MUDDY WALKERS 

ギャラクシー★クエスト Galaxy★Quest 

ギャラクシー・クエスト 1999年 アメリカ 102分

監督ディーン・パリソット
脚本
デビッド・ハワード
ロバート・ゴードン

出演
ティム・アレン
アラン・リックマン
サム・ロックウェル
シガニー・ウィーバー

スト−リ−

 20年前に放映打ち切りとなったものの、今なお熱狂的なファンがいるSFドラマ「ギャラクシー・クエスト」。NSEA<宇宙探査局>に所属するプロテクター号の乗組員を演じた5人の俳優たちは、「ファンの集い」などに出演して日銭を稼ぐ毎日だった。ある日招待されたコンベンション会場で、宇宙人にコスプレしたファン数人に、タガート艦長役のジェイソン・ネズミスは助けを求められる。次のイベントの出演依頼と勘違いしたネズミスは気軽に応じて彼らにイベント会場に連れていくように言うが、到着してみると、それは何と本物の宇宙船だった。彼らはサーミアン星人という、本物の宇宙人だったのだ。そして、地球のヒーローであるタガート艦長に、ぜひ自分たちの星を危機から救ってほしいと懇願するのだが…。

レビュー

 昨今では、実写映画以外にも様々な映像メディアがある。テレビドラマであったり、アニメ、TVゲームなど…。映画の感想などを見ていると、よく「別に映画じゃなくても、テレビドラマで良かったんじゃないの?」という言葉に出会う。邦画に多い気がする。邦画では、人気テレビドラマや、マンガが映画化されることもある。しかし、映画になって成功したものは少ない。「映画でなければいけない」という何かが必要なのだ。

「ギャラクシー・クエスト」はまさに、そういった作品である。映画でなければ、面白くも何ともない。というより、映画でなければ成り立たないような作品である。アイデアだけなら、誰でも思いつきそうなものだ。しかし、映画にしなければ意味がないのである。そういう点で、まさに映画の力というものを具現化した作品といえるだろう。

 ストーリーは単純である。テレビのSFドラマにかつて出演していた俳優たちが、とっくにその番組は終わってしまったのに、オタク人気で、アトラクションなどに出て食いつないでいる。当然やる気はなく、希望もない。そんな彼らが、ファンにまぎれこんだ本物の宇宙人によって、セットではない本物の宇宙船に乗って、宇宙に旅立つ羽目になるという話である。
 映画のオープニングでは、まずすでに終わったSFドラマのクライマックスが映し出される。セットも背景も何もかもが、近年まれにみる安っぽさで、そうとは知らないで見ていると「ぎょっ」としてしまう。(ついでに言うなら、このSFドラマは明らかに「スター・トレック」のパロディである) ポイントは、このテレビドラマのための「作り物」の宇宙船と、本物の宇宙人が用意した「本物」の宇宙船とのギャップである。アニメやマンガでは、とても表現できないところである。スクリーンに映し出される光景を「本当に起こっている」と信じ込ませるほどの力をもつ映画の映像だからこそ、できる設定なのである。当然、セットやCGには、それなりの巨費が投じられているということが見てとれる。SFコメディという、かなりマニア向けのジャンルに、こんなお金がかけられるアメリカ映画界の余裕に驚く。

 夢も希望もやる気もなく、イヤイヤながらにSFドラマのキャラクターを演じているという設定の俳優たちの演技も良い。もう50歳になるというシガニー・ウィーバーが、「大根な三流女優」を熱演して素晴らしい。俳優を演じるというのは、難しいだろう。俳優として役柄を演じているときと、オフの時とを演じ分ける必要がある。そこに笑いのツボもある。実にバカバカしいお話だが、作り手も演じる俳優も、このバカバカしいお話に一生懸命取り組んでいる。一流のスタッフが一生懸命に取り組むな態度があるから、荒唐無稽なお話に、見る者も引き込まれていくのである。

評点 ★★★★★

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