MUDDY WALKERS 

隠し剣 鬼の爪 

隠し剣 鬼の爪 2004年 日本 131分

監督山田洋次
脚本山田洋次/朝間義隆
原作藤沢周平

出演
永瀬正敏/松たか子/小澤征悦
吉岡秀隆/田畑智子 ほか

スト−リ−

 幕末。片桐宗蔵(永瀬正敏)は昔、自分の家に奉公していたきえ(松たか子)と再会する。商家に嫁いだきえはやせ細り、無残な姿だった。妹(田畑智子)から彼女のひどい境遇を聞いた宗蔵はたまらず、彼女を助け出すが……。

レビュー

 『たそがれ清兵衛』につづく山田洋次監督時代劇第二弾。原作は藤沢周平。『たそがれ清兵衛』はすごく好きだし、良くできた作品だと思うが、だからといって ここまで同じようなものを作らなくてもいいのでは?と思う。主人公の性格とか境遇とか、設定にいろいろ違いはあるものの、ストーリーの流れが同じで、なんだか先が読めてしまう。下級武士の慎ましい暮らしぶりの描写も『たそがれ清兵衛』と同じような感じで、はっきり言って退屈してしまった。

 メインは、主人公の片桐が、狭間という剣仲間と果たし合いをさせられる話。それに、片桐の家の女中が嫁ぎ先でいじめられ、連れ戻すという話がからむ。男 と男の戦い、そして男女の心のふれあい。映画としての要素は十分だが、盛り上がるべきシーンが欠如している。なぜ、片桐と狭間が御前試合をして、3−2で 片桐が勝った(が実はそれは狭間が勝ちを譲った)という、見せ場になるようなシークエンスを、セリフだけですませてしまうのか。実際に片桐が刀を使う場面 が終盤まで出てこないから、終盤の「果たし合い」の場面に向けて、期待感が湧いてこない。松たか子は演技がうまいのかもしれないが、この役柄には何か足り ない感じがして、こちらの方も全然盛り上がらず。なんか、がっかりだ。  それと、この片桐という男、自分の信念を貫いているつもりらしいが、半分死にかけの狭間と果たし合いをするのに、師匠のところへこっそり指南を受けに いったり、私憤を晴らすために最後にしたことといい、武士の風上にもおけない自分勝手なやつに思えて仕方がなかった。あの「隠し剣」は、そりゃ反則だろ! というわけで☆2つ。

評点 ★★ 

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