◇MUDDY WALKERS
機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー | ||||
■第11話「つかの間の休戦」 | ||||
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■あらすじ | ||||
グラモン艦隊で戦闘機隊の訓練を続けていたガルベストン兵士シムは接触事故を起こして惑星に墜落してしまった。遺跡惑星にはラガーガードがおり、収容したシムとラガーメンバーの心の交流が描かれる。しかし、シムが地球側の手に落ちたことを知った隊長のグラモンはガルベストンの秘密が漏れることを防ぐため、シムの抹殺を全軍に指令する。 | ||||
■見どころ 10話以降はそれまであまり取り上げられなかったラガーメンバー個々のエピソードがメインとなっている。今回のメインは出雲タツオでダイラガーの右足下パーツの操縦士である。この11話はダイラガー全52話の中でも異色の話で、まず、全編を通してバトルマシンはおろか、ダイラガーの合体シーンもなく、ラガーマシンすらほとんど出ない。搭乗するシーンさえなく、ほとんどの話が探査船ラガーガードの食堂と前話から駐留している遺跡惑星の地上で進められる。11話は制作陣に取っても印象的な話だったらしく、シムの名と彼の最期の場面は後の話でも度々引用されている。悲劇的な結末でドラマ性の高い11話はハンカチなしでは見られない話である。 | ||||
■キャラクター紹介 | ||||
ダイラガーの右足下パーツ(タツオマシン)の操縦士、カイラガーチーム所属、やや根暗でペシミストのラガーメンバーで捕虜となったシムに最初は憎悪の視線を向けていた。しかし後に和解し、その後は率先してシム機の修理を手伝うようになる。撃墜されたシム機に駆け寄るシーンが印象的だが、敵意を示しつつも、実は彼がいちばん捕虜のことを気に掛け、気を遣っていたことが分かる場面でもある。カイラガーチームにはカラテヤ(黒人)とカッツ(サラ星人)という二大無言キャラ、背景キャラがいるが、タツオはマイナーメンバーの中では比較的台詞は多い方である。 ガルベストン、グラモン艦隊所属の戦闘機隊パイロット、艦隊での階級は「戦闘機隊勇士」、一応艦隊のトップガンだと思われる。演習中の事故でラガーガード近くに不時着し、以降、同艦の捕虜になる。ガルベストン兵士は無個性な仮面の割には仮面を脱ぐと政府批判をしたり、自然保護に理解を示したり、食事に不平を言ったり、上層部の情報に通暁するなど個性的な面々が多いが、ラガーメンバーと心を通わせたシムはその最初の兵士である。本星に弟がおり、彼の死は最終回に意外な形で影響を及ぼす。軍国的なガルベストンの体制から、グラモンが帰還した自分を処刑することは予期していた。出雲の制止を振り切って戦闘機に乗り込み、グラモン艦に撃墜されて最期を迎える。誇り高いガルベストンの兵士であり、捕虜になっても地球への亡命は考えていなかった。 | ||||
■今週のバトルマシン(0分) | ||||
番組の視聴率と超合金の売れ行き好調からスポンサーに対しても優位に立った東映制作陣は今話では本格的なSFドラマと人間ドラマにはどうしても邪魔な存在、彼ら自身何とかしたいと思っていた作品の宿痾、ポビー社(超合金の会社)村上克司デザインのいかにもな造形でSFの品格を毀損する極彩色のダイラガー(番組制作前に超合金が完成していたので彼らにはどうしようもなかった)と、お子様しか喜ばない怪獣映画まがいのバトルマシン戦の放逐についに成功する。出撃シーンすら割愛されたので3分以上の時間が浮き、それを全てドラマに注ぎ込んだ結果、第11話はシリーズの中でも屈指の名エピソードに仕上がっている。合体ロボなんかいらないのである。従ってこのコーナーで紹介する戦いもないが、それではコーナーが持たないので、今回はダイラガーの武器を紹介する。
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