MUDDY WALKERS 

スーパーカブ Mirror Mirror

スーパーカブ 2008年 日本 80分

監督室賀厚
脚本室賀厚/津村美智子/鮫島慎一

出演
斉藤慶太/倉科カナ/小木茂光
風間トオル ほか ほか

スト−リ−

 峠の走り屋として名を馳せ、現在10連覇中のハマーはある夜、久しぶりに峠のレースに復帰したシンジの挑戦を受けるが、途中で白バイの女性警官に捕まり、免停を食らってしまう。親に無断の借金が発覚したことからバイク禁止、一人暮らしをやめさせられ、叔父のそば屋に住み込みで働くことになったハマーだが、バイクへの情熱は捨てられず…。ガレージで埃をかぶっていた出前用のおかもちバイクを発見。ひそかに修繕すると、ある出前のトラブルをきっかけに、超高速 出前ライダーとして活路を開いていく。そのころ、高級バイクばかりを狙った窃盗事件が相次ぎ、容疑者としてライバルのシンジの名が挙げられていることを 知ったハマーは、容疑を晴らそうとするが…。

レビュー

 ストーリーを見ると、結構おもしろそうな話と思うでしょう? そうです。いかにも低予算のB級映画だけど、期待せずに見てみると、意外にも面白かったという一作です。

 タイトルの「スーパーカブ」はもちろん、あの、巷で新聞配達や郵便配達で大活躍の、ホンダの超ロングセラーバイクのこと。峠の走り屋でならしたハマーの ライディングで、普通のライダーのそれなりのバイクにカブは勝つことが出来るのか、というのが本作の、おそらく根幹をなすコンセプトであり最大の見どころ です。「そんなの、無理でしょ」と思いがちですが、現実に、それはあり得る話。本作で活躍するカブは排気量90ccですが、地元大津から草津へ抜ける名神沿いの道に、110ccのめっちゃ早いカブが出没するという話を聞きました。あり得る話だからこそ、面白いのです。

 「柔能く剛を制す」「小能く大を制す」という無差別級の柔道の醍醐味を知る日本人にとって、これはたまらないコンセプト。バッタバッタと並みいる大型バ イクを追い抜いて、最後のライバルはお約束どおり、シンジの駆るスズキ・カタナとの1対1の戦いになります。叔父から、出前以外でバイクに乗ってはナランと釘をさされているハマーですが…、意外なオチが実に楽しくラストバトルを盛り上げてくれます。  2008年の作品ですが、映像を見ているとなんとなく90年代の香りが漂ってきます。近年はライダーの高齢化もすすみ、平均年齢が48.5歳(日本自動 車工業会調べ)だというからびっくりです。でも、そう思うと、この昔懐かしいバブルの浮ついた雰囲気ただよう映像づくりも納得かも。映画は夜の場面が多いのですが、ライティングがイマイチなせいか画面が暗すぎたのが、やや残念。あと、主役機のスーパーカブそのものに、もう少しスポットが当たっても良かった かな? 

評点 ★★★★

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