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機動戦士Zガンダム第44話「ゼダンの門」鈴木裕美子

あらすじ
 ジャミトフと面会するハマーン、カミーユはサラと接触する。

Aパート:ジャミトフに面会するハマーン、サラ対カミーユの痴話ゲンカ
Bパート:ジャミハマ会談決裂、ジェリド対カミーユ

本題はあっという間で後は痴話ゲンカ
 考えてみればオープニングが変わって15話くらいになるが、「これはガンダムじゃない」という非難は中盤くらいからあったように思える。オープニングで目立つのはシャアとかアムロなど前作キャラで、いかにも「これは続編なんだ」と言いたげだが、中身は全然違うことは言うまでもない話である。
 で、前作の後継作品でもなければ未来の話でもない霊魂オーラの漂うこの世界では、近づくサラの気配でカミーユが呼び出され、前半はほぼサラとカミーユの痴話ゲンカで終わる。で、本題のジャミトフと会見したハマーンだが、こちらも10秒くらいで会見は終わりジャミハマは世代間ギャップで決裂、カミーユはサラを連れて帰る。何だか良くわからない話になってきた。そこでジェリド登場、ああ、またいつものトムとジェリーがでZガンダム名物、何十度目かのジェリドとカミーユの戦いが始まる。ここでジェリドがやられるのもお約束である。で、ジェリドとカミーユの乱闘の間に「死ね、カミーユ!」でカツが乱入するのもお約束である。何度目なんだろうこのパターン。

カオルのひとこと: シロッコにレコアという新たな愛人が出来たので、サラは面白くありません。嫉妬に燃えるサラは戦場へ。人間探知機のカミーユは、サラの気配を感じて出撃。ブライトさん、完全に彼を利用していますね。例によってカミーユはサラを戦闘中会話に引き込みます。モビルスーツを降りて隕石基地へ。ここでつかみ合いの痴話ゲンカが繰り広げられます。ジェリドなき後の黄金パターンですね。

作品全体を貫く主題やテーマ性の欠如
 とまあ、何だったのこの話と思える感じで淡々と話は進むが、指折り数えて終わりを待つと残りあと6話、2話は決戦パートだと思うので、使えるのは4話くらい。ハッキリ言ってこの辺から準備しないとヤバいだろうという位置である。しかし、次回もどうもそんな話ではなさそうで、ハマーンがアクシズをぶつける話で多分終わる。放ったらかしにされているコロニーレーザーが哀れである。
 このレビューも語ることがなくなってきたというか、話が薄いし見所といえば痴話ゲンカぐらいだし、ポイントと言っても特にないし、肩透かしみたいな話がこうも続くと、見ている側も疲れてしまう。

カオルのひとこと:と思ったらジェリドはまだ生きていてジャミトフにくっついているみたいです。しぶといですね。ハマーンがジャミトフと会見、しかしじっくり話す間もなく青酸ガスをばらまいて逃げていきます。一体何がしたかったんでしょう。はたまた戦場の痴話ゲンカに逆戻り。ザビ家と共闘なんてできるか!と反発していたカツも、サラの気配を感じて戦場へ。主義より直感が大事ってことでしょうか。

 筆者は別途並行でZZのレビューもやっているが、このZZも途中あたりから見る気しなくなる作品である。Zに比べると個々の話は出来は悪くないのだが、並べてみるとより単調というか、作品全体を貫く主題やテーマ性の欠如が感じられる。これは続編なので、これらの作品に共通する「テーマの見失い感」はどうもこの辺から始まっているようである。要するに中だるみ現象なのである。思うにZZの制作がこの時期には決まっていたことが、ラスト近くになるにも関わらず第三クールの延長のようなたるんだ話が続く、おそらくは原因なのだろう。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:ハマーンに腹を立てたジェリドはバイアランで出撃、グワダン目指して一直線。そこで仇敵カミーユと再会。いつものパターンの復活です。カミーユはサラを連行していますが、彼女はカツホイホイ、寄ってきたカツがジェリドをやっつけてくれて、ジ・エンド。再びアーガマに捕われたサラ、というすごいどうでもいいお話しでした。見失われたテーマですが、作品の中に流れている一貫した主張は「大人はズルイ」「だからボクがズルイ大人から哀れな女たちを救ってやる」ということでしょうか。フォウの死辺りから顕著になった気がします。もはやティターンズだ、エウーゴだという組織の対立などというのは、立派な志のボクちゃんの背景でしかないのでした。

評点
 次の話も含めて一話で十分。(小林)
 メインの会見、意味がよく分からない。(飛田)


関連レビュー「ZZ第44話 エマリー散華」脚本:鈴木裕美子

あらすじ
 ミネバを誘拐するためにコア3に再度潜入したジュドーはハマーンと対決する。

Aパート:ミネバ誘拐作戦、ジュドー潜入
Bパート: ミネバ誘拐失敗、エマリー死す

コメント
 ああ、もうタイトルからして脱力が、殺さなくてもいいじゃないか、ブライトとの掛け合いは楽しんで見ていただけに、そろそろ突入無理やり殺害の最終決戦モード、全員生き残るとかもっと和気あいあいとしたラストでもいいんじゃない? で、何を思ったかジュドーは前回偶然見つけたミネバ誘拐作戦を実行する。何でと思うが、やけにテンションの上がったグレミーが打倒ハマーン宣言をしている。そしてジュドーたちは易々とコロニーに潜入する、鍵掛かってないんだろう。そこでマシュマー再登場。
 で、お約束のハマーンとジュドーの再々対決だが、元々描写自体が少ない人だけにハマーンの意図が今一歩分からない。どうもミネバそんなに大事そうじゃないし。まあいいか、あと3話で最終回だ。
 で、話はつつがなく進み、ジオン軍も仲間割れで手一杯、どう見てもタイトル通りに死にそうにないエマリーさんだが、後半で突然殺される(何でだ)。
 何というか、そろそろラストなのだが、話の軸というかテーマを見失ったような話が続いていて実はそんなに面白くない。というより、何でエマリーさん殺しちゃうの。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★ エマリーが死んでもイマイチの話。


関連レビュー「ガンダムAGE第 44話 「別れゆく道」脚本:日野晃博

あらすじ
 ルナベースを攻略した地球連邦軍。アルグレアスはヴェイガンの宇宙要塞ラ・グラミスを次の目標とし、フリットを総司令官に任命する。しかしアセムはあくまでヴェイガン殲滅にこだわり続ける父フリットに疑問を持ち、ラ・グラミス攻略作戦を前に、戦線から離脱する。そしてエグサDBを発見し、父フリットの手に渡す前に破壊しようとするのだった。一方ゼハートはイゼルカントからガンダムレギルスを託され、その力を開放しようとするのだった。

Aパート:フリット総指揮官に、イゼルカントから全権委譲されるゼハート
Bパート:フリットとアセム、キオの諍い、ゼハートのガンダムレギルステスト飛行

コメント
 ルナベース攻略戦で、大量破壊兵器であるプラズマダイバーミサイルを使ってヴェイガン殲滅を図ろうとしたフリット。降下部隊の活躍でミサイル発射は避けられ、基地は降伏、捕虜となったヴェイガンは地球送りとなった。これが気に入らないフリットとキオ、そしてアセムとの間での諍いが展開される。一方で、戦闘中にアセムからいろいろと吹き込まれたゼハートは、イゼルカントに「プロジェクト・エデン」の計画内容を教えろ、と詰め寄るが、逆に彼の真意を聞かされて再洗脳され、イゼルカント専用ガンダムの「ガンダムレギルス」を託され、今後の戦いを任される。
 どうもテーマは、爺世代と孫世代との軋轢、というか考え方の不一致、というところのようだが、特に鼻につくのがフリットの老害ぶりである。フリットがヴェイガン殲滅にこだわり続ける背景には、彼が10代の頃、恋心を抱いていた大切な少女をヴェイガンに殺された、その恨みがあることは想像に難くない。しかし、その出来事から恐らく60年近くたっているのではないか。その間、フリットは常に前線で活躍し、地球連邦軍の総司令官にまでなっている。そうした経験の中で、成長したり憎しみを違う感情へと昇華させたり、ということはなかったのだろうか。例えば、太平洋戦争時に少年兵として戦い、幼なじみの少女を米兵に殺された経験を持つ男性がいるとしよう。今、齢80を超えていると思うが、その老人が「幼なじみのあの子を殺された、だからアメリカに復讐すべき」と考えているとしたら、あなたはどう思うか。この老人は、戦後60数年間、穴居生活でも送っていたのかと思わないだろうか。それはあまりに現実離れした感情で、人間は、そんなにも長く憎しみの心を持ち続けることはできない、と私は思うのだ。
 スタッフは恐らく、力を振り絞ってこの脚本を書き、作品に仕上げていると思う。だが、一生懸命やったからといって良い作品になるとは限らない。三世代に渡る戦い、というテーマを掲げたなら、三世代に渡って蓄積されてきた経験、その経験によって人がどう成長し、感情を深い洞察へと変えていったか、そういった人間像に真剣に取り組まなければならないと思う。スタッフはがんばっているだろうと思うが、がんばるところを間違っているのだ。

評点
  最終決戦へ向けて、盛り上がらないつなぎのお話。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第44話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第44話レビュー


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