MUDDY WALKERS 

ロード・トゥ・パーディション ROAD TO PERDITION

ロード・トゥ・パーディション 2002年 アメリカ 117分

監督サム・メンデス
脚本デイヴィッド・セルフ

出演
トム・ハンクス
ポール・ニューマン
タイラー・ホークリン
ジュード・ロウ
ダニエル・クレイグ

スト−リ−

 1931年冬。イリノイ州ロックアイランドの街を支配するアイリッシュ・マフィア、ジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)の邸宅で、ある人物の葬儀が行われ、マイケル・サリヴァン(トム・ハンクス)は妻と二人の息子を連れて出席する。しかし、葬られた人物の兄は、この死に疑問を抱いており、弔辞の席で不満を漏らしたため、外に連れ出されてしまう。マイケル・サリヴァンの息子たちはかねてから父親の仕事が何なのかと疑問に思っていた。翌日、長男のマイクは夜、仕事に出かける父の車にこっそり乗り込んで、父の仕事を見ることにした。父親はジョン・ルーニーの息子コナー(ダニエル・クレイグ)と共に出かけると、倉庫のような所で、コナーが昨夜の葬儀で追い出された人物を詰問した末、殺害。飛び出してきた彼の手下を、父親が次々と撃ち殺すのを、マイクは目撃してしまう。父はマフィアに雇われている殺し屋だったのだ。ボスのジョンに息子同然にかわいがられてきたマイケルを、コナーは不愉快に思っており、長男が殺しの現場を見たのを理由に、マイケル・サリヴァンの妻と二男を殺してしまう。マイケル・サリヴァンはボス、ジョン・ルーニーのアイルランドに逃げよという指示を聞き入れず、コナー殺害を決意。マイクとともに、コナーを追う旅が始まった。そんな親子を、ジョン・ルーニーの差し向けた殺し屋マグワイア(ジュード・ロウ)が追跡し始め…。

レビュー

   この映画には3組の父子が登場する。アイリッシュ・マフィアのボス、ジョン・ルーニーとコナー・ルーニー、ルーニー一家に育てられた殺し屋マイク・サリヴァンとマイケル・サリヴァン、そして実の父子以上に互いを慕うジョン・ルーニーとマイク・サリヴァン。そして物語は、実の父子2組の息子側がそれぞれ父親に疑問を持つところから始まる。コナーは、葬儀の場で血縁関係のないマイケルを家族のように迎え、ふたりでピアノを連弾する姿を見て(このシーンがとてもいい!)恐らくはいいようのない嫉妬を感じただろう。父は自分よりもマイケルを愛しているのかと。そしてもう一人はマイク・サリヴァンの息子、マイケル。父親の仕事は一体何なのだろうと、12歳、思春期に入った年頃の彼は疑問に思う。そして、二人はそれぞれの方法でその疑問に対する答えを見つけようとする。マイクは仕事に出かける父についていくことで、そしてコナーは葬儀の場でジョン・ルーニーへの不満を漏らした男を殺すことで。不幸なのは、この二人の息子の父親を確かめる行為が偶然にも重なってしまったことだ。コナーは口封じのため、マイク・サリヴァンの一家を皆殺しにしようとしたのだ。そして父と子の、6週間にわたる逃避行が始まる。
 セリフは短く、むしろ映像で語る映画である。マイク・サリヴァンについて何も知らなかった長男マイケルの目を通して、私たちは彼が何者であり、どういう環境に置かれているかを知ってゆく。そして、マイクの生きる世界の掟と、そんな世界で生きていかざるを得なかった彼の苦悩を知るのである。
 長男マイケルは、自分のせいで母と弟が殺され、父が組織から追われる身になってしまったと思ってしまう。いろいろと感じたことを、自分の中にため込んでしまう子供なのだ。自分のせいでこんなことになってしまったのに、自分は何もできない・・・。そんな思いで黙り込むマイケルに「助けが必要だ」と父マイクが言うシーンが、とてもいい。それまで、あまり息子と向かい合っていなかったであろう父親が、初めて息子と真剣に向き合い、助け合って一緒に生き延びようとする。それはマイクが、実の父とも慕うマフィアのボス、ジョン・ルーニーと培った関係ではなかっただろうか。良い遺産は父から子へと受け継がれてゆくのだ。
 一方のジョン・ルーニーはといえば、実の息子であるコナーに対しては本当の意味で良い父親にはなれずにいる。ダメ息子を激しく叱責し、拳をふりあげて殴りながら最後には抱きしめてしまうのだ。この二人の父親の対照的な姿が、印象的だった。

 苦悩するマフィアのボス、ジョン・ルーニーを演じたのはポール・ニューマン。ものすごく久しぶりに姿を見て、すっかりおじいちゃんになっているのに驚いたが、その存在感はさすがというべきか。ちょっと枯れた感じが、甘ったれ息子にガツンと言えない弱さを持つボスにぴったりとはまっていて、良かった。悪人顔というわけでもないのに、何ともいえないすごみがある。
 殺し屋を演じたトム・ハンクスも、他にはない役どころでどうなることかと思ったが、さすが演技派。どんな役でもそつなく演じる。でもやっぱり、うーん、しかめ面ばかりは似合わないなあと思ってしまった。この親子を追いかける猟奇的趣味の殺し屋をジュード・ロウが演じているが、あまり本筋には関係ないところで役を作りすぎのような気がした。すばらしいのは子役のタイラー・ホークリン。ポール・ニューマン、トム・ハンクスという大御所に囲まれながら、可愛らしさや子供らしさとは違った、視線で物語る演技で印象を残した。「ロード・トゥ・パーディション」のタイトルが暗示するようにラストはハッピーエンドとはいかないが、この息子の最後の一言に、父という存在の重さをひしひしと感じた。

評点 ★★★★

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