MUDDY WALKERS 

ザ・ファン THE FAN

ザ・ファン1996年 アメリカ 117分

監督トニー・スコット
脚本フォエフ・サットン
原作ピーター・エイブラハムズ

出演
ロバート・デ・ニーロ
ウェズリー・スナイプス
エレン・バーキン
ジョン・レグイザモ ほか

スト−リ−

 地元球団の大物スラッガー、ボビーの大ファンであるギルは、仕事の予定があったにも関わらず、別れた妻の元にいる息子を開幕戦に誘った。だが商談には間に合わず会社をクビになったばかりか、息子を置き去りにした事で怒った妻からは子供に近づいてはならないとの裁判所命令を受け取る。自暴自棄になるギルの唯一の心の拠り所はボビーだけだったが、彼もスランプで試合の結果はかんばしくない。彼を救おうと思い立ったギルは、その原因と思われる選手の命を奪うのだった……。

レビュー

 大のサンフランシスコ・ジャイアンツファンのギル・レナード(ロバート・デ・ニーロ)は、ナイフ製造会社の営業マン。営業成績が思わしくなくクビ寸前、父親としても失格で、別れた妻からは子供に近づかないよう令状が届けられる始末で、破れかぶれの人生であった。そんな中、スター・選手のボビー・レイバーン(ウェイズリー・スナイプス)が400万ドルという破格の年棒で移籍してくる。スラッガーの活躍で人生の鬱憤を晴らそうとするギルだが、レイバーンは極度のスランプに。プリモという選手が彼のお気に入りの背番号を譲らなかったからだ。次第にギルは狂気に取り憑かれ、レイバーンのために背番号を取り戻そうと企てる…。
 一言でいうと、野球の世界を舞台にしたストーカーもの。あるファンが一人の選手に熱狂し、勝手に妄想をふくらませ、やがて選手の言動に裏切られた気持ちになり、復讐していくという物語である。こう書くと面白そうに感じるが、映画を観るとそれほどでもなかった。デニーロは申し分なく巧いのだが、最初から異常にキモすぎて引いてしまう。ウェイズリー・スナイプスはとてもバリー・ボンズのような強打者には見えないし、口でいうほど完璧主義者にも思えなくて、ちぐはぐな感じだ。だからどっちのキャラにも感情移入ができなくて、困ってしまう。それでも、デニーロが本格的なストーカーになっていくまでがやや退屈なものの、事を起こしてからは一気に盛り上がる。クライマックスもそれなりにハラハラするけど、終わってみれば「結局何だったんだろう」という感じ。ストーカーの狂気を描くのはいいとして、メジャーリーガーの金満体質を皮肉りたかったのなら、ストーカーの異常な行動に一分の理を与えてしまって逆効果だったのかも。飽きずに最後まで見られたけど、どうも後味が悪かった。

評点 ★★★

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