MUDDY WALKERS 

ヒーロー・インタビュー 

ヒーロー・インタビュー 1994年 日本 106分

監督光野道夫
脚本野島伸司/山崎淳也
出演
鈴木保奈美/真田広之/武田鉄矢
いしだ壱成/安達祐実/江口洋介 ほか

スト−リ−

 東京経済新聞の経済部記者だった霞(鈴木保奈美)はある日突然、スポーツ部に転属に。そこでプロ野球担当となって、野球には全く無知のまま、神宮球場に取材に連れて行 かれる。そこで出会った轟仁太(真田広之)はヤクルトスワローズの3番打者だったが、今は代走&ベンチの野次要員となっている。デッドボールを頭部に受けた後遺症で内角球に腰がひけ、全く打てなくなってしまったのである。ギャンブル好きでツケをためこみ、借金を抱えた奥さんには逃げられてボロアパートで暮らしているのだが・・・。

レビュー

 プロ野球がシーズンオフに入ったので、映画のDVDを見る時間が増えた。そこで日本の野球映画でも見てみようか、真田広之が出ていることだし、と選んだ一本。野球映画というか、思いっきり当時流行った「トレンディードラマ」のノリだった。ある意味で貴重な時代の記録であろう。2時間ドラマとして軽い気持ち で見れば、まあそれなりに楽しめるかも。
 東京経済新聞の経済部記者だった霞はある日突然、スポーツ部に転属に。そこでプロ野球担当となって、野球には全く無知のまま、神宮球場に取材に連れて行 かれる。そこで出会った轟仁太はヤクルトスワローズの3番打者だったが、今は代走&ベンチの野次要員となっている。デッドボールを頭部に受けた後遺症で内 角球に腰がひけ、全く打てなくなってしまったのである。ギャンブル好きでツケをためこみ、借金を抱えた奥さんには逃げられてボロアパートで暮らしていると いう設定。
 引退間近のヴェテラン選手が、女性との出会いで一発奮起というストーリー自体は野球映画の定番ともいえるもので、悪くない。真田広之演じる轟のおちゃら けぶりを初め、コミカルなノリの冒頭シーンも私は好きだ。だけど問題は、ムダにPVみたいな映像が多くて、必要なシーンがないことだ。ヤクルトは優勝争い をしているということになっているが、対戦相手はいつも横浜ベイスターズだし、だいたい、どんなペナントレースを戦っているのか描写がまったくない。轟が どれだけ素晴らしい選手だったかも、トロフィーと写真で見せるだけ。野球に魅せられたと鈴木保奈美演じる霞はいうが、見ているこっちは全然魅せられない ぞ。むしろ自堕落な生活で選手生命をダメにしている轟には「渇っっ」だー! 真田さん、手品は上手いがバッティングフォームはめちゃくちゃで、そりゃトラ ウマがなくても打てんやろ。轟の決めゼリフは「100分の1の可能性にかけるのがプロ」だけど、うむ。3番打者は100分の1とかいわずに、3割以上の確 率で出塁しないと話しにならんだろ。100分の1の可能性にかけるなんて、言葉をかえれば偶然にまかせるってこった。これじゃあ優勝チームの一軍にはおれ んわな。引退を決意した出来事も、いかにも野球を知らない人が考えつきそうなネタであまりにショボい。メロドラマ系野球映画といえば、ケビン・コスナーの 「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」があるが、ケビン・コスナー演じる主人公が引退を決意するプロセスと比べると、あまりにも格調が低すぎる。軽いノリでも、核と なる部分はしっかり作ってもらわないと、そうそう感動はできないですよ。真田広之の演技は(バッティングフォームを除けば)すばらしく、この映画にはもっ たいないのであった。

評点 ★★  

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