マラサイ AMS-8(原作RMS-108)
原作ではティターンズの主力機だが、作品ではエウーゴの主力機とした。本作では一回り小さくなり「デナンゾン」よりやや大きい程度である(作中で2番目の小ささ)。ペイロード・航続力の短い単発機であるが小型の母艦に大量に積むことができ、運動性も良いため、作品全般を通じてエウーゴの主力機として活躍した。
(資料集「戦後のアムロ・レイ&エウーゴ兵器実験」)
制度上、連邦警備隊の下部組織であるエウーゴはティターンズのように独自の開発組織を持つことはできず、そのエンジニアリングはハーヴェイのような民間の技術者が支えている。「マラサイ」はそうした彼の研究の成果として生み出され、当時としては小型の割に攻撃力が大きく、小型艦や旧式艦の多いエウーゴに取ってはうってつけの機体であった。
「が、初飛行が〇〇九一年ではいくらなんでも非力は隠せん。最新の工学技術を用い、稀に見る効率的な設計をしたと自負しているが、余分な贅肉がない分、改良で性能を向上させられる余地も乏しい。」
(作者メモ)
だいたい地球連邦系の勢力が一つ目の機体を使うというのがZのおかしい所なのですが、公式通りだと正義のエウーゴの装備は豪華すぎ、もっとチープな装備でないとまずいと思ったので原作のマラサイを小型化しスペックダウンしたのが本作のマラサイです。
マラサイ・ディフェンサー AMS-8(原作FXA-05A)
原作ではマークU専用兵器の「ディファンサー」は作品では小型モビルスーツの火力・航続力増強ユニットとして広汎に採用されている。マラサイ・ディファンサーはGMストライカーを開発したサイド4、ジャン・オクタヴィアン社がバーザム用のユニットをエウーゴ向けに手直ししたもの。長射程ライフルを装備する。
(第二十五話「魔弾の射手」)
強力なセンサーを持つエマのRX―178からデータが転送され、編隊を先導するアポリーはコンソールに接近する八機の機影を捉えた。彼の駆るマラサイは軽モビルスーツだが、現在のアーガマ搭載機は支援戦闘機ディフェンサーとドッキングし、火力はリック・ディアス並みの能力を持っている。火器管制装置をリンクし、編隊長機以下各機が長大なライフルの砲身を先行するバーヴィック隊の四機に向ける。照準ロック、今だ。
「撃て(シュート)!」
アポリーの号令で八門の強力ライフルが一斉に火を噴き、たちまち先頭の四機が火球と化した。
ミネバ・ラオ・ザビ
ジオン公国公王
年若のジオン公国公王。戦争直後の乳児の時代にマハラジャやクルトらによって擁立され、ハバロの共和国政権を打倒して公王制を復活させるキーパーソンとなった。
以降は第2代公王としてマハラジャら閣僚の補佐の下で政務を行っている。ハマーンとは友人だが、年長で容貌、才質、器量に優れた彼女に憧憬の念を抱いている。生まれつき病弱で、特に最近は体調を崩すことが多くなっている。サイド3出身、13歳。
(第十三話「女帝の死」)
「そちなら、余より良い公王(ヘルツォーキン)になるであろうな、、」
(資料集「ハマーンの旅」)
「まずはミネバ陛下(ヘルツォーキン)じゃ。」
禿頭の男はそう言うと、その黒い目でエアハルトの灰色の瞳をギロリと睨んだ。ミネバを陛下と呼んだクルトの言葉に彼は意外な顔をする。
「陛下とは、誰を?」
彼の言葉に頷いた宮廷武官にエアハルトはますます顔を曇らせた。この老人はア・バオア・クーから戻った彼がいかに説明しても、デギンやザビ家一族郎党の死を信じようとしなかった。突然変節した宮廷武官に彼は怪訝な目を向ける。
「ザビ家一門はミネバ陛下を残し、もはやこの世にはおられぬ。ならば、唯一の公孫であるミネバ陛下が公王であるのは、もはや当然のこと。」
クルトはそう言ったが、今のジオンは公王制ではなく共和制で、そもそもミネバが継承すべき玉座がない。
(本作メモ)
言わずもがなのことですが、ミネバの登場はガンダムUCより本作の方が先に書かれています。そういうわけで、本作のミネバはスカイダイビングが趣味という健康優良児ではなく、福井晴敏のそれとはかなり違った人物像になっています。そもそも気品はありますが容姿平凡でオードリーのように美女でもありません。
原作との対比(評者・飛田カオル) |
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原作のミネバ ドズル・ザビの一人娘で、サビ家の血を引く唯一の後継者。ハマーンによってジオン公国の総帥に祭り上げられ、ハマーンによって偏った教育をほどこされている。 ATZのミネバ ドズル・ザビの一人娘で、サビ家の血を引く唯一の後継者。デギン・ザビなきあと公王に即位するが、もともと虚弱体質だったことからほとんど宮殿の外に出ることなく過ごしていた。0096年、猛威をふるったタイタン風邪に罹患したことが原因で崩御する。享年13歳。 |
(フラガ評論集 ミネバ擁立の経緯)
「0080年1月1日、凄惨な一年戦争が終結した時、ジオン公国に勝利した地球連邦にはもはやジオンを再併合する力は残されていなかった。」
ま、順当なシナリオでしょう。いつまでも「ジオン残党狩り」とかやっているその他有象無象ガンダムエースよりこっちの方がずっとまともです。ゼータもこれでやってくれれば的な筋書きです。ネオジオンなんか要らなかったんですよ。で、小林さんご自身「変えた」と書いてありますが、理由は書いてない変更点がこれ。上手いと思いました。
「戦争の終結は指導者を失ったジオン共和国(the Zion Republic)からの「講和条件(pacification)」を連邦が受諾したことによるものであり、当初考えられていたような無条件降伏(unconditional surrender)ではなかった。ジオン本国であるサイド3宙域は無傷のまま残され、共和政府は鎮圧されたことから、結局、ジオン公国(Principality of Zion)は独立と主権を維持した。」
「共和政府は鎮圧されたことから」この一文、ヲタクには絶対思いつかないことだと思います。私も前のゲスト討論会でいろんなガンダムサイトを見ましたが、思考のレベルが違ってます。いったいどこのこの種のドラマで、「政府が鎮圧される」なんて描写あります? 政府は普通鎮圧する側じゃないですか。この「ジオン公国復権の方法」は、分かればコロンブスの卵的な話で簡単です。この説明だと、続編を作るにしてもジオン公国滅ぼす必要なんかファーストの説明ではそもそも無かったんですよ。確かにこの洗練された手口は、第1話の「あとがき」にも書かれているように、本当の「可能性の物語」の作者に相応しい鮮やかさです。
(資料保管庫 利通さんの発言)
「共和政府は鎮圧されたことから(6-1)」
フラガさんも指摘していましたが、これはミネバを擁立した側が勅令を出してデギンの勅令を無効化したのだと思います。効力が同等なら、「後法優先の原則」、この作者が知らないはずはありません。
ミネヴァ・ラオ・ザビ(戦艦)
ジオン最大の戦艦である『ミネヴァ』の建造は元々木星で喪失した『グワバン』の代艦として進められていた。技術的アドバンスは豊富なものの、故障が多く信頼性の低かったグワンバン級の反省を踏まえ、よりオーソドックスな技術で再設計された艦の計画は0094年に始まり、0096年には起工が始まっていた。
0098年にグワンバン級の建造中止を決めた女帝ハマーンが軍の改革に着手した時、同級は既に70%の工程を終了しており、そのまま廃艦にするにはコスト高だったことから建造推進が認められ、0099年完成、0100年1月1日に宇宙世紀100年記念艦として艦隊に配備され、同時に女帝により『ミネヴァ・ラオ・ザビ』と命名された。
同級はグワンバン級で確立された技術を用いつつも、より信頼性の高い技術で手堅く設計されており、単艦では優れた戦艦であるが、女帝ハマーンが大戦艦の建造を中止したことにより、このような大艦は以後は作られないだろうと言われている。
(諸元)全長450メートル、全幅231メートル 重量 185,000金属トン 乗員2,840名 兵装 550o55口径連装砲5基10門、副砲、対空砲多数(詳細不明)、ハイパーメガ粒子砲(2,000万MW)2門 艦載機GM+タイプ50機 所属 ジオン公国宮内庁