◇MUDDY WALKERS
■蝉しぐれ
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スト−リ−
牧文四郎(石田卓也)は海坂藩の普請方を務める下級武士、牧助左衛門(緒方拳)の息子。粗末な組屋敷に両親と暮らしながら道場に通い、剣の腕を磨いていた。隣家に済むふくとは、挨拶を交わすほどの間柄だが、思春期とあって互いに気になる存在である。そんなある日、文四郎は父がお家騒動に巻き込まれて監察の取り調べを受けることになったと知らされる。そのまま父は帰ることなく、切腹させられてしまった。文四郎は遺体を引き取り、大八車で家までの遠い道のりを運んでゆくが、最後の坂のところで力つき、どうしても登りきることができない。そのとき坂の上から駆け下りてきたのはふくだった。 | ||
レビュー「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう(創世記2:18)」という聖書の言葉が思い浮かんだ。牧文四郎とふくとは、互いをそんな存在として認め合う瞬間を確かに生きたのだ。この映画は、そんな二人の20年におよぶ愛と、それでも一緒になることができない世の不条理とを描いている。 | ||
MUDDY WALKERS◇