MUDDY WALKERS 

惑星ソラリス Working Girl

惑星ソラリス 1972年 ソビエト連邦 165分

監督アンドレイ・タルコフスキー
脚本
アンドレイ・タルコフスキー
フレードリヒ・ガレンシュテイン
原作スタニスワフ・レム」
「ソラリス」

出演
ナタリア・ボンダルチェク
ドナタス・バニオニス
ウラジスラフ・ドボルジェツキー
アナトーリー・ソロニーツィン ほか

スト−リ−

 近未来、未知の惑星ソラリスの軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで異常事態が発生。その調査のために科学者クリスは地球を出発する。到着したステーション内 は荒れ果て、先発の3人の科学者は皆、狂気の淵に立たされていた。そして、クリス自身も数年前に自殺したはずの妻ハリーの姿を目撃し、言い知れぬ衝撃を受 ける。だがそれは、人間の意識を反映して具現化させるソラリス表面のプラズマ状の海の仕業だった……。

レビュー

   ポーランドのSF作家、スタニスワフ・レムの原作を、映像美で知られる監督、アンドレイ・タルコフスキーが映画化した作品。上映時間は165分だが、とに かく、びっくりするほど時間がゆっくり感じられる。傑作だということで観てみたが、映画に芸術を求めるタイプでない人には退屈でおすすめできない、と言うほかない。
 惑星ソラリスの軌道上の宇宙ステーションで異常事態が発生し、調査のために心理学者のクリスが地球から宇宙ステーションへ向かうのだが、ステーションは 荒れ果て、3人の科学者は精神的に混乱した状態にあった。クリス自身も、この宇宙ステーションでなぜか数年前に自殺した妻、ハリーと出会い、大きなショックを受ける。実はソラリスは、人の心にあるものを具象化する、という不思議な力を秘めた星だったのだ…、というストーリーだけ見れば面白そうなのだが、脚本や構成の仕方が独特で、台詞も動きもない風景の場面が延々と続くうえ、状況を説明するような会話などもほとんどないので、話の筋を読むことが非常に難しく、ただ、映し出された風景の中に自分もとけ込んで体験していくしかない、という感じになっている。そして、そうしようとしてたいていの人は、眠りについてしまうであろう。せめて、主人公のクリスが溌剌としたイケメンだったら良かったのだが、くたびれ果てたおじさんで、若くて美しい奥さんと釣り合っていない気がする。

 美しい水辺の風景は、一見の価値があるものの、SF映画としては、なんか、出来るだけ特撮やセットは使わず、近未来っぽい風景を探してロケしました、みたいな感じで期待するものはない。未来都市の場面のロケ地が、東京の首都高なのにはびっくりした。他の国の人はともかく、日本人には日本の光景にしか見え なくて一気に萎える。しかし、こういう映画もある、という意味では観てよかった。何度も観ると、そこに描かれている哲学的なテーマに入っていくことが出来るのだろうが、それまでに眠りに入ってしまうので、私には理解することは無理。

評点 ★★

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