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An another tale of Z (736)

スペース・コロニーの設定


 スペースコロニーの設定は、『機動戦士ガンダム』の全作品を通じて最も問題の多い設定だと作者は考えています。理由は、『ガンダム』の設定にあったコロニーは人類の居住空間として狭すぎることによります。

1.『ガンダム』のコロニーの設定
 地球と月の重力の均衡宙域『ラグランジュ点』に設置され、大きさは直径6キロ、長さは30キロ程度、外壁の厚さ100メートル程度の円筒で、収容人口は500万人という設定。40基程度の複数のコロニーが集まって『サイド』という1単位を形成し、1サイドにはおよそ数億人が居住しており、スペースコロニーの居住民だけで人類の半数を占める。

2.その問題点
 単純に居住面積を計算しますと、上記のコロニーの表面積はおよそ560平方キロ、山河やミラーなどもあり、居住部分は300平方キロ程度と考えますと、ここに500万人を住まわせるには1平方キロあたりおよそ17000人を居住させる必要があります。ちなみに東京都の人口密度は5000人/平方キロ程度で、その3倍では、およそ快適な居住空間とは程遠いものになりますし、これでは物資の流通が消費に偏った奇形的なものになり、およそ自給自足は不可能と思われます。

3.問題点の解決とさらに発生する問題
 思い切ってコロニーの数を増やすという方向性で考えますと、まず、人口密度をハワイの4倍程度(400人/平方キロ)程度とし、上記の『サイド』のコロニー数を計算しますと、1コロニーあたりの人口は12万人、1サイドでおよそ1700基のガンダム型コロニーが必要になります。これでもやや過密気味なのですが、人類の理想郷として適当な生活空間は作れないことは無いでしょう。

 ここで問題になるのは、おそらく1基数十億トンの、この巨大な人工天体をこれだけの数、造り上げる技術は『ガンダム』に登場する兵器の水準を完全に越えたものだろうと推測できることです。それこそ数万隻の艦隊、数百万機のモビルスーツによる戦闘でなければ、釣り合いが取れません。これだけの量の資源を地球から打ち上げることにも無理があります(現在の日本における船舶の年間輸送量は1億トン程度)。『機動戦士ガンダム』はリアルさを指向したロボットアニメですが、実は肝心なところがまるでリアルでないのです。

4.問題の最終解決
 作者はこの問題に対処するために、原作(初代)では語られなかった宇宙世紀以前の設定を採用することにしました。本作より数百年の昔に、本作の文明よりも遥かに高度な文明があり、『コロニー』はその文明によって宇宙世紀以前の大建造時代に本作の数が揃えられたという設定を採用しています。従って、本作での1サイドは平均1000〜2000基のコロニーで構成されており、人類は宇宙国家を形成するのにふさわしい足場を持っています。この前宇宙世紀文明については、本作のバックグラウンドとして時々その存在に触れることになります。作者は本作の年代をおよそ西暦2800年頃と設定しています(2005/8/16)。

(小林 昭人)


(作者メモ)