MUDDY WALKERS 

 著作集

 

宝島社 別冊宝島


僕たちの好きな巨大ロボット

2002年11月2日発行
定価:本体857円+税

ガンダム G・W・X レビュー

 平行宇宙(パラレル)ガンダム第一作は、奇しくもガンダム誕生十五周年を記念して製作された「機動武闘伝Gガンダム」である。この作品を一言でいうと「ガンダムのストリートファイター仕立て、火曜サスペンス劇場風味」ということになろう。これまでのガンダム作品が最も重要視してきた「戦争」と「兵器としてのモビルスーツ」をバッサリと切り捨て、戦争を国際試合に、白兵戦を格闘技に仕立て直した。こうして「ガンダム同士の格闘」という、宇宙世紀ストーリーでは描けないシチュエーションを見事に作り出したのだ。そしてTVシリーズで唯一、主人公が成人という設定が、今までにないサスペンスタッチのストーリー運びを可能にした。放映当時はファンの間で物議をかもしたが、今となってはキアヌ・リーブスがカンフーをやるくらいなのだ。ガンダムが格闘して何の問題があろう。大人のファンにこそ見てほしい作品である。
 外道ガンダム第二作「新機動戦記ガンダムW」にも度肝を抜かれた。「SMAPガンダム、風と木の詩添え」というところか。SMAPの大ブレイクにあやかって、美少年五人を主人公にすえたという色モノである。さらに、この五人全員がテロリストなのだ。特に主人公ヒイロ・ユイは他では見られない異様なキャラで、第1話の台詞「おまえを殺す」で私は瞬殺されてしまった。美少年キャラの行動は突っ込みどころ満載で、肝心のガンダムがどうでも良くなってしまう。やおいの好餌となった作品である。
 「機動新世紀ガンダムX」は不思議な能力をもった少女ティファの描く絵の場所を求めて彷徨うという、RPGのような設定が目を引いた。しかしフタを開けてみるとどこかで聞いたような台詞のオンパレードで、まさに「ファイナルファンタジー風ガンダム幕の内弁当」である。個人的には「これじゃガンダム×(バツ)だろ!」と突っ込みたくもなるが、ガンダム初心者のお子様ランチとしてはおすすめかもしれない。

<<BACK  NEXT>>

 MUDDY WALKERS◇