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An another tale of Z ATZ百科事典(33)



マラサイ AMS-8(原作RMS-108)
 原作ではティターンズの主力機だが、作品ではエウーゴの主力機とした。本作では一回り小さくなり「デナンゾン」よりやや大きい程度である(作中で2番目の小ささ)。ペイロード・航続力の短い単発機であるが小型の母艦に大量に積むことができ、運動性も良いため、作品全般を通じてエウーゴの主力機として活躍した。
(資料集「戦後のアムロ・レイ&エウーゴ兵器実験」)
 制度上、連邦警備隊の下部組織であるエウーゴはティターンズのように独自の開発組織を持つことはできず、そのエンジニアリングはハーヴェイのような民間の技術者が支えている。「マラサイ」はそうした彼の研究の成果として生み出され、当時としては小型の割に攻撃力が大きく、小型艦や旧式艦の多いエウーゴに取ってはうってつけの機体であった。
「が、初飛行が〇〇九一年ではいくらなんでも非力は隠せん。最新の工学技術を用い、稀に見る効率的な設計をしたと自負しているが、余分な贅肉がない分、改良で性能を向上させられる余地も乏しい。」
(作者メモ)
 だいたい地球連邦系の勢力が一つ目の機体を使うというのがZのおかしい所なのですが、公式通りだと正義のエウーゴの装備は豪華すぎ、もっとチープな装備でないとまずいと思ったので原作のマラサイを小型化しスペックダウンしたのが本作のマラサイです。

マラサイ・ディフェンサー AMS-8(原作FXA-05A)
 原作ではマークU専用兵器の「ディファンサー」は作品では小型モビルスーツの火力・航続力増強ユニットとして広汎に採用されている。マラサイ・ディファンサーはGMストライカーを開発したサイド4、ジャン・オクタヴィアン社がバーザム用のユニットをエウーゴ向けに手直ししたもの。長射程ライフルを装備する。
(第二十五話「魔弾の射手」)
 強力なセンサーを持つエマのRX―178からデータが転送され、編隊を先導するアポリーはコンソールに接近する八機の機影を捉えた。彼の駆るマラサイは軽モビルスーツだが、現在のアーガマ搭載機は支援戦闘機ディフェンサーとドッキングし、火力はリック・ディアス並みの能力を持っている。火器管制装置をリンクし、編隊長機以下各機が長大なライフルの砲身を先行するバーヴィック隊の四機に向ける。照準ロック、今だ。
「撃て(シュート)!」
 アポリーの号令で八門の強力ライフルが一斉に火を噴き、たちまち先頭の四機が火球と化した。

ネバ・ラオ・ザビ
ジオン公国公王
 年若のジオン公国公王。戦争直後の乳児の時代にマハラジャやクルトらによって擁立され、ハバロの共和国政権を打倒して公王制を復活させるキーパーソンとなった。

 以降は第2代公王としてマハラジャら閣僚の補佐の下で政務を行っている。ハマーンとは友人だが、年長で容貌、才質、器量に優れた彼女に憧憬の念を抱いている。生まれつき病弱で、特に最近は体調を崩すことが多くなっている。サイド3出身、13歳。

(第十三話「女帝の死」)

「そちなら、余より良い公王(ヘルツォーキン)になるであろうな、、」

(資料集「ハマーンの旅」)
「まずはミネバ陛下(ヘルツォーキン)じゃ。」
 禿頭の男はそう言うと、その黒い目でエアハルトの灰色の瞳をギロリと睨んだ。ミネバを陛下と呼んだクルトの言葉に彼は意外な顔をする。
「陛下とは、誰を?」
 彼の言葉に頷いた宮廷武官にエアハルトはますます顔を曇らせた。この老人はア・バオア・クーから戻った彼がいかに説明しても、デギンやザビ家一族郎党の死を信じようとしなかった。突然変節した宮廷武官に彼は怪訝な目を向ける。
「ザビ家一門はミネバ陛下を残し、もはやこの世にはおられぬ。ならば、唯一の公孫であるミネバ陛下が公王であるのは、もはや当然のこと。」
 クルトはそう言ったが、今のジオンは公王制ではなく共和制で、そもそもミネバが継承すべき玉座がない。

(本作メモ)
 言わずもがなのことですが、ミネバの登場はガンダムUCより本作の方が先に書かれています。そういうわけで、本作のミネバはスカイダイビングが趣味という健康優良児ではなく、福井晴敏のそれとはかなり違った人物像になっています。そもそも気品はありますが容姿平凡でオードリーのように美女でもありません。

原作との対比(評者・飛田カオル)
原作のミネバ
 ドズル・ザビの一人娘で、サビ家の血を引く唯一の後継者。ハマーンによってジオン公国の総帥に祭り上げられ、ハマーンによって偏った教育をほどこされている。

ATZのミネバ
 ドズル・ザビの一人娘で、サビ家の血を引く唯一の後継者。デギン・ザビなきあと公王に即位するが、もともと虚弱体質だったことからほとんど宮殿の外に出ることなく過ごしていた。0096年、猛威をふるったタイタン風邪に罹患したことが原因で崩御する。享年13歳。


(フラガ評論集 ミネバ擁立の経緯)
「0080年1月1日、凄惨な一年戦争が終結した時、ジオン公国に勝利した地球連邦にはもはやジオンを再併合する力は残されていなかった。」
 ま、順当なシナリオでしょう。いつまでも「ジオン残党狩り」とかやっているその他有象無象ガンダムエースよりこっちの方がずっとまともです。ゼータもこれでやってくれれば的な筋書きです。ネオジオンなんか要らなかったんですよ。で、小林さんご自身「変えた」と書いてありますが、理由は書いてない変更点がこれ。上手いと思いました。
「戦争の終結は指導者を失ったジオン共和国(the Zion Republic)からの「講和条件(pacification)」を連邦が受諾したことによるものであり、当初考えられていたような無条件降伏(unconditional surrender)ではなかった。ジオン本国であるサイド3宙域は無傷のまま残され、共和政府は鎮圧されたことから、結局、ジオン公国(Principality of Zion)は独立と主権を維持した。」
 「共和政府は鎮圧されたことから」この一文、ヲタクには絶対思いつかないことだと思います。私も前のゲスト討論会でいろんなガンダムサイトを見ましたが、思考のレベルが違ってます。いったいどこのこの種のドラマで、「政府が鎮圧される」なんて描写あります? 政府は普通鎮圧する側じゃないですか。この「ジオン公国復権の方法」は、分かればコロンブスの卵的な話で簡単です。この説明だと、続編を作るにしてもジオン公国滅ぼす必要なんかファーストの説明ではそもそも無かったんですよ。確かにこの洗練された手口は、第1話の「あとがき」にも書かれているように、本当の「可能性の物語」の作者に相応しい鮮やかさです。
(資料保管庫 利通さんの発言)
「共和政府は鎮圧されたことから(6-1)」
 フラガさんも指摘していましたが、これはミネバを擁立した側が勅令を出してデギンの勅令を無効化したのだと思います。効力が同等なら、「後法優先の原則」、この作者が知らないはずはありません。

ミネヴァ・ラオ・ザビ(戦艦)
 ジオン最大の戦艦である『ミネヴァ』の建造は元々木星で喪失した『グワバン』の代艦として進められていた。技術的アドバンスは豊富なものの、故障が多く信頼性の低かったグワンバン級の反省を踏まえ、よりオーソドックスな技術で再設計された艦の計画は0094年に始まり、0096年には起工が始まっていた。
 0098年にグワンバン級の建造中止を決めた女帝ハマーンが軍の改革に着手した時、同級は既に70%の工程を終了しており、そのまま廃艦にするにはコスト高だったことから建造推進が認められ、0099年完成、0100年1月1日に宇宙世紀100年記念艦として艦隊に配備され、同時に女帝により『ミネヴァ・ラオ・ザビ』と命名された。
 同級はグワンバン級で確立された技術を用いつつも、より信頼性の高い技術で手堅く設計されており、単艦では優れた戦艦であるが、女帝ハマーンが大戦艦の建造を中止したことにより、このような大艦は以後は作られないだろうと言われている。
(諸元)全長450メートル、全幅231メートル 重量 185,000金属トン 乗員2,840名 兵装 550o55口径連装砲5基10門、副砲、対空砲多数(詳細不明)、ハイパーメガ粒子砲(2,000万MW)2門 艦載機GM+タイプ50機 所属 ジオン公国宮内庁


(HIA社資料「青い空と白い雲」52話 戦艦ミネヴァの由来)
 ハマーンは自分の旗艦ミネヴァの上空を旋回しつつ、数度の戦いで煤け、傷ついたその艦体を見下ろした。元々木星で喪失したグワバンの代艦として建造されたこの戦艦をミネヴァと改名したのは、こういう使い方をするためではなかった。艦長グスマンの指示で、既に彼女の私物は艦から運び出されているが、艦の象徴である先帝ミネバ・ラオ・ザビの肖像画はまだ艦の司令官公室にあるはずだ。
 虚弱な公王ミネバは0080年の即位から0096年のその死まで、16年間の付き合いがあった。16歳で夭折するまで、時折、正常化同盟の暗殺を恐れて身を隠したり、結婚・出産のため地球に行ったり、木星に行ったりしていたため空白もあったが、概して友人としてつき合ってきた。
 「ミネバ」の真の姿は案外知られていない。年少だったこともあり、国政の場に姿を現すことはほとんど無く、何かをしたということも無かった。その後を襲った女帝ハマーンと比べれば、その印象はずっと薄いものというのが後世の評価だろう。
 戦艦ミネヴァは当初、木星で喪失したグワバンの代艦として建造が開始された。「グワバンU」という艦名まで決まっていたが、彼女が先帝の名を取り、「ミネヴァ・ラオ・ザビ」と改名し、0100年1月に宇宙世紀100年記念艦として艦隊に配備された。ジオン公国の新たな鎮として、その在任中は戦争を起こさず、また、クーデターの危機も招かなかった先帝の治績にあやかって、その名にしたのである。「平和を守りし者(
Dominae possessionis pacem salvum)」という艦の銘文には彼女の願いが込められていた。
 ハマーンはコクピットで溜息をついた。全く、「平和(pacem)」の言葉を合言葉とする船で戦場に赴かねばならないとは皮肉な話である。それも、争いを嫌っていたミネヴァの名で。

(作者メモ)
 ハマーン最後の旗艦ミネヴァ、作品では彼女の乗る船はグワダン以外は戦いの度に全て沈められているのですが、そうなると次の戦いでは作者は新しい戦艦の名前を考えなければなりません。戦艦グワンバンではすでに何度も出てきているので興ざめですし、グワダンも今さら、やはり新造艦でないと、、しかし名前がという感じですが、「ミネヴァ」という名は実はあまり悩まず決まりました。結果的に彼女はミネバの地位を引き継いだのですが、見た目簒奪のこれも(ハマーンは傍系)、彼女たちがそれほど悪い関係だったとは思えず。ハマーンの旗艦はこの名前しかありえないという感じで決まった艦名です。なお、艦型はZのグワダンを参考にしています。

ミハイル・レオンチェフ
タイタニア防衛隊二佐 地上防衛隊中隊長
 地上軍で戦車部隊を率いる指揮官、豪放で責任感の強い性格。防衛隊の信頼も厚いリーダー。タイタニア作戦後、部下を纏めてエウーゴに身を投ずる。マウアーに恋心を持つ。


(第十二話「タイタンの戦い」)
「送還と言っても、サイド5からタイタンまでは通常船で三ヶ月以上掛かります、おそらく四ヶ月、その間はどうするおつもりですか、執政官閣下(エクゼクティブ)。」
(第十七話「大統領暗殺」)
 レオンチェフはコクピットに貼った一葉の写真を手に取った。元タイタニア軍二尉、マウアー・ファラオ、タイタニア軍きっての女性パイロットだが、難民時代に知り合い恋仲になった。彼と異なり、彼女はエウーゴには志願せず、グラナダで平凡な仕立屋の見習いをしている。彼はこの作戦が終了したら結婚しようと持ちかけている。返事はまだもらっていない。しかし、タイタニアの復讐も終わり、リックスやキャメルの仇討ちをした後は、とにかく平和に暮らしたい。いずれは子供も儲け、ささやかだが幸福のある生活を営みたい。
(作者メモ)
 もし絵を描く機会があれば、もっといい男にしてやりたいですね。

ミラノ(巡洋艦)

 一年戦争時にマシュマーらが乗艦した標準的なサラミス級。ビンソン計画の基本設計に従い、ジェノバの造船所で建造された同艦は同じく同所で新造された「ベネチア」など同型艦と共に各地に転戦して戦った。ルウム会戦後の建造であるため、基本設計は70型のサラミスを踏襲しているが、新たに対ビーム機構などが搭載され戦闘力が高められている。
 ミラノは第226戦闘部隊の旗艦を務めており、緒戦のムーア解放作戦からパッチ護衛戦、ソロモン、ア・バオア・クーの戦いを戦い抜き、戦隊四隻中唯一隻生き残った殊勲艦である。ア・バオア・クーではキシリア・ザビのザンジバル級の脱出阻止、撃沈に活躍したと言われるが混戦のためその真偽は明らかでない。終戦後はルナ・ツーに係留されたが、損傷が大きく、払い下げにもファランクス級やスパルタン級への改装にも適さないと判断されたため、サイド1で解体され除籍されている。
(HIA社資料 「第226戦闘部隊」 軽巡ミラノと第226戦闘部隊)
 軽巡洋艦「ミラノ」は地球連邦軍の護衛艦サラミス級の1隻で、ビンソン計画に基づいてジェノバのアニエリ・フィンカンチェリ社の造船所で建造された軍艦である。名前の通りイタリア製の艦であり、砲熕装備と電子装備はミラノのフィンメカニカ社で製造され、エンジンはホイットニー社のエンジンをフィアット社でライセンス生産したPWF-55型核融合ロケットを1基備えている。2基の補助ロケットはダイムラー・ベンツ社製DB-110型化学ロケット、そして、ルウム以降の戦艦の装備の特色である「アンチ・ビーム」システム(ヴェガシステム)はイギリスのロールス・ロイス社が開発したものを用いている。ルウム会戦以降に建造が開始された軍艦で、サラミス級の従来の設計を踏襲しつつも戦訓により、様々な改良が施されている。ビーム対抗策のほか、モビルスーツの搭載などがその一つだ。

 ミラノには3機のモビルスーツが搭載されているが、204名の乗組員のうち、整備班も含めて新兵器の関係者は8名に過ぎない。士官比では16名中3名(ミケロッティとパイロットたち)、残りは全てジェノバ海兵団からの徴募兵である。モビルスーツGMの格納庫は艦全体の容積の20%を占めるが、艦には簡単な整備と補給以外行う能力は無く、補修を必要とするような整備は基地に帰投するか、あるいは専用の艦隊工作艦に赴くかしなければならない。

サイ級軽巡洋艦
→アルメル(巡洋艦)

メッチャー・ムッチャー
地球連邦軍予備役少佐 カリフォルニア術科学校校長
 アムロの上司の退役した地球連邦軍将校。ロサンゼルスの近郊でモビルスーツの訓練学校を経営している民間人。学校は連邦軍の戦略予備制度に組み込まれているため、予備役の彼も学校では正規の少佐待遇で指揮権を持ち、連邦軍に学校の経営を保障されると同時に軍の命令系統に組み込まれている。

(第十三話「女帝の死」)
「そんな勝手なことは許さん!」

ムハマド・ナミブ
 エウーゴの宇宙母艦「リューブイヤナ」の艦長で同型艦「ウリドラ」と共にジャブロー作戦に従軍する。艦隊が第三艦隊に包囲された際にはブレックスと共に超絶的な操艦技術で包囲網を脱出し有能な艦長であることを示した。元は自由コロニー同盟軍木星派遣艦隊所属の巡洋艦「ダイダロス」の艦長。エウーゴ創設後に同盟軍を除隊して参加する。同盟時代にはジオン軍との幾多の戦いの他、レダ星域会戦でマーロウ別働隊にも参加しており、エウーゴではブレックスに次ぐ歴戦の軍人として評価される。ただし、マシュマーにはあまり評価されておらず、エウーゴに転籍したのも木星時代の処遇に不満があったためとも言われている。
(第五話「帰還命令」)
 基地に砲塔を吹き飛ばされた戦艦が入港してくる。確か二日前にパトロール任務に出て行ったばかりの艦だが、と、マシュマーは思った。モハメド・ナミブ艦長の報告によれば、一応、ジオン艦にも同程度の損害を与えたらしい。