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銀河鉄道物語

 銀河鉄道物語(2003)各話レビュー

 第15話「共同戦線」(カシオペア中央ステーション防衛作戦)


あらすじ

 バンデルン流星群に襲われたカシオペア中央ステーションを守るため、スピカ、ベガ両小隊が出動する。が、ジュリアと村瀬の不和によりベガ小隊は撤収、代わりにシリウス小隊が隕石破壊の任に就く。しかし、流星は解析したジュリアの予測を超えて拡大しつつあった。

 Aパート: スピカ・ベガ小隊の迎撃作戦、シリウス小隊出場
 Bパート: 第二次迎撃作戦、アイアンベルガー再臨

コメント

 銀河鉄道物語にはシリウス、スピカ、ベガなど「小隊」が登場するが、作中の台詞で「大隊出動」というものはあるものの、どの程度の規模なのか、誰が大隊長なのか描写も説明もなかったために、この辺は推測するしかない感じである。古代ローマの時代から軍隊の編成は3が基本単位のため、SDF小隊3個で中隊、中隊3個で大隊、大隊3個が連隊、連隊3個が旅団、そして旅団3個で師団(18話で登場)となる。が、映像では「大隊出動」で十数個も出動しており、この辺は結構適当である。今回の話の場合、SDF小隊が3個出動しているため、出動は中隊規模で中隊長が必要なはずだが、そういった階位の指揮官(後に出てくるSPG指揮官ヨハンソンと同格)は本話では登場していない。
 描写を見ると、各小隊の中ではおそらくジュリアが最先任で、次が村瀬、バルジは一番下となる。それで村瀬がジュリアの命令で後退し、彼女がシリウス小隊にも指揮権を行使するという描写の説明が付くことになる。
 それにしてもと思うのは作品での彗星の迎撃方法、宇宙速度で飛来する物体を射落とすにはビームやミサイルで破壊するだけではダメで、これら物体は破壊しても元速度が速いため破片が散乱して降り注ぐだけという宇宙物理の基本がなってない。この辺の描写が作品の肝となっているために、シリウス小隊以下のSDF小隊は戦闘機や巨大列車砲まで繰り出してめったやたらに隕石を撃ち落としているが、今どきのアニメとしてはあまりにナンセンスな話である。
 バンデルン流星群は予期された自然現象にすぎなかったが、迎撃の最中、無数の小流星を圧して謎の巨大彗星が出現する。アイアンベルガーの来援で何とか破壊したものの、予期しなかった不自然な現象の背後には、何かうごめくものの影を感じさせる。 (レビュー:小林昭人)

今週の被害車両・施設

  ■銀河鉄道001号(ビッグワン)・・・隕石により小破
  ■銀河鉄道034号(フレイムスワロー)・・・隕石により小破
  ■銀河鉄道042号(アイアンベルガー)・・・隕石により小破
  ■カシオペア中央ステーション・・・隕石により小破

作品キャラ・用語紹介

銀河鉄道162号融解事件 
 ジュリアと村瀬の因縁の基となった十年ほど前の銀河鉄道の大事故、特急162号が恒星に引かれ、灼熱した列車が溶解して乗客全員が焼死した事件。助けを求める列車に村瀬は戦闘機で出撃し、ジュリアはコンピュータで列車の恒星への墜落を阻止しようとしたが、救援作業中に村瀬が負傷、ジュリアのプログラミングも軌道を変更する前に列車が炎上したため徒労に終わった。当時は二人ともSDF司令(ナレーター兼テンプレ司令、トードーというらしいが一部では名前なし)が隊長時代のアクルクス小隊に所属しており、浅からぬ仲であったことが語られる。

アクルクス小隊  
 銀河鉄道046号「サザンクロス」を旗艦列車とするSDF小隊で、現在では社長レイラと並ぶテンプレキャラのSDF司令が隊長時代に指揮を取っていた。ベガ小隊隊長村瀬、スピカ小隊隊長ジュリアは部下で、それぞれ現在の有紀学とルイのポジションを担当している。描写はないが、おそらく有紀渉も所属していた時期があったと思われる。SDF司令はその後昇進して去ったが小隊は存続し、バルカン砲の形状を模した独特の機関車はアルフォート軍に撃墜されたり、宇宙海賊に撃破されたりなどモブ列車としてそれなりに活躍している。車両も見てくれからしてその他大勢といった風情であまり高性能という感じはしないが、隊長時代のSDF司令の言によると、ビッグワン以前のSDF戦闘列車の中では有力な列車だったらしい。

カオルmemo

 バンデルン流星群から中央ステーションを守るためSDFスピカ・ヴェガ小隊が出動する。しかし村瀬隊長の独断専行に業を煮やしたジュリア隊長は、第二波防御の作戦をシリウス小隊と組んで実施することにする。シリウス小隊隊員もバルジではなく自分の命令で動くよう指示するジュリア。しかし流星群は予想を超えた規模となり、共同作戦は破綻寸前に追い込まれる。
 本作はアニメとしては異例なほど、キャラクターの年齢層が高い。15話の中心となるジュリア、村瀬、バルジの各小隊長は30半ば。シリウス小隊もデイヴィッド、ブルースは20代後半から30代と、おっさんキャラが山盛りである。生死を賭けた任務の中で経験を積んできた3隊長の仕事の流儀と意地の張り合いが描かれ、ラストの余韻も秀逸である。
 しかし、流星群への対処はいただけない。本作には科学を超越した設定が多々あるが、これは物理法則を踏まえないといけない話だ。流星群は宇宙を周期的に回遊しているというなら、銃器で迎撃するのではなくステーションを移動させればいいではないか。保線業務や自然災害への対処も鉄道会社の重要な仕事である。これほど大規模な路線なのだから、宇宙観測の部署もあるだろう。どうせならその辺りの幅を見せてほしかった。

今週のメンヘラ社長

今週もお休みです・・・



評点

★★★ 話としては爽快感があるが、詰めがイマイチ。(小林)
★★★ 制作スタッフは宇宙モノが苦手かも?と思ってしまう。(飛田)

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