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機動戦士Zガンダム第36話「永遠のフォウ」遠藤明吾

あらすじ
 キリマンジャロ基地に潜入したカミーユはフォウと再会する。記憶が戻ったフォウとしばしの逢瀬をするカミーユ、しかし、カラバの総攻撃が始まり、サイコガンダムに操られたフォウは再びカミーユと戦う。一方、ジャミトフは基地を爆破してシャトルで宇宙に脱出するのだった。

Aパート:カミーユのキリマンジャロ潜入、フォウ再会
Bパート:カラバ総攻撃、フォウ死す

ニュータイプの主人公と強化人間の逢瀬
 この辺の話は前の話とまとめて一話でも良いのではというほど間延びしたエピソード、特にフォウの死ぬシーンなんか以前のマウアーとそっくりである。透過光の使い方といい、今わの際の台詞といい、結局ジェリドに殺されたのは前回の意趣返しか。
 前話でティターンズ基地にフォウがいることを知ったカミーユはハングライダーで基地に潜入する。意外なことにフォウの記憶は戻っており、カミーユはフォウを連れて基地を脱走する。前の戦いで負傷したジェリド中尉はキリマンジャロの病院に入院しており、脱走を目撃した彼もカミーユを追う。そこでカラバの総攻撃が始まり、ティターンズに操られたフォウはカミーユの手を振りほどいてサイコガンダムに乗り込む。ジャミトフはフォウらを見捨てて宇宙に脱出しようとしていたのだ。戦闘マシーンに戻ったフォウとの戦いにカミーユは苦悩する。
 ニュータイプの主人公と強化人間の逢瀬と言っても、どちらも語るほどの背景も中身もないために、前回のサイコガンダム落下中のカミーユの告白ほど衝撃的な話もない(ネタ切れだ)、仕方ないのでサイコガンダムの秘密を話すフォウだが、前のサラといい、どうしてティターンズの強化人間は軍事機密をそう易々と話してしまうのだろう。それに戦いの最中にフォウはジェリドのビームサーベルに貫かれるのだが、普通の人間がそんなものを受ければケシ炭も残らないはずが、衣服も含めてほとんど無傷のまま生き絶えるというのも「出来すぎ」といった感じで却って白ける(前作のララァは本当にケシ炭も残らなかった)。このリアル系なのかファンタジーなのか混濁した作風はゼータの特色である。

カオルのひとこと:フォウを見つけたカミーユは、ティターンズの制服を着ていとも簡単に基地に潜入。そこでフォウと再会し、一時の逢瀬を楽しみます。フォウの個室に招かれるカミーユ、二人の会話はまるで不倫カップルみたい。フォウが生きていたことに驚かないカミーユも不思議なら、「必ず会いに来てくれると思っていた」というフォウも不思議です。


お子様向けリアクションとご都合主義はどこまでも

 宇宙に脱出するのは良いとして、脱出と同時に味方もろとも基地を爆破して去るジャミトフも、「どこのショッカーか」といった感じで、お子様向け悪の組織というのはみんなそんな感じだが、少なくともそういうリアクションはこの作品では誰も期待していなかった。そして、ジェリドのバイアランは爆風に巻き込まれる。ま、ジェリドもバイアランもすぐに宇宙で再会だけどさ。

カオルのひとこと:手と手を取り合って脱走する二人、そこに都合良く入院していたジェリドが登場、カミーユを追いかけるといういつものパターン。ジェリド登場はもはや笑うしかないところですが、そうこうしているうちに始まるカラバの総攻撃、フォウはサイコガンダムで出撃してジャミトフのシャトルを死守します。青いオーラを発して豹変するフォウ、ギャグの次はオカルトです。

 一連のニュータイプ騒動に何か期する所があったのか、クワトロ大尉ことシャアはハヤトにそそのかされてZの迷演説として有名な「ダカール演説」を決行する。最初に百式がヤザンの海ヘビで壊れなければこれも無かったのだから、どこまでも行き当たりばったり、ご都合主義で進む話である。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:サイコガンダムのフォウを戦いから救おうと説得を試みるカミーユですが、そこに割って入ったジェリドがビームサーベルでサイコガンダムの頭部を貫きます。カミーユとの共同作業でとうとうこの怪獣を仕留めたわけです。本当は仲が良かったんですね。フォウは死にますが、さすが強化人間、強化されているのであれだけの攻撃を受けてもかすり傷一つ負いません。彼の様子を見て「人は同じ過ちを繰り返す」とつぶやくアムロですが、アムロがララァに恋愛感情を持っていたと思っていたのは富野監督だけでは? ラストで唐突に「あなたはシャア・アズナブルに戻らなくてはいけない」とクワトロを諭すカミーユ。こうして行き当たりばったりにクワトロはダカール演説を決意するのでした。

評点
★★ 同一人物の二回戦死は白ける。(小林)
★★ フォウと再会して死んで泣かせるためだけに作られたお話。(飛田)


関連レビュー「ZZ第36話 重力下のプルツー」脚本:鎌田秀美

あらすじ
 コロニーがダブリンに落ち、功を焦ったグレミーはプルツーを目覚めさせる。

Aパート:ダブリン市全滅、プルツー登場
Bパート:プル対プルツー、プル死亡

コメント
 前半部分はほとんど壊滅するダブリン市とジュドーとラカンの戦いの話、一応統計を見るとダブリン市の人口は170万人、戦艦アーガマとアウドムラで救助できるわけが、破滅的な展開の中、プルの二代目プルツーが目覚め、初代プルと戦いを始める。それにしても、視界の効かない中、プルを使ってハイメガ砲を照準とかニュータイプ調教師ブライトの面目躍如の回でもある。これでカミーユは廃人になった。プル対プルツーの戦いは似たもの同士で勝負付かずZZ登場。カラバはどうもハヤトと一緒に全滅したらしい。サイコガンダムはどうもまじめに戦うとZZより強いらしく、ジュドーの身代わりでプル死亡、動揺したプルツーは逃げる。怒り狂ったジュドーにサイコやられる。そしてマシュマー再登場。いやもうこの辺なんですよ、話が普通の人についていけなくなるのは、以降は敵も味方もニュータイプのオーラ合戦、サイキック合戦になっていく。
 多分と思うが、「ニュータイプって何」と脚本家は監督に聞いたと思うのである。で、いろいろ話したと思うが、それをそのまま絵にするとどうしようもないのである。人類の進化とか次の発展段階とかを考えるのは、この人には荷の重すぎた話だったのだから。以降は普通人は戦場に近づくこともできなくなり、破綻した作劇の暴走は続いていく。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★ この辺から話に救いがなくなり、、


関連レビュー「ガンダムAGE第 36話 奪われたガンダム」
      脚本:兵頭一歩

あらすじ
 ガンダムAGEはザカルトに捕獲され、キオはヴェイガンに囚われてしまう。ボトンブラスター発射で活路を開こうとしたディーバだが、キオ捕獲に同様したフリットの無茶な命令に艦長ナトーラは翻弄され、敵の撤退を許してしまう。マッドーナ工房で補給を受けるディーバにアセムから通信が入る。それはキオ救出に動く用意があるという申し出だった。

Aパート:キオ捕まる、フリットの回頭命令に翻弄される艦長ナトーラ
Bパート:ディーバ補給、キレるフリット、アセムの通信

コメント
  少し前にはヴェイガンに本拠地を爆破されそうになりながら、這々の体で宇宙に出てきたのに、宇宙海賊、呪いの秘宝エグザDB、と、ヴェイガンに地球上の4割を占領された現状はどこへやら、目先のお楽しみ探しに余念のない制作陣である。今回は孫が敵に連行されてキレる爺さん、それに翻弄されるディーバのクルーたち、というお話しで、1話30分弱の間の展開としてはそこそこ楽しめるが、全体のストーリーの中の現在地を考えると、果たしてこれで良いのかと思う。前の話で「これから宝探しがはじまるのか?」と思ったら今度は監禁、ネタをばらまくばかりで回収していく気はあるのだろうか。実のところ、まだ宇宙に出て連邦軍は何をする気なのかも、ヴェイガンがどう出る気なのかもさっぱり明らかにされておらず、ゴールが見えずに迷走しているかのように見える。
 ヴェイガンについての描写が足りないので、監禁されたキオの目を通してもう少し彼らの内実が描かれるのかもしれない。それは悪くはないが、アセム編ぐらいでやっておくべきことだった。しかしこの展開の目的は、「敵の美少女と恋に落ちる主人公」というガンダムのお約束に持っていくためかもしれない。ゼハートのまわりをウロチョロしているフラムとかいうツインテール美少女は、今のところこれといった役柄を果たしていないが、そういう役割をあてがわれているのかもしれない。

評点
★★ フリットの存在感同様に、加齢臭がただよう新鮮味のない話。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第36話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第36話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第45話紹介
An another tale of Z 第45話「パイン山荘事件」(本編)
An another tale of Z 第46話紹介
An another tale of Z 第46話「秘策」(本編)

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