機動戦士ZガンダムDefine 第4話

ストーリー

 少年カミーユが図らずもクワトロに同調して加わったことにより、ガンダム2機の強奪に成功したエウーゴはグリーンノア1のコロニーを脱出。グリーンノア2、別名グリプスからはバスク大佐自らが戦艦アレクサンドリアで出撃し、強奪されたガンダムを取り戻すべく動き出していた。アレクサンドリアに先行してジェリドのハイザック隊がクワトロらを追撃するがあっけなく撃破され、バスクは一カ所に集結しているクワトロ隊を主砲で狙い撃ちしようとするが…。

レビュー

 前半はコロニーを脱出したエウーゴのクワトロ隊と追撃するジェリドのハイザック隊との戦闘シーン。マシンガンの弾を避け、相手を一撃で仕留めるクワトロの腕前にカミーユは驚愕しています。「向こうの弾は当たるのに、こっちの弾は当たらない」とイラつくジェリド、それは言ってはいけない「お約束」ですぞ。業を煮やしたジェリドは接近戦を仕掛けるもあっけなくぶっ飛ばされてモビルスーツ戦はジ・エンド。発進準備の整ったアレクサンドリアのバスクは「エウーゴのハエどもをたたき落としてやる」と息巻きます。
 実は連載も4回目になるまで気付かなかったのですが、扉を見ると北爪宏幸氏の名前の下に「スーパーバイザー:松崎健一」とありますね。いや、懐かし名前です。ファーストガンダムの脚本家で、SF考証を担当していた人、ミノフスキー粒子とかソーラレイとか、SFっぽい設定をいろいろ考えていたのはこの人です。一カ所に集まって艦隊を誘導するだとか、バスク大佐の「モビルスーツより戦艦の方が推進力が上」だとか、なるほどテレビ版にはなかった、妙にそれっぽい話が出て来たな、と思ったら、なるほどこういう仕掛けがあったんですね。しかし、なんだかヘンだな、って思いませんか? ATZの作者で当サイトでZガンダム全話レビューを連載している小林昭人さんによると「大きな戦艦はエンジンはMSより弱いが、燃料をたくさん積める。だから時間を掛けて加速すればMSより速い速度を出せるし、速度の維持も容易」だとか。しかし、アレクサンドリアは発進したばかり。バスクは「追いつける」って言ってますが、いやいや、この状況じゃ無理でしょう。だから、ハイザックを先行させたのではないの?
 おまけにクワトロの「一カ所集結作戦」にまんまと引っかかり、後方から接近してくるアーガマに気付かないとか、精鋭部隊とは思えないお粗末な戦いぶり。「戦争慣れしたクワトロさん」の引き立て役にしかなれないまま、話はアーガマでのクワトロ、ブライトご対面へと移ってゆくのでした。
 このままでは引き下がれないバスクはん、カミーユの両親の情報を手に入れて何やら良からぬことを思いついた様子。次は両親人質作戦ですが、きっとガンダムエースの編集部は、どうしてZがファーストガンダムほどにはリスペクトもされず人気もないのか、ちっとも分かっていないんでしょうね。スーパーバイザーをつけてSFっぽくしてみたところで、どうにかなるもんじゃありません。だって、この世界には「常識」っていうもんがないんですから。

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