MUDDY WALKERS 

An another tale of Z

 Zガンダム 比較レビュー

機動戦士Zガンダム第50話「宇宙を駆ける」遠藤明吾

あらすじ
 エマが死んでカミーユはシロッコと、シャアはハマーンと対決する。Zガンダム最終話。

Aパート:エマ死亡、シャア対シロッコ・ハマーン連合軍
Bパート: コロニーレーザー発射、カミーユ対シロッコその他

カミーユ最後の戦いは亡霊様満員御礼
 重傷の割にはよく喋るエマ中尉が死んでカミーユは最後の戦いを挑む、一方ブライトはティターンズ艦隊をコロニーレーザーの射程内に誘い出す作戦を立てる。一方、昔の女ハマーンと売り出し中のニュータイプ、シロッコに袋叩きにされるシャアことクワトロ大尉は(この期に及んで)作戦タイムで三者会談に望む、しかし、会談といえば10秒で決裂のゼットガンダム、30秒持ったがやはりカミーユの介入で決裂、コロニーレーザーの発射でティターンズは壊滅し、カミーユはシロッコと、シャアことクワトロ大尉はハマーンとの最後の対決を挑む、ハマーンに負けたクワトロは行方不明になり、カミーユは霊界パワー(エマ、ライラ、フォウ、その他いろいろ、あと「じきに(シロッコも)仲間になるから」とカツのお化けに説得されて翻意するサラのお化け)でシロッコにとどめを指すがシロッコの残留思念で廃人になる。





カオルのひとこと:とうとう状況把握の唯一の手段、冒頭のナレーションもなくなりいきなりはじまる最終回、冒頭でエマはあっさり死亡、「私の命を吸って!」となんともおぞましい一言に、いよいよ先が思いやられます。どうもブライトはコロニーレーザーを使ってティターンズを一網打尽にしたいようです。それに気付いたシロッコがコロニーレーザーを破壊ようとグリプス内へ。ハマーンもやってきて、クワトロはシロッコとハマーンにやられ放題になっています。

カオルのひとこと:劇場の舞台でスポットライトを浴びせられたシャアはハマーンから復縁を迫られますがこれを拒絶、曖昧な返答でごまかそうとするうちにカミーユが乱入して会見はご破算に。どうもカミーユの中ではシロッコが一番のワルと確定したようです。

シロッコの何がそんなに悪かったのか?
 ずっと疑問に思っているのだが、最後にカミーユに「生きていてはいけないんだ!」と抹殺されるシロッコ氏、彼はいったいどんな悪事をしたというのだろうか、ラストの話を見てもイマイチ分からないので振り返ると、こんな感じであった。

<ゼットガンダムにおけるシロッコの悪行>

(1)ブライトのシャトルをいじめる(シャアのメガランチャーに追い払われる)
(2)アポロ作戦で抜け駆け(直後にジャマイカンに指揮権取り上げ)
(3)上官の許可も得ず勝手にアクシズと同盟(フォローがなっていなかったので決裂)
(4)サラと不純異性交遊(「抱かれたいのか!」だからそういう関係と思われる)
(5)サラを使って爆弾テロ(阻止しようと思えばカミーユが阻止できた)
(6)レコアを自分の女にする(専用機を与えるなど優遇)
(7)どさくさに紛れてジャミトフ殺害(ティターンズ内部の内輪もめ)

(5)(爆発物破裂)、(7)(殺人)以外はどう見ても悪といえるほどの悪ではなく、カミーユの多彩な女たちにも本命フォウにはノータッチ、ファにはカスリもせずと別に彼に何かしたわけでもなかった。「世界を支配するのは女だ!」とか、「世の中を動かすのは一握りの天才だ!」など自意識過剰なセリフは目立ったが、そんな2ちゃんねるの書き込みみたいな放言で殺されたのでは2ちゃんねらーやウィキペディアンは何回殺されても足りない。要するに彼は客観的にはそんなに大した悪ではないのである。
 じゃ、何で彼はウェイブライダーで串刺しにされなければならないのか、強いて言うならこの人物が力を持った場合の危険性(大阪市の某市長みたいなものだ)をカミーユが見抜いたということになるが、そんな個人の内心を理由に抹殺行為に走るのはテロリストとか全体主義国家がやることである。

世界、視聴者、戦争をナメているドラマとラスト
 最終話であるので、人はバンバン死ぬし物もガンガン壊れる、見せ場になる場面は山盛りという感じなのだが、何となくスッキリしないものがあるのは、やっぱりこれまでの作話のまずさだろう。ラストのカットを見ても、世界と視聴者と戦争をナメているこのドラマにはファーストにはあった質量を感じないのである。

 カミーユが精神崩壊を起こすラストは要するにシロッコの呪力に引きずられてなのだが(その証拠に続編のZZでハマーンが死ぬと治る)、思いつきで作ったような話だなというのが見ての感想、このラストは衝撃的だったのでこの作品の代表シーンのような言われようをすることが多いが、筆者はこれはそんなに大した着想でも思いつきでもないように思える。この作品に限らず最終話で主人公死ぬというのは富野作品には多い。ダンバインとイデオンのチャンポンだろう。
 あと、忘れそうになったが結局ハマーンに負けるクワトロ氏、最後の最後まで残念な人だったが、これでは死んでおらず続編があるのは知っての通りである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:悪いのはヤツだ!と確信したカミーユは「オレの体をみんなに貸すぞ!」と死んでいった仲間たちに呼びかけ、幽霊を召還して自らに憑依させます。そして無敵のパワーを手にした彼は、ウェイブライダーでシロッコの体を貫くのでした。しかしそれでは済まないシロッコ、死んでも呪ってやる〜!と怨念がカミーユに取り憑き、彼はとうとう精神に異常を来してしまいます。リアルな近未来という触れ込みのガンダムでしたが、気が付いてみればなんだか陰陽師の世界に入り込んでしまっていましたね。ラストに、主要なキャラを幽霊で登場させるなんて、斬新すぎます。
 で、エウーゴはなんのために戦っていたんでしたっけ? ティターンズの目的は? これって、戦争だったの? 結局何一つ肝心なことは語られぬまま、それを語れる唯一のキャラだったクワトロさんは、最後まで曖昧に言葉を濁した挙げ句、ハマーンにボコボコにされてどこへともなく消えていったのでした。

評点
★★★ 最終話なので見せ場は多い、ゼータのラストとしてはゼロか一つが妥当。(小林)
★★★ ヘンなテイストに乗っ取られてしまったが、勢いだけはある。(飛田)

総合点(全話の平均点、満点は5)
小林:1.94
飛田:1.84


カオルのまとめ:特に第三クール以降の評点の降下が著しい。冒頭のインパクトと前作キャラの再登場でもっていた前半だが、それを超える展開がなされないまま登場キャラを次々死なせていくだけのクライマックスを迎えるに至った。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第50話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第50話レビュー


関連リンク

<<BACK  NEXT>>

 MUDDY WALKERS◇