■宇宙戦艦ヤマト　復活篇　

2009年　日本　135分 監督■ 西崎義展 原案■ 石原慎太郎 脚本■ 石原武龍／冨岡広／西�赴`展 出演■ 山寺宏一／青野武／伊武雅刀 藤村歩／由愛典子／古谷徹　ほか

スト−リ−

　西暦2220年、太陽の300倍の質量を持ち、光をも飲み込む暗黒の天体、移動性ブラックホールが宇宙から地球へと迫っていた。地球連邦政府は、移民船団 を組織。サイラム恒星系アマールへの移民を決行するが、謎の大艦隊の攻撃に遭い、船団が壊滅。古代進は移民船団の護衛艦隊司令としてヤマトに乗り込み、大艦隊に戦いを挑む。

レビュー

　1983年の「完結編」から26年の時を経て公開された「宇宙戦艦ヤマト」の続編。完結編から17年後の地球が再び見舞われた人類存亡の危機に立ち向かう ヤマトと古代進の姿を描く。毎年毎年年中行事のように滅亡の危機に見舞われていた地球だが、さすがに１７年ぶりとなると「やあ、久しぶり」という感じである。完結編から１７年たった宇宙は、地球以外は様変わりしているが、本星が滅んで宇宙を放浪していたデスラーが１年後にはガルマン・ガミラス帝国の帝王になっていたり、その翌年には銀河の衝突でボラー連邦もろとも消滅してしまっても何の不思議もない世界なので、１７年前には存在すら感じられなかった宇宙大 国が勃興していたとしても、別にどうということはない。そして今回地球が遭遇するのは、移動性ブラックホールに飲み込まれるという危機である。

　地球は数億人単位で人類を他の惑星に移住させる移住船団を送り出しているが、それよりも目を奪われるのは３８歳になった古代進の人生の惨状である。宇宙 貨物船「ゆき」の船長として長距離航行に明け暮れているようだが、妻の雪からは見放され、娘の美雪にも冷たくあしらわれる体たらく。そんな彼が再びヤマトの艦長に任命されて、かつての輝きを取り戻していくプロセスは実に本作を象徴するようで面白くはあるが、移民船団の団長で行方不明になった雪を必ず助けだす、と決意を口にしながらも、そのすぐあとに「その前に地球を救わなければ」と言い出すところで不覚にも爆笑してしまった。大企業で猛烈に活躍しながら、 家庭崩壊、家族はバラバラといういつぞやの時代の悲しい企業戦士そのまんまの主人公の姿は、今までにない親近感を感じさせるものかもしれない。

　このような、ある意味等身大の主人公、古代進の「その後」の人生やコンピュータグラフィックスによるこれまでにない斬新なデザインのメカニックなど、見 るべきところはいくつもあるが、全体としては、相変わらずヤマトと古代進の独善的なヒロイズムに偏った、ツッコミどころ満載の作品というレベルに留まった。結局雪は行方不明のまま、プロデューサーであった西崎義展氏が逝去されたため、未完の大作となってしまった。

評点　★★★

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