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機動戦士Zガンダム第45話「天から来るもの」遠藤明吾

あらすじ
 アクシズ接近に引越し準備に忙しいティターンズ艦隊、一方ジオンと組んだエウーゴはゼダンの門に向けて動き出す。

Aパート:ティターンズ引越便、エウーゴの攻撃
Bパート:ファ対レコア、ゼダンの門壊れる

またまた女同士で痴話ゲンカ
 ジオンと組んでティターンズを闇討ちというエウーゴの作戦の陰険さはさておき、冒頭からサラを巡るカミーユとカツの口ゲンカ、その間にサラ救出のためレコアがアーガマに迫る。で、すでにおなじみになった「戦闘中に会話する敵と味方」今日のゲストはレコアとファのようである。で、女同士の痴話ゲンカにたまりかね、どさくさ紛れにサラがアーガマを脱走する。何かこのドラマ、都合いいキャラとキャラを無理矢理出会わせるために話作っているような感じが。

カオルのひとこと:エウーゴはハマーン率いるジオンと組んで、ティターンズの要塞ゼダンの門を叩く作戦を実行することに。なんでも「モグラたたきの要領」だそうですが、意味がよく分かりません。容赦ない悪役っぷりを見せるハマーンですが、アクシズをゼダンの門にぶつける、いわば本拠地を犠牲にした作戦、コロニーレーザー破壊に続いて、エウーゴの強い味方です。実は良い人? 立場が分からないので混乱するばかり。

 で、例によって戦闘を放棄して某所にシケ込む女二人、BGMまで変わり、次はカツとサラの敵味方トークが、どうなっているんだよこの作品、そしてとどめはアクシズに壊されるゼダンの門。おっとその前にいつものトムとジェリーが、カミーユセンサーでカミーユの存在を感知したジェリドが割り込む。
 とまあ、ホントにこのくらいしか語ることがないのである。と、思ったら制作者もそう思ったのかどさくさでアポリー中尉がジェリドにやられてしまう。次回の予告を見ると次はサラが死ぬそうである。まあ、大戦争ドラマの第四クールは制作者に殺害義務あるけどさ、それにしてもこれひどいんじゃない?

カオルのひとこと:そんなハマーン様決死の大作戦をよそに、主人公とその周辺は今日も元気に痴話ゲンカです。シロッコとどこで何をしていたのか、サラを連れ戻しに来たレコアとファが戦場で相見え、某所にしけこんで言い争いを始めます。「女として充足しているの」というレコアの台詞、これ一体何の話だったっけ?と見ているこっちがポカーンとしてしまいます。またもアーガマから脱走したサラを追って、カツも戦場へ。女性をめぐるドロドロが渦巻く、胸焼けしそうな展開です。

ステロタイプで悪者と決めつける愚
 語ることもないので、今回壊れたゼダンの門について触れると、普通のこれの読み方は「セダン」、フランスはアルデンヌ県の街で、普仏戦争でナポレオン三世が降伏した場所である。独仏国境の要衝であるので、第二次世界大戦でもマジノ線を破るため、ドイツ軍はこの街から進軍している。ちなみに自動車の四ドアセダンの語源(ヨーロッパではセダン型はリムジーネと呼ぶ)でもある。しかし、この作品で古知識を披露されても、これは「オレはこんなコトも知ってるよ」という農協観光の一オヤジの戯言でしかなく、こういうのは放映当時でも「カッコ悪い」ことであったことは言っておいても良いだろう。

カオルのひとこと:さすがにこれではマズイと思ったのか、大作戦にふさわしいクライマックスをと血祭りにあげられたのが、アポリーです。リックディアスの手が吹っ飛んでイヤ〜な予感。そこでジェリドの直撃を受けるアポリー、叫ぶカミーユ。最後はドドドとアクシズがゼダンの門に衝突し、どっちも小惑星の要塞なのになぜかゼダンの門だけバラバラにくだけ散って宇宙の藻屑に。ところでこの45話のタイトル「天から来るもの」って一体何のことだろう? カミーユは「アクシズが落ちる」と言っていたけど、別にアクシズは上から落ちてきたワケじゃないですよね。ジオンはアクシズをぶつけてティターンズの拠点を破壊することに成功しますが、エウーゴのモグラたたきの方は失敗してジャミトフを逃してしまいます。ハマーンに悪態をつくブライトが、とっても感じが悪い人に思えてくるのでした。

 あと、付け加えるとすれば、今回はエウーゴの味方になったハマーンだが、キーパーソンのくせにほとんど人柄生い立ち出身の語りがないので、どうも「ジオン人だから」で悪者と決め付けられている感じがある。実際、彼女は悪い人サイドなのだが、こんな感じで善悪を決め付けられては、例えばドイツ人だからという理由で「ナチス」とか、ロシア人だから「共産党」と決め付けるのと同じで、これってひどくステロタイプで実は子供たちにはとても有害なものである。
 実際は、中国人でも教養高い人間はいるし、ドイツ人でも良い人はいる。逆に日本人でもヘドが出る人間はいるし、そんな人間よりはビルマや北朝鮮から亡命した知識人の方が知性教養人格もずっとマシということは、実はステロタイプより余程ありうる話である。そちらの方がガンダムで儲けた監督のおのぼり農協観光自慢より、よほど海外で観察し見るべき内容であって、実は語るべき内容である。
(レビュー:小林昭人)

評点
 エウーゴの作戦が卑劣すぎ。(小林)
 どんなにすごい作戦でも、常に話の中心は痴話ゲンカ。(飛田)


関連レビュー「ZZ第45話 アクシズの戦闘」脚本:鎌田秀美

あらすじ
 ついに内紛を始めたネオジオン、ガンダムチームは内戦に介入することを考える。

Aパート:グレミー軍決起、事故処理ガンダムチーム
Bパート: ラカン出撃、マシュマー死す

コメント
 冒頭からモビルスーツをいっぱい引きずったマシュマー登場、モビルスーツに搭乗してボボボとオーラを発するマシュマーに「お前人間じゃねえ」と、そこでグレミー登場、ネオジオンは内乱モードに突入しているのだが、「この空域は私達ニュータイプの意思で支配されている」ので、並の人間には入り込めはしないというプルツーに思わず引いてしまう。ま、もうファンも普通の人もついていけないからな、と、ラーメンを啜りつつ続きを見る。一方、ヒマなガンダムチームは前回沈んだラビアンローズの事故処理をしている。やや前置きが長い。何だか葬式のようなムードの中、最終決戦への次の展開が進む。
 で、前半10分間を費やしてようやくグレミー軍とキャラの部隊が対戦、かったるいなあと思いつつ後半戦、そしてマシュマーが出撃してドーベンウルフ隊(欠番長かった)を道連れに戦死する。要はそれだけの回である。
 気になったのは第三クール以降登場のマシュマーは脳をいじられているのだが、彼が見栄を切る度に横でイリアの余計な一言、「刷り込みは完全だ」だの、「こういう状況は」だの何かポチの飼い主のような台詞がうっとおしい。まあ、あらゆる点で視聴者についていけない世界なのだけどさ、そして、コクピットに搭乗したジュドーに遠く離れたリィナの呼び声が、心霊オカルトマンガの面目躍如である。
 正直言って、この先の筋立ても興味持てないし、戦闘シーンも無意味っぽいし、あと2話だし、惰性とお義理で書き続けているこのレビューだが、あと2話だ、2話で楽になれる。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★ 展開はだるいし、話もついていけないし。


関連レビュー「ガンダムAGE第 45話 「破壊者シド」脚本:兵頭一歩

あらすじ
 イゼルカントから託されたガンダムレギルスを駆るゼハートは、謎の巨大MSと遭遇し戦闘となる。それはエグザDBが自らを守るために生み出した、無人にして無敵のMSだった。苦戦を強いられる中、エグザDBを破壊するためにやってきたアセムの宇宙海賊一行。モビルスーツで出撃したアセムは、彼が宇宙海賊になるきっかけとなった巨大MSと戦うゼハートと相見える。二人は協力して巨大MSを倒すが、どさくさにまぎれてゼハートが狙っていたエグザDBをアセムは破壊し、ゼハートは手ぶらで帰っていくのだった。

Aパート:ゼハートVS謎の巨大MSシド
Bパート::アセム参戦、シドとエグザDB破壊

コメント
 地球連邦軍はヴェイガンとの最終決戦にむけて、ラ・グラミスに向かっているが、その話の前に、どうやら片付けておきたい話があったようである。それが、何かとキーワードのようになっていたエグザDB。どんなものなのか今ひとつ分からないまま話が進んでいるが、小惑星に隠されたそれは、自らを守るために巨大MSを自動的に生み出してしまうほどの力を持っているという、なんだかとてつもないものなのだった。気になるのは、「破壊者シド」と呼ばれるその巨大MSのシルエットが、第四クールの主題歌のラストで流れる映像に出てくるものとそっくりなこと。ひょっとして、これが本作における「ラスボス」なのだろうか。このままいけば、下手をするとキオが戦うラスボスは老害フリットになってしまう、とすれば何か新しい敵を出現させておかなければならないのだろう。なんとなく、そんな裏事情が透けて見えるのだが、それにしても、このMS、人間が乗っていないのだ。それに、どうやら破壊されても自動再生するらしい。ひょっとしたら、コアになっている人間が誰かいるのかも知れない。ここ2、3話チラチラ出てくる、カプセルの中でモヤモヤしている人物が気になるところだ。だがまさか、火星人ヴェイガンと地球連邦との戦いのラストが、こういう展開になってくるとは思わなかった。
 それにしても、アセムの協力がなければ勝てなかったはずなのに、ゼハートが「これで私はイゼルカント様の意志を受け継いだー」とご満悦なのは、滑稽を通り越して哀れですらある。

評点
★★  アセムが海賊になるきっかけが語られるが、今更の感あり。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第45話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第45話レビュー


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