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■機動戦士Zガンダム第31話「ハーフムーン・ラブ」鈴木裕美子
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あらすじ
特殊任務で月に降り立ったサラ・ザビアロフ、一方、補給のためフォン・ブラウンに寄港した戦艦アーガマではシンタ、クムが行方不明になる。子供たちを探しに街に出たカミーユは爆弾を仕掛けるサラと出会う。
Aパート:サラのフォン・ブラウン潜入
Bパート:サラの爆弾テロ
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新鋭機ハンムラビ登場 一言で言えばかったるい話、めったにない街角の話で、ストーリー中重要なエピソードだとは分かるが(そのため、映画版ではこの話がかなりの尺で使われている)、シュワワワンと例のニュータイプの効果音が時折擬音で入るカミーユとサラの会話は電波だし、噛み合ってないし、それが前半と後半の大部分で、あと、付録程度に戦闘がある。
シロッコ選定のサラのコスプレのセンスの悪さはさておき、この時のサラの任務というのが港に寄港したアーガマを爆破するためにドックのある町ごと破壊しようというものだが、そのサラの往還用に新鋭機ハンブラビ(デザイン永野護)が登場する。久しぶりの追放デザイナー登場だが、「実はモビルスーツより宇宙戦闘機のほうが有能では」と思えるほど画面を隅から隅まで飛び回ってエウーゴを翻弄する。モビルスーツから宇宙戦闘機にトランスフォームするハンブラビは後にヤザンが乗り、主人公の強敵となる。
前回も出てきたフォン・ブラウンは中立都市という話だが、以前にカミーユが潜入した際にはこの街はどう見ても「反ティターンズの街」で、住民もエウーゴ支持だし、抵抗勢力もあるようで一度この街を占領したティターンズは発電所を乗っ取られて追い出されている。が、この辺の話はほぼ無視されており、別の都市と言っても差し支えないほど淡白な描写に終始している。
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カオルのひとこと:シロッコの寵児サラが今度はスパイに。新型機で颯爽と月面に降り立ったサラ、預かった私服はスパイにしてはあまりにもインパクトがありすぎです。色仕掛けかと思ったら、実はアーガマが停泊しているドックを爆破する作戦。なにゆえそんなに胸の谷間やヘソを出す必要があったのか。デート服にしてもひどすぎます。
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説明されない現代との時間差
ここで「やだな」と思うのは、この場所が1969年のアポロ月着陸の場所という設定であることで、イーグル着陸船などが出てくるが、そもそもこのサイコ現象溢れるZガンダムのこの世界と現代とがどのくらいの時間差があるのか、作品ではほとんど説明されていないのである。実は宇宙世紀元年というのは諸説あり、Zガンダムの時代にはこのアポロ着陸の1969年というのが定説であった(現代は宇宙世紀0042年である)。どう見てもありえない話なので、この辺は今ではスライドされているが、例によってこれもサラの爆弾で爆破されてしまう。こういう歴史的建造物に対する敬意の無さは過去ではルーブル美術館を爆破したこともある富野氏のお家芸である。
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カオルのひとこと:時限爆弾を仕掛けたらさっさと立ち去れば良いものを、都合良くカミーユと再会し、そこで「君はそんなことをする女の子じゃない」と上手いこと乙女心を攻撃してくるカミーユに言いくるめられてデートごっこを楽しむサラ。ニュータイプならではの異常な勘と電波な会話がなければ、これほど都合良くお話しは進まないでしょう。
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前回のカミーユ、レコアに続くサラの潜入劇だが、毎度毎度思うのは、この作品、こういった本来は命がけの(どこの国でもスパイ罪はたいがい死刑である)工作活動をするのにその描写が軽すぎることである。スパイ工作は本来ならそれだけで映画を一本作れる内容だが、そういうことをまじめに検討した形跡はこの回には見られない。
(レビュー:小林昭人)
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カオルのひとこと:サラと街角で再会したカミーユ、実は「アームストロング広場に行きたい」とだだをこねた末姿を消したクムとシンタを探すために出てきていたのでした。戦艦に子供というありえない設定を手玉にとって、都合良くダシに使うこと、あっさり爆弾を見つけたカミーユが、手を滑らせて回収に失敗、アーガマは逃れるものの港は爆発し被害甚大で「なんだかなあ」という結末。実は子供は風呂場に隠れていて「ヨカッタヨカッタ」で済まない後味の悪さ、本当ににうんざりです。
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評点
★ 子供だましのスパイ劇、スタッフは映画を見たことないのか(小林)
★ サラをスパイにする必要はどこに?要するにカミーユとしゃべらせたいだけ(飛田)
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関連レビュー「ZZ第31話 青の部隊(後編)」脚本:鎌田秀美
あらすじ
ビーチャに撃墜され、なぜか青の部隊の族長に納まり現地化するグレミー、ああ、こうやってジオン軍がアフリカ化したんだなと思える一幕。一方ルーは相変わらず砂漠をうろつき、周囲に迷惑を掛ける。一方悪人オーギュストは砂漠の町を攻撃する。
Aパート:青の部隊で怪気炎を上げるグレミー、ルー回収作戦
Bパート:オーギュストの攻撃、青の部隊やられる
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コメント 砂漠の素朴な人たちとそれを利用する悪のジオン軍という構図だが、しかし何で民族運動にガンダムが巻き込まれなければいけないのか。名前も分かりにくいし、地名も分かりにくいし、まあ、そこそこまとまっているし、ルーがZZ操縦しているので、これで良しとするか。グレミーの独白は思わせぶり過ぎて意味不明。
このあたり、細かいエピソードがいくつもあるが、このアフリカ作戦が最終回に絡むこともないために、全体における話の位置が掴めず、良くできた話なのだがイマイチ割り切れない。次回はジュドーが百式に乗るらしい。
(レビュー:小林昭人)
評点
★★★ 話はまあまあ、全体の位置は不明。
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関連レビュー「ガンダムAGE第 31話 戦慄 砂漠の亡霊」脚本:木村暢
あらすじ
連邦軍の総司令部が置かれたロストローランを目指す戦艦ディーバは、砂漠で砂の中から敵襲を受ける。キオはアビス隊の女性パイロットからシャナルアから指導を受け、ガンダムで出撃して砂の中に潜む敵を撃破する。
Aパート:ウットビット登場、砂漠での敵襲
Bパート:ガンダムとMS隊出撃、新パーツ換装
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コメント 新たに総司令部が置かれたロストローランに向かう戦艦ディーバ。ヴェイガンに行き先を知られないよう、低速・低空で飛行している。砂漠で、砂の中から現われたナゾの敵の攻撃を受け、さあどうする、という話である。どうするもこうするも、どうやらキオ編では、ディーバで新兵器作製→その間敵襲に耐えるガンダム→新兵器登場→ビームでドカーン!、というのが毎度おなじみのパターンらしく、前回に引き続き今回もこの流れである。その前に、ディーバに乗り組んだキオと、フリットの孫で特別扱いが面白くない同級生メカニックのウットビットとの間に一悶着があるが、それとて珍しい話ではない。パターン化された戦いに、ファーストガンダムを彷彿させる毎度おなじみのドラマ、ある意味定石通りにそつなくまとまってはいるが、こんな話はもう何度となく観て来た。
最近は、小学校の入学式には父母同伴、それどころかおじいちゃん、おばあちゃんまで列席するらしい。子供にしてみれば大勢の大人に見守られ、ありたがいより息苦しいかもしれないが、親子同伴は本来なら子供の自由空間、心のオアシスであったロボットアニメにまでおよび、ここでも親の世代のウンチクに付き合いながらの視聴となる。反抗という言葉を知らなさそうな主人公キオのあどけなさを目の当たりにしつつ、親が良い親であるために良い子を演じなければならない今時の子供の「生きづらさ」を思うのだった。
それにつけても気になるのはキオ父、アスノである。行方不明ということなので、ひょっとしたら冷凍保存をレンジでチーン、方式で最後は三代そろい踏みでガンダム出撃、なんてあるかもしれない。
評点
★★ もうこういう話は幾度となく観た。
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その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第31話レビュー
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関連リンク
An another tale of Z 第35話紹介
An another tale of Z 第35話「贖罪の代償」(本編)
An another tale of Z 第36話紹介
An another tale of Z 第36話「明日への道」(本編)
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