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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第38話「女隊長エンマ」

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エンマ隊長、これがあなたの言う
軍人の誇りという奴か! しかし、私はそう思わない!

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第58惑星
 小さな星だが豊富な水と緑を持つ自然豊かな惑星、翼竜に似た原生生物が棲息している。惑星Jに引き続き、このあたりの惑星は小さいものが多いようである。

あらすじ

 戦艦ラガーガードと地球艦隊が第58惑星に向かっているのを見たローチャーはテレスにエンマ艦隊の出撃を提案する。惑星に到着したエンマは自ら偵察を行うが、その際の事故で偵察機から転落してしまう。

見どころ

司令官テレス対二枚舌管理職ローチャーの第3ラウンド、今回は「第58惑星」編。

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ローチャー 「現在ラガーガードはこの位置から座標XYZに向けて進行中です。」
テレス 「ということは、彼らの目標は第58惑星。」
ローチャー 「そうです、これは大変に重大です。彼らの進路は我々もまだ十分に探査を行なっていない空域です。万が一、連中に可住惑星を発見されるようなことがあったら、、」
テレス 「、、、、」
ローチャー 「もはや、これ以上連中の進撃を許すことはできません! 司令、直ちにこのエンマ隊長に出撃の許可を!」
エンマ 「テレス司令、魔の星での失態、今度こそ汚名挽回のチャンスを、出撃の許可を頂きたい!」

説明がてら、なぜかローチャーにより未探査宙域が戦艦ラガーガードとの決戦宙域にすり替えられているが、美人隊長に迫られてテレスは渋々出撃を許可する。第3ラウンドもローチャーの勝利で、テレスに不安げな視線を送るサークに注目、彼女は同じローチャー組でもエンマはまだ与し易いと考えている。

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ローチャー 「いいかエンマ隊長、これは極めて重大な任務だ。魔の星での失態を取り返す最後のチャンスだ。命を賭けて連中の進撃を阻止するのだ、生きて帰れると思うな!」

 この下りは少し難解である。実は筆者も何度か考えた。まず、テレスが去った後に彼の椅子に座るローチャーの態度、これはやはり彼の上昇志向を示しているだろう。そしてもう一つは任務の内容。翼竜が飛び交うジャングル惑星が命を賭けるほどの要衝か。これは以前の17話や24話の内容を思い出す必要がある。ガルベストンが単独探査に拘る理由、そして以前はテレスを失脚に追いやったガルベストン軍部の戦争継続の理由である。

カポネーロ  「平和的に話し合いでなどといったら、我々はどうなる? 失業だよ。」

 つまり、この下りは以前のルチアーノやラフィットなどの延長上にある。滅亡の危機は横に置き、探査活動を妨害する地球艦隊の排除の方が軍部にはより重要で、その点、大局的見地に立ち、ラッカルやドレイクの敗北をほとんど無視して処分もしなかったテレスとは異なる。ローチャーのような上昇志向の強い人間は、きっと探査基地への派遣も自薦であったに違いない。

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エンマ  「サムス、偵察機の用意を。」
サムス 「えっ?」
エンマ  「直ちに出発します。」
サムス 「ですが隊長、ここは隊長自ら偵察に向かわれるというのは、余りにも危険が多いのではないかと。」
エンマ  「今度こそ奴らを絶対倒す。そのためにも作戦は完璧でなければならない。私は行きます。」
サムス 「いや、しかし、、」
エンマ 「これが私のやり方です!」

 58惑星に到着したエンマは副官サムスの制止も聞かず、自ら偵察艇に乗り惑星を調査する。が、勇み足が過ぎ、操縦を誤った彼女は墜落し、ラガーチームに捕まってしまう。「私は、、負け犬にはならない、、」、墜落した機体から這い出した彼女は護衛機を追い払ったラガーチームの目前で力尽きる。「それで良くおめおめと逃げ帰って来れたな!」、エンマが捕虜になったことを知った副官サムスは帰還した兵士を殴りつける。

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 戦艦ラガーガードに収容されたエンマは治療の後、伊勢の尋問を受ける。命を助けてもらったことには感謝しつつ、頑なに尋問を拒むエンマの態度に伊勢は尋問を中止する。女性ながらエンマは武人であり、その誇りを彼は尊重したからだ。そして、警備の隙を突いてエンマは艦隊を脱走する。同じ頃、リックラガーがエンマ艦隊を発見し、上官を捕虜に取られたサムスも艦隊を出撃させる。艦隊の戦闘力で劣るため、彼らが企図したのは待ちぶせ作戦だったが、エンマの負傷で両軍はなし崩しに戦闘に入る。戦略的には全くの無意味、作戦中止を命じたテレスにはそう見えたが、彼の背後でほくそ笑むローチャーには違っていた。潔く戦って戦死することで、ガルベストンには軍神がまた一人作られたのである。そしてダイラガーはソード戦でバトルアタッカー・バルナルモZを倒す。

「エンマ、止めろ! そんなことをして何になる!」、作戦中止を求めるテレスの制止さえ無視し、無謀な突撃をするエンマ艦に伊勢は思わず叫ぶ、ある意味、エンマが大事にしてきた軍人としての誇りを素直に尊重していたのは、脱走したエンマ機に撃墜命令も出さなかったラガーガードのこの艦長かも知れない。しかし、伊勢はエンマと自分の間には同じ軍人でも根本的な所で違いがあることを知っていた。第5惑星で伊勢が地球政府の命令に背いたのは軍人としての誇りではなく、銀河の平和を守るためである。

「エンマ隊長、これがあなたの言う軍人の誇りという奴か! しかし、私はそう思わない!」

 今週の言葉は伊勢艦長、伊勢の命令で戦艦ラガーガードは砲火をエンマ艦に集中させ、彼女の戦艦を破壊する。華々しくも栄光ある死、望み通り名誉の戦死を遂げたエンマ隊長だったが、それがいったい何をもたらしたというのか。「これが戦争なのか、、」、ラガーチームに次の停泊先の探索を命じつつ、伊勢は虚しい気分に囚われる。

キャラクター紹介

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サムス

 エンマ艦隊の副官である恰幅の良いガルベストン士官、副官にしては珍しくマスク非着用で登場する。若くして艦隊隊長に出世したエンマに尊敬の念を抱いており、勇敢さに走りがちな彼女を諌める年長者でもある。エンマを捕獲されて帰還した部下を殴り倒したり、救出のために艦隊を出撃させるなど指揮官としても力量があるようである。ラガーガードに突撃するエンマを庇って盾になり、爆発を受けて戦死する。エンマ艦隊は彼に限らず、安芸に戦い慣れていると評価されるなど優秀な将兵が多い部隊である。

今週のバトルアタッカー(1分40秒)

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武器:ビーム砲、ソード

 エンマ艦隊のバトルアタッカー第2号「バルナルモZ」は1号に引き続き優秀なバトルアタッカーである。得意技は剣技で、ダイラガーランサーやスピンカッターを弾き飛ばすなど優れた格闘戦能力を示したが、剣を失った後は遅れを取り、ラガーソードで真っ二つにされて撃破された。エンマ艦隊のアタッカーはどれも有能で、前線基地時代、バトルマシン操縦者の訓練を探査中心にするか戦闘中心にするかで揉めていたことと比べると、その戦闘力は隔世の感がある。

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