところが今回ティターンズの基地があるのはキリマンジャロ、タンザニアの高山で、その辺の説明が全くないから分からないが宇宙がゴタゴタしていた間に地球での戦いはだいぶ進んでいたらしい。かなり大規模な基地にはサイコガンダムがおり、ジャミトフのマンションがあり、次の話で分かるがジェリドが収容されている病院がある。

 この作品の中では数少ない「見られる」エピソードに香港編でのフォウ・ムラサメがあったため、たぶんファンの要望で急遽復活したのがキリマンジャロ編でのフォウである。「昔の記憶がないの」、前も昔の記憶がなかったが、今度も少し前の記憶(香港)がない姿で登場する。能力は前よりダウンしているようで、以前は簡単にできたサイコガンダムの遠隔操作に悶絶するシーンが描かれる。ファンサービスだろう。
 これも久しぶりに登場するアムロはディジェというデビルマンみたいなカッコ悪い機体で登場する。前のリックディアスに比べれば丈夫そうだが、トカゲみたいな色彩といい、ジオン機みたいなご面相といい、「これがアムロの機体?」というほどカッコ悪い。

カオルのひとこと:存在さえ忘れかけていたカラバとの共同作戦が唐突に持ち上がってきます。エウーゴは大気圏外から援護する作戦。地上には降りない予定でしたがクワトロがカミーユをかばって被弾し、Zもろともキリマンジャロに降下していきます。

シャアの妄動、カミーユのトラウマ
 潜入した基地でジャミトフの姿を見たシャアは例によって暗殺行動に出る。前のグワダンでもそうだったが、もう少し考えて行動しろよと言いたくなるシャアの妄動ぶりである。以前のシャアはもっと利口だった。あ、今はクワトロ大尉か。
 ベン・ヴッダーが生還しないでフォウが生還した理由はよく分からないが、とにかく生きていたフォウに出会ったカミーユは動揺する。そこにかつてのアムロとララァの姿を重ねるアムロとシャアだが、過去フィルムを差し込む必要がないほどこの二つの場面はかけ離れているので、実をいうとクワトロ大尉がフォウを危険視する理由が視聴者には今一歩分からない。前回のララァも別にアムロと感応したからではなく、シャアのヘマを庇って死んだこともある。

カオルのひとこと:キリマンジャロ基地では、死んだと思っていたフォウが生きていて、またまた怪しい実験台にされています。どうして脳波による遠隔操作であんなに悶絶しなければならないのか不思議ですが、他にもツッコミどころは満載です。クワトロとカミーユは、モビルスーツを放置してキリマンジャロ基地へ潜入。フォウの悶絶声に誘い出されるアンポンタンなお二人です。

 アクシズ絡みの話はあれ以上進めると難しそうだったし、視聴率は下がっているしで(盛り上がりがないのだから当たり前だ)、とりあえずフォウを生き返らせてみましただけの回だが、次回の話も含めて、これらの話は映画版では不要とカットされたのだった。そのくらい無意味なエピソードである。
(レビュー:小林昭人)


カオルのひとこと:基地内で都合良くジャミトフと鉢合わせしたクワトロは銃口を向けて殺す気満々。ゾンビ状態のフォウを必死で取り戻そうとするカミーユの痛さにドン引きしますが、本当のファンサービスはアムロの再登場でしょう。それにしても、乗っているモビルスーツがダサすぎです。嫌がらせとしか思えませんね。空き巣に大規模攻撃を仕掛けた間抜けなエウーゴと違って、ジャミトフのいるキリマンジャロに攻撃を仕掛けるカラバは案外しっかりしているのかも。まあ、メインはカミーユとフォウの再会なんですけどね。もはや戦争はオマケです。

評点
★★ 行き詰まってフォウ再登場。(小林)
★★ 本筋に戻ってカミーユの女めぐり、今回は死んでたと思ってたフォウ。(飛田)


関連レビュー「ZZ第35話 落ちてきた空」脚本:鈴木裕美子

あらすじ
 ジオンのコロニー落としがダブリン市に計画され、カラバとエウーゴは救出作戦を援護する。

Aパート:コロニー落とし作戦、ハヤトのアーガマ訪問
Bパート:ジュドーらの救助作戦、ラカン対ジュドー

コメント
 冒頭に出てくる壊れたマークII、ビリビリ言ってるし、いっそ捨てちゃえと言いたいが、ハヤトからのコロニー落としのお知らせとおかしくなったカミーユ再登場、どうもジオンの邪悪な気配を感じているらしい。器用な人だ。で、ラカン登場。かなり久しぶりだ。で、かなり壊れた戦艦アーガマにハヤト乗艦、故カツの部屋を訪れて落ち込むシーン、ま、この回でサヨナラだ。梯子の下を潜るとか、黒猫が前を通るなど、思いっ切り不吉な死亡フラグ全開で前半終了。何でも地球連邦は「口減らしのため」コロニー落としを歓迎しているらしい。どこまで腐っているんだ。市民を街に封じ込めるためのラカンの無差別攻撃始まる。どこまで非道なんだ。しかし、この回でいちばん許せないのはハヤトが戦死したのに合体してポーズ取って出撃するZZガンダムだろう。そしてコロニーは落ち、多大な犠牲と共にダブリン市は壊滅する。話が非道すぎてコメントを書くのも実はつらい。
 ホント勿体ないなあと思うのは、ZZの脚本家やスタッフは前作をほぼ引き継いだものなので、技術的にはこの作品はどこを取っても前作より上なのである。しかし、やはりまずいのは制作指導で、結局、この作品では汚名返上はできなかったのだった。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★ 話も唐突だし無理やり殺されたハヤトが不憫で、、


関連レビュー「ガンダムAGE第 35話 呪われし秘宝」脚本:木村暢

あらすじ
 宇宙海賊ビシディアンの正体が父アセムであることにショックを隠せないキオ。フリットはアセムを認めず、キオに父のことは忘れろと命じる。新パーツの製作とメッセージカプセルの解析が終わり、「呪われた秘宝」と呼ばれるエグザDBの存在が明かされる。過去の戦争,兵器のデータベースで、ヴェイガンもこれを狙って動き出していた。

Aパート:ゼハートのXトランスミッター、AGE3の新パーツ登場
Bパート:メッセージカプセル解読、ヴェイガンのディーバ挟撃作戦

コメント
 前半は、父の正体を巡って落ち込むキオ、複雑な感情にとらわれるフリットの葛藤をメインに、AGE3の新パーツ完成、ヴェイガン側のゼハートの新装備Xトランスミッターディーバ挟撃作戦などが語られる。そしてついに海賊=アセムの残したメッセージカプセルの内容が明らかになる。
 「呪われた秘宝」の存在を明らかにする、というのがその話。エクザDBと呼ばれる、過去のコロニー国家戦争のあとにまとめられた戦闘・兵器のデータベースで、これを手に入れたものが戦争の行方を決するというのだ。その一部を手に入れたことから、ヴェイガンは地球連邦を凌ぐ技術をもって戦争を仕掛けることが出来た、という話である。どこかの小惑星に隠されているらしいこのエグザDBを手に入れたものが戦争の勝敗を決するだろう、という海賊アセム。ゼハートとフリット双方がこれを狙って動き出す、というのが今回の話である。そんなアセムのメッセージを聞き終わったところをヴェイガンが襲撃、ディーバは彼らの作戦どおり挟み撃ちに遭い、キオはおびき出されて危機一髪に陥ったところで話は終わる。

 「正体見たり枯れ尾花」、一言でいうとそんな感想である。過去の兵器のデータベースを手に入れた方が戦争に勝つというのだが、うーむ。それこそ今、この作品の作者たちが作品づくりを通してやっていることではないか。過去のアニメ作品のデータベースを駆使して、毎回毎回脚本を練っているのだろう。過去作からヒントを得たり学ぶことは大切だが、例えば兵器や戦闘など、むしろ失敗から学ぶことの方が大きいようにも思われる。野球の世界でも、かの野村克也監督にこんな名言がある。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」。実は松浦静山という剣豪の言葉の引用だそうだが、剣術に限らず戦いのあるところすべての場面に当てはまる言葉ではないだろうか。
 それにしても、このガンダムAGEの世界、過去にはコロニー国家間の大戦争があったとか、適当な話を毎回作るが全体の世界観は一体どうなっているのだろう。どうやら、大戦争のあった過去よりも、技術レベルは相当衰退しているようだが、それはガンダムシリーズを通じた傾向でもある。どれだけ表面を虚飾で覆っても、こういうところで地金が出てきてしまうね。

評点
★★ 話の構成は悪くないが、制作者の姿勢には疑問を感じる。そんな「秘宝」に夢があるのか?!


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第35話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第35話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第43話紹介
An another tale of Z 第43話「オプショナル・プロトコル」(本編)
An another tale of Z 第44話紹介
An another tale of Z 第44話「オペレーション・フォルギラス」(本編)

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