MUDDY WALKERS 

アンタッチャブル  UNTOUCHABLES

アンタッチャブル 1987年 アメリカ 119分

監督ブライアン・デ・パルマ
脚本>デビッド・マメット

出演
ケビン・コスナー
ショーン・コネリー
チャールズ・マーティン・スミス
アンディ・ガルシア
ロバート・デ・ニーロ
リチャード・ブラッドフォード

スト−リ−

 禁酒法時代のシカゴ。カナダからの密輸入などで勢力を拡大し、暴力と賄賂で完全に街を支配していたマフィアの大ボス、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)。彼を検挙すべく、財務局捜査官のエリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)が警察の捜査に加わる。しかし、カナダからの密輸を暴くとして、新聞記者を引き連れて乗り込んだ現場はもぬけの殻。警察から事前に情報が漏れていたのだ。記者からも刑事たちからもバカにされまくったネスはすっかり落ち込んで家路につくが、途中で出会ったパトロールの警官ジム・マローン(ショーン・コネリー)の威厳ある態度と眼力に目をつけ、自ら選んだ警官ジョージ・ストーン(アンディ・ガルシア)、援軍にきた財務局のオスカー・ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)を加えた4人でチームを結成。本腰を入れて密造酒の摘発に乗り出す。賄賂を受け取らず次々と星を挙げていく彼らはやがて“アンタッチャブル”と呼ばれて一目置かれる存在に。そんな中、ウォレスは脱税で彼らを摘発できるのではないかと考えるが…。

レビュー

   伝説的なギャングの首領、アル・カポネと対決する捜査官チームの活躍を描いた、サスペンス・アクションの傑作。豪華なホテル住まいで、大勢の部下に囲まれながらヒゲを剃り、爪にマニキュアを塗ってもらっているアル・カポネと、妻一人、子一人の慎ましい家から、小さなランチの包みを渡されて職場に向かうエリオット・ネスの対比がまず強烈。「こんな巨悪に、小市民的お役人が一体どうやって立ち向かうんだ」とのっけからハラハラ、ドキドキ。ネスが喜び勇んで踏み込んだ取引現場がダミーだったところで「あー、やっぱりね」と半分安心、半分ガッカリ。ところがその帰り道、一人の警官との出会いから、ストーリーはどんどん面白い方向に転がりだし、画面から目が離せなくなってくる。年老いた警官の、その異様なまでの存在感。スターダムにのし上がっていこうとするケヴィン・コスナーに対峙するようにショーン・コネリー、そしてアンディ・ガルシアが加わると、あら不思議。これまでまるでカポネに立ち向かえる気がしなかったネスのチームが、最強に思えてくるのだ。

 しかしそんなチームを少しも怖がることのない大ボス、アル・カポネを演じるのはロバート・デ・ニーロ。パーティー会場で例の赤ちゃんスマイルを振りまきながら、野球への愛を語りつつ、突然仲間を撲殺するシーンに恐怖が炸裂、一気にボルテージが上昇していく。カナダ国境での銃撃戦で勝利をものにしたのもつかの間、次々にチームのメンバーを失っていくネス。しかしウォレスが掴んだカポネ検挙への手がかりを死守すべく、ネスとストーンは駅で待ち伏せを敢行する。

 西部劇ばりの馬での戦いからアパート内での暗殺、そして心臓バクバクの乳母車階段落ちなど、バイオレンスなアクションたっぷり、それに加えてカポネを追い詰め、逆にカポネから追い詰められてゆくサスペンスを絡ませて、最初から最後まで突き抜けてゆくパワフルな展開。そして何よりケヴィン・コスナー、ショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロ、アンディ・ガルシアという今では考えられないような豪華キャストの男臭さが充満するような演技に、酔わされる。男は一度こうと決めたら、最後までやり抜く、そして「本当に自分は正義か」などとくよくよ悩んだりしない。最近ありがちな“内面の葛藤”なんて描写は一切なくて、カッコイイせりふとアクションで一気に駆け抜け、最後にはあっと驚く方法で勝利をもぎとる、このカタルシス。映画の定番、そして映画のお手本ともいえる一本でしょう!

評点 ★★★★★

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 MUDDY WALKERS◇