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機動戦士Zガンダム第30話「ジェリド特攻」遠藤明吾

あらすじ
 アレキサンドリアの指揮権を掌握したガディ艦長はジェリドやヤザンを使ってのアーガマ挟撃作戦を提案する。ヤザンを囮に出撃するジェリドとマウアー、モビルスーツ隊が誘い出され、絶体絶命のアーガマをガブスレイの連携プレイが襲う。

Aパート:ガディのアーガマ挟撃作戦
Bパート:マウアー死す、ジェリド特攻

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光るベテランの役作り
 冒頭(の次)に悪の作戦会議にアーガマでの痴話ゲンカといつもの展開だが、廃棄コロニーを利用してアーガマを挟み撃ちにするというガディの作戦が語られる。戦艦ラーディッシュはまた艦橋が外れているが(作画ミス)これは仕様だろう。モビルスーツ隊を誘い出し、側方から艦隊で攻撃し、廃棄コロニーに誘い込んでガブスレイでとどめを刺すという作戦自体は「ヲタクの戦術論」といった感じで無理筋だが(それを語るのが本稿の目的ではない、迂回作戦は難しいのだ)、脚本を担当しているのがあの遠藤氏なので話はちゃんとまとまっている。その作戦の最中マウアーが戦死する。
 粗末な材料の割に話をまとめた脚本家の手腕は褒めて良いが、前半で感心したのはエウーゴの出資者メラニー・ヒュー・カーバインを演じた声優の上田敏也氏、この作品には珍しい年配のベテラン声優で、比較的若手の起用が多かったこの作品には珍しく、役作りをしてきちんと演技しているのがベテランの面目躍如である。映画版では彼の台詞は「ウム」の一言しかないが、その一言でも迫力は十分であった。


カオルのひとこと:サイド2のコロニーを犠牲にしてエウーゴをギャフンと言わせる作戦にも失敗した戦艦アレキサンドリアのガディ艦長は、なんとかしてアーガマをやっつけようと、ヤザンの部隊を囮にし、廃棄コロニーでジェリドとマウアーを待ち伏せさせてアーガマをおびき出す作戦を提案。エウーゴはまんまとこの作戦に引っ掛かり、モビルスーツ部隊が大挙してヤザンを追いかけていくのでした。

 後はハヤトやガディ艦長やウォンやシロッコがティターンズにいたりエウーゴにいたり、ほとんど演じ分けをしていないので、実はZガンダムという作品、声だけ聞いているとどこで誰が何をしているのか分からない。ファーストでも永井一郎氏の使い回しは有名であった。また、今回戦死するマウアー役の榊原良子もこの時期はまだ声優業に慣れておらず、彼女のマウアーと後に出てくるハマーンは声だけ聞いているとほとんど区別のつかないキャラである。そんな中でのベテラン上田の起用はやはり格の違いを感じる。

カオルのひとこと:そんな中で悲壮感を漂わせるのがジェリドとマウアーのカップルです。一体何がどうなって、マウアーがこれほどジェリドに入れ込むのかは不明なので、二人が燃え上がれば燃え上がるほど白けてしまいます。それに、戦いがこのところアレキサンドリアVSアーガマ・ラーディッシュに終始していてちっとも大戦争に見えないので、余計に悲壮感が上滑り。

企画段階から定まっていたマウアーの用い方
 なお、マウアーの用い方には筆者は大いに批判があるが、今回の戦死もやめてもらいたかったものだが、これについては実は企画の段階から定まっていた節がある。なぜなら、マウアーというのはドイツ語で「壁」という意味であり、彼女は最初からジェリドの盾になって死ぬための女性だったのである。が、榊原良子が演じる役の常として、このキャラも後のハマーン同様、制作者の期待以上の魅力を発揮しているキャラである。
 それにしてもうっとおしいのは「シュワンワンワン」とか「キイイイン」という、いつものニュータイプの描写、これから先はさらに増えていくが、先にも書いた通り、ガンダム「ファースト」というのはそんな理由で支持された話ではなかったはずである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:ジェリドの盾となって死んで行くマウアー、これはもう予想通りといった展開で驚くに値しません。失神したジェリドの夢枕に立つマウアーの亡霊がいろいろ語って奮起する、という場面。そういえばファーストガンダムのラストでもアムロがララァの亡霊と語り合っていましたが、死者に語らせてまで奮起させたかったジェリドの特攻はあえなく失敗。この人この先大丈夫だろうか?と変な心配だけが残る結末です。

評点
★★ マウアー戦死は無意味、ベテラン上田は評価(小林)
★★ 話の筋は悪くないが、キャラの誰にもついていけない(飛田)


関連レビュー「ZZ第30話 青の部隊(前編)」脚本:鈴木裕美子

あらすじ
 砂漠を彷徨するルーは砂漠街ガルダーヤの芸術家ジュネに助けられる。一方、エルピー・プルの異常な勘でルーの居所を察知したジュドーはガルダーヤに向かう。

Aパート:砂漠で行き倒れのグレミー、ジュネとグレミーの殴り合い
Bパート:ジュドー対青の部隊、青の隊長死す

コメント
 土着化したジオン軍部隊編パートいくつ、ついに自分がジオン軍であることも忘れてしまった青の部隊、ターバンにマントの彼らは行き倒れたグレミーを使って西洋人(フランク)の街を破壊しようとする。ルーを見つけたグレミーは彼女を口説くジュネと殴り合いになる。それにしてもプルは便利だ。超能力でジオン残党との戦いを有利に進めるガンダムチーム。その間にグレミーがルーにまた振られる。「ゼータガンダムの盾不壊伝説」は今回も健在で、無敵のゼータの盾は今回も敵弾を防ぎ続ける(マークIIは壊れる)。今の所これを壊したのはマシュマーだけである。
 人が死ぬ話というのは実は書く側にとってはお手軽に感動のシーンを演出できる常套手段で、富野は良く使うが、実は筆者は(アイディアが枯れるし、表現力が落ちるので)なるべく書かないようにしている。今回も青の隊長が死んでグレミーがそれを相続するが、別に殺さなくても重症くらいにしとけばというシーンである。 (レビュー:小林昭人)

評点
★★★  話自体はまあまあ、ジュネとグレミーの殴り合いは笑える。


関連レビュー「ガンダムAGE第 30話 戦場になる街」脚本:加藤陽一

あらすじ
ヴェイガンと連邦軍の間で市街戦が始まる。総司令部であるビッグリングが壊滅し、連邦軍はディーバの艦長にエイナス中将の孫娘で新米のナトーラ・エイナスを抜擢した上で出撃させる。市街を爆撃するヴェイガン母艦に対し、フリットはディーバに新兵器構築を命じ、キオは新兵器によってヴェイガン母艦を撃沈する。

Aパート:ヴェイガン対連邦軍市街戦、ナトーラ艦長就任
Bパート:ディーバで新兵器構築、ヴェイガン母艦撃沈

コメント
 あっという間に総司令部のビッグリングが壊滅し、イゼルカントの地球侵攻宣言により、市街を攻撃し始めたヴェイガン。迎撃する連邦軍のパイロットは見慣れない新キャラばかり、フリットは退役、孫は小学生、チーン、とレンジで解凍しているのかどうかは知らないが、冷凍保存で年を取らない敵のゼハートは変わらぬ陣容なのに、一体迎え撃つ側はどうしたことかと思ったら、フリットの無茶な命令で、一線から退いていたとおぼしき戦艦ディーバが動きだし、がぜん面白くなってきた。艦長は、キオが助けた子供の面倒を見ていた女性士官ナトーラア・エイナス、親の七光りが面白くない上官の無茶振りで大抜擢である。ディーバのMS隊長セリック・アビスは男前の優男、右も左もわからない新米艦長を迎えるブリッジ要員はひとくせもふたくせもありそうな雰囲気で、ようやく話を盛り上げていってくれそうな中身のあるキャラがここにきて立ってきた。アセムの同僚だったオワン頭がMS隊の一員に残っており、彼の名前がオブライト、ということも追記しておこう。かように、登場人物の説明が出来るようになっただけでも、随分と進歩したものだ。
 フリット爺がディーバを出させたのは、ヴェイガンを退けるための新武器を即座に作るというシステムを利用するためだった。だから新米艦長であろうと、とりあえず出港してシステムを立ち上げ、新兵器の構築完了まで艦をもたせてくれればそれで良かった。ようやく作った設定をうまく使ってストーリーの中で生かす余裕が出てきたようで、これまではスクリーンセーバーになっていた戦闘シーンに起承転結のメリハリが生まれた。おかげで退屈することなく、普通にしめる1話に仕上がっていたように思う。しかし、30話になってまだストーリーが始まったばかりの頃とそう変わらない段階であることには問題がある。地球侵攻作戦を進めているとはいえ、ウルトラマンの怪獣のごとく定期的に暴れているだけの敵、「じいちゃんのガンダムで、絶対に奴らを倒す」という幼い主人公。この根幹をもっと掘り下げていかないことには、結局いつものパターンを踏襲して終わることになるだろう。

評点
★★★ 新米艦長と隊員たち、達観のフリット爺、キャラも立ってきて久々に面白い。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第30話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第30話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第33話紹介
An another tale of Z 第33話「クロスボーン強襲」(本編)
An another tale of Z 第34話紹介
An another tale of Z 第34話「副大統領救出作戦」(本編)

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