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An another tale of Z

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機動戦士Zガンダム第9話「新しい絆」 脚本:丸尾みほ

あらすじ
 エウーゴのジャブロー侵攻作戦に先立って基地周辺に潜入したレコアはジャーナリストのカイに助けられる。一方、集合に遅れたカミーユはエマとウォンに殴られる。エウーゴによるティターンズ艦の強奪作戦が始まり、新型モビルスーツを受領したティターンズはカクリコンを先頭にアーガマを襲い、エマがピンチに陥る。

Aパート:エマとウォンのカミーユリンチ編
Bパート:エウーゴ艦船強奪、カクリコン襲撃編

 カミーユというのは若手スタッフに手を焼く制作者、富野氏の見た若手スタッフ像ではないだろうかと思えるが、前半10分間でエマ、ウォンも含めて10数発は殴られている彼を見て一言、「暴力は良くない」。これまでの話を見てもカミーユが軍人になった描写はないと思うが、彼はハロ片手に我が物顔でガンダムに乗って出撃する。目的はティターンズ艦の強奪作戦だった。もう完全にエウーゴ戦士である。作戦の最中、エマの危機をニュータイプ能力で感じたカミーユはアンマンにエマを救援に向かう。

作品から垣間見える「大人の事情」
 この話の隠されたもう一つのコンテクストは制作陣による永野護氏のデザイン放逐がある。リック・ディアスに乗って出撃したエマはカクリコンのハイザックに苦戦し、首が飛ぶ手が飛ぶ足が飛ぶ、そんなにやられなかったがピンチに陥る。もはや1、2話での「ガンダム以上の高性能機」の面影はない。そこにニュータイプ能力で戦場に駆けつけたカミーユが現れ、カクリコンを撃退する。しかし、数話前から度々頻出する予知能力かテレパシーか分からない描写は何なのだろうか。冒頭でカミーユをタコ殴りにするウォンはわがままな少年に「実社会の厳しさ」を教えようとしたはずなのだが、この作品の場合は専ら超能力による直線的行動で話は大抵丸く収まってしまう。これでは修正の意味がない。

カオルのひとこと:ミーティング(なんだろう、多分)に遅刻したカミーユに出資者のウォンは殴る、蹴るの暴行、さらにエマが平手打ち。心が冷え冷えする展開です。そんなことより普通にミーティングの様子を描いてほしいのですが、そういう場面にはいつも邪魔が入ります。

 デザインについて言えば、ティターンズに補充として納入されたマラサイはやっぱりデザイナーが変わったと言えるデザインである。聞けば納入費はタダだそうで、そうやって監督に頭下げて仕事取っているんだなと大人社会の醜さも垣間見させる場面でもある。醜いといえばカミーユに対する過剰な暴行を黙認するシャアとエマも相当ひどいものがある。こういう肌で感じる内容しか絵にできない富野氏には心底イラつく。人類の相互理解やニュータイプの勘が必要なのは実は彼ではないだろうか。

カオルのひとこと:そうこうするうちにエウーゴの作戦行動がスタートします。実は小林さんのレビューを読むまで、これがエウーゴの艦船強奪作戦とは気付きませんでした。これもカミーユがミーティングに遅刻して、説明を聞き損なったせいです。

新型「百式」登場もまったく盛り上がらず
 シャアが百式を受領するのもこの回である。これまでの話からして、たぶん冒頭に登場する「Zガンダム」だったこの機体、金ピカに趣味悪く塗られてシャア専用機として登場する。そんなに格好良くも高性能にも見えないが、そもそもこの話にはパワーあふれる高性能機もそれを使いこなすエースパイロットも登場しないので、特に感慨もない。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:エマのもとに駆けつけたカミーユはカクリコンを撃退。駆け寄るエマは勝手な行動を取ったカミーユをなじりますが、カミーユの、エマの助けてという声が聞こえた、という話に表情を和らげます。これがサブタイトルの「新しい絆」のことらしいです。平手打ちする理不尽なお姉さんを健気に助けるカミーユ、ニュータイプってすごい人格者なのですね。少し前に警官をガンダムで踏みつぶそうとした少年とは思えません。それともこれは、ひょっとして「恋」なのでしょうか? そんなバカな。

評点
 理不尽な暴力に不快を感じるのみ(小林)
 暴力をふるう大人とそれを黙認する大人、見るのが嫌になる(飛田)


関連レビュー「ZZ第9話 宇宙のジュドー」脚本:遠藤明吾

あらすじ
 シャングリラを出た戦艦アーガマはドック艦ラビアンローズに向かう、しかし、案内人のルー・ルカは道に迷い、出撃したマシュマーらに囲まれてしまう。しかし、脳裏に現れたハマーンに諭され、「市民に親切な」マシュマーは捕えたルーを新パイロットのグレミー・トトに委ね、自らはアーガマ攻撃に向かうのだった。アーガマではニュータイプとおだてられたジュドーがマシュマー迎撃に出動する。しかし、エネルギーパックを忘れ、ジュドーはダミー隕石でマシュマーに応戦する。一方、エンドラに捕えられたルーにグレミーは好意を持つ。一瞬の隙を突かれ、ジュドーに敗れるマシュマーとルーに逃げられるグレミー、しかし、マシュマーはアーガマの内通者の存在を彼らに教えるのだった。

Aパート:迷子になるルー、グレミー登場
Bパート:ジュドー出撃、ルーのエンドラ脱走

コメント
 この作品がガンダムの続編かどうかはともかく、全般的にコミカルに小気味良く進む回である。マシュマーの妄想に登場するハマーンがだんだん大胆になっているような気がするが、この回で注目なのはマシュマーの部下として登場する新参者グレミー・トトである。実はこのキャラ、後で大化けするのだが、この回ではルーに一目惚れして逃走を助けるなど、上官同様の脇の甘さが目立つキャラになっている。相変わらずドジばかりしているマシュマーに、ラストの場面はゼータだったら修正拳だが、この作品ではそういった場面は以降もほとんど見られないのは個人的には好評価。(レビュー:小林昭人)

評点
★★★★  ルーの魅力を確認する回、話のテンポも良い。


関連レビュー「ガンダムAGE第9話 秘密のモビルスーツ」脚本:中瀬理香

あらすじ
 前回登場したウルフのGエクゼスがやたら強かったのでフリットらは作った工場を訪れる。そこでフリットらはUEのモビルスーツを目にする。フリットらを見たUE機は突然動き出し、工場を破壊し始める。

Aパート:Gエクゼスの紹介、マッドーナ工房の紹介
Bパート:UE対タイタス、艦長の決起宣言と昔話

コメント
 前回登場したタイタスよりGエクゼスの方が目立つ冒頭、しかし、どちらもそんなにかっこ良くない、どうだっていいやと思いつつ次、次はエクゼスを作ったおっさんの家らしい。もはやUEはどうだって良くなっている。どうやらこれで前半行くなと思いつつ脳を止める。マッドーナは工房と言うより軍事工場のようだ。そこで適当に戦闘、何か別の番組を見ているみたいだと白けながら後半は装甲ロボタイタスとUEの戦いになる。どうもだいぶ前に登場したデジル少年が武器商人の関係者のUE関係者ということは確実なようだ。そして艦長がUE決起を宣言する。結構難しい話だと思うが艦長の昔語りにほだされてディーバの面々はみんな艦長の味方に。
 実はバトルスター・ギャラクティカにラストで似た場面があり、アダマ艦長がサイロンの巣に特攻を仕掛ける際に乗員に選択を迫る場面がある。この時は10分の1くらいしか艦長に味方しなかったのだが戦艦ディーバはほぼ全員、作っている人間の違い、現実認知の程度の違いが良く現れている。次の次くらいでフリット編はラストらしい。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★  もはや艦長以外に見るべき所が、、


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2199第9話 時計仕掛けの虜囚」
脚本:村井さだゆき

あらすじ(人類滅亡まで339日・グリーゼ581あたりで4日)
 グリーゼ581付近を航行するヤマトでは岬百合亜がラジオを始める。捕獲したガミラスの機械兵オルタを分析していたアナライザーはオルタに人格のようなものを感じる。

Aパート:百合亜ラジオ、オルタとアナライザーの交流
Bパート:オルタ脱走、アナライザー対オルタ

コメント
 恒星を脱出したヤマトはまだグリーゼ581(地球から20光年、まだそんな所にいるのか)の近くにおり、艦内では森雪の交代要員百合亜が非番の時間にラジオを始める。投稿名シロシンタ(真田志郎)のリクエストで百合亜が朗読するのは2199世界の古典「観測員9号の物語」、そして、自らの存在を問いかける9号の話に影響され、オルタが自分探しに研究室を脱走するという話は2199にしては珍しくGdGdにならずに最後まで観れたが、見終わると「果たしてこの話はヤマトに必要か」と思わせる話でもある。実は原作16話の代わりの話である。前作のアナライザーは原始的なビーメラ星人に叩かれたりこづかれたりして自分をロボットと自覚するが、2199のアナライザーは最初からロボット以外の何物でもない存在で、戦艦ヤマトのサブフレーム、備品の一つと自覚しているので、元からこんな話は要らないのである。
 話自体はこれがヤマトではなく、何かのOVAなら(今までよりは)見れるという程度だが、本筋である宇宙戦艦ヤマトの話を端折るとかダイジェストするとかして原作を散々愚弄しておいて、挿話の1つだけが「まとも」でも困るのである。それに、そもそもこのガミロイドが必要になったのは、衛星エンケラドゥスでの地球人・ガミラス人初の遭遇(ヤレタラ氏)を亡き者にしたいからである。たったそれだけのためにこれだけ大仰な挿話が必要とは思えないし、そんなことなら冥王星にいたのは2等ガミラス人の部隊で、本物(青タイプ)ガミラス人には地球人はまだ接触していないのだと捕虜尋問とかその他で分かっていたでも説明できた。そもそもの最初から、地球軍はガミラス機を撃墜していたり、残骸を集めたりとヤマト出発以前からその種の情報は集めていたのだから。
 偵察機の着艦時にクレーンが誤作動するというオルタの影響については、これがオルタが悪意を持って着艦を妨害したのならともかく、単にアナライザーとのデータ送受信がネットワークに負荷を与え、それでクレーンが壊れたとの言い分には少し呆れる。いくら23世紀の科学でも、クレーンくらい手動で操作できないのか。「何のために機械のバックアップに人間がいるのか考えろ!」と、遠山らを叱責する榎本も、機械と人間の順位が逆だと言いたくなる。こういう描写に、何というか現実にある物や人に直接触れたり作業したりすることを毛嫌いするオタク体質(と、筆者が思っているもの)が垣間見えて嫌だ。2199は技師長の真田も前作と違って率先してスパナを振るうのではなく、高学歴者としてただ机に座って理屈を垂れている描写が多いが、こんな感じでは2199ヤマトに艦内工場がないのはむべなるかなである。これを作っているヲタクは現実の科学者、技術者ではなく、自分らにはない高学歴とそのポーズに憧れているように見えるが、そんなものは本物の科学者でもなければエンジニア(創造する人)の姿ではないのである(そういえば2199の真田は前作と異なり何も発明しなかった)。それに9号の物語に出てくる少女も見てくれといい、結末といい、広井王子から拝借してきたような、いかにもヲタクが好みそうな美少女でうっとおしい。 (レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:これは原作にはなかった話。なのでつい見入ってしまった。それにしても、自動航法装置って何だろう? アナライザーじゃなくて、真田さんが自分で分析してれば良かったのに…。

評点
★★★ ヲタク趣味全開だが、宇宙戦艦ヤマトには全く不要な話。とりあえず眠らずに見れはする所は評価した。(小林)
★★★  意外に面白い話だったけど、本編にはいらないでしょ。(飛田)


関連レビュー
「Gのレコンギスタ第9話 メガファウナ南へ」

あらすじ
 マスク部隊を退け出港する戦艦メガファウナ、ウィルミットは同乗している艦長に艦をキャピタルに向けるように進言し、大陸上空を飛行するメガファウナをマスクが襲う。

Aパート:メガファウナ出港、マスク来襲
Bパート:ガード合流、キャピタル到着

コメント
 マスクの出現でいつの間にかアーミィーの目的がベルリ救出ではなくメガファウナ撃破に変わっており、マスクはハマーン似の赤い髪の助手を従えてメガファウナを襲撃する。襲撃を退けたGセルフにキャピタルから抜けだしたキャピタル・ガードが合流する。アーミィーがティターンズというのは前に解説したので、悪成分が足りないとネオジオンを加えたようだ。で、人類絶滅を願うガード調査部の大佐がジャミトフなのだろう。
 となると、Gレコの戦いというのはキャピタル同士の内輪もめということになり、ガードがエウーゴとなる。そういうわけで、悪さの足りないアーミィーの悪行が目立つ話である。ただ、ガードとアーミィーの服装は色遣いまでほとんど同じで区別が付かないので、ラストの場面はアーミィーがベルリを逮捕しているように見える。そもそも死んだデレンセン以外のガードのキャラ(ケルベス)なんか普通は覚えてない。
 なお、今話でメガファウナが飛行しているイザネル大陸というのはウィキペディアにも出てこない。そもそも地図のないこの世界では誰がどこにいるのか全く分からないのだ。一応筆者も視聴しながら確認しているが、基本的には「素の作品として」レビューしているので、実際の描写で意味の取れない表現、読まなければ分からないような設定は「なかったもの(表現力不足)」として扱っている。そういう見方で見ると、この作品は過去作のオマージュづくしで、ストーリーの骨格のない退屈な作品としか言いようがない。
(レビュー:小林昭人)

調査部の大佐:クンパ・ルシーダ大佐はキャピタル・ガード、アーミィーを通じて最高位の軍人、実は金星のビーナス・グロゥブの出身であり、本名はピアニ・カルーダと言う。金星で宇宙生活による身体異変ムタチオンの多発を見て人類は地球に戻るべきというレコンギスタ思想を持ち、また、その戻るべき地球がスコード教の進歩否定の思想によって安寧を貪っていることを見て憤激し、戦いこそが人間を進化させ、人類の半分は滅びるべきという危険思想に目覚める。最初はトワサンガのレイハントン家に、次いではキャピタルに近づいてガード大佐に登り詰める。が、その思想からレイハントン家の平和主義に期待が持てないことを察して同家を滅亡に追い込んだり、キャピタルでは専守防衛のガードに対しアーミィーを創設して対抗させるなど何かとお騒がせな人物。彼が金星から持ち出したヘルメスの薔薇の設計図は彼が転々とした各地の軍事関係者に渡り、ほとんどの争乱の元凶となった。が、本人はアーミィーを創設しつつも自分はそれに加わらず、キャピタル・ガードの調査部主任として自分が蒔いた戦乱の種を静観する傍観者に徹している。また、その人当たりの良さから法王やウィルミットの覚えも良く、ウィルミットの操縦で地球に降下するシャトルにも同乗している。最終回でGセルフとアメリア軍の交戦に巻き込まれ死亡。

評点
 いろいろ説明していることは分かるが、真摯さが足りない。


関連レビュー
「コスモウォリアー零第1話 大いなる旅立ち」

あらすじ
 機械化人との戦いに敗れ、パトロール艇長として宇宙をパトロールする元司令ウォーリアス・ゼロは輸送船を襲う宇宙海賊ハーロックと出会う。ハーロック討伐のため、議長から連邦軍の最新鋭艦火龍を与えられたゼロはクルーを集めて宇宙に旅立つ。

Aパート:地球壊滅、司令ゼロの憂鬱
Bパート:デスシャドウ号襲撃、戦艦火龍発進

コメント
 鉄血のオルフェンズが当サイトのポリシーと合わない、唾棄すべき反社会的作品と分かったため、レビューを中断することとしたが(レビューを書くことも好ましくない)、全話レビューの予定でサイト一覧に全24話分のスペースは確保してあったため、空いた行間に適当な小品をということで松本零士のこの作品が思い浮かんだ。
 作品についてコメントすると、「コスモウォーリア零」はウェストケープ・コーポレーションの西崎義展氏が破産した後に銃刀法違反で収監されたため、同社最大の作品「宇宙戦艦ヤマト」の著作権が宙に浮いた1990年代に、株式会社バンダイ(ビジュアル)がヤマトのもう一人の著作権者(と思われていた)松本零士氏を焚き付けて作らせた一連の作品の一つである。 この時期の松本作品にはこの「コスモウォーリア零」のほか、「メーテルレジェンド」、「エターナルファンタジー」などがあり、「銀河鉄道物語」もこの系譜に属するが、これらの作品の目的は作品制作の経緯から著作権(人格権)の帰属が必ずしも明らかでなかった「ヤマト」につき、設定を担当した松本氏のカラーをより明瞭にすることで、ヤマトのほか999など彼の関わった諸作品を「時の輪の接する所」で一つに統合し、ヤマトの著作権を横取りしようという試みである(同時に裁判の進行を有利にと目論んだ)。同社は出所した西崎氏も支援したので、結局の所、ヤマト著作権闘争というのは、この会社によるマッチ・ポンプといえるものになったが、少なくともこの時代は同社は獄中の西崎氏ではなく松本氏の肩を持っていた。ヤマトのDVDの表紙を書き換え、「ヤマトは松本零士氏の作品」としたのもバンビジュである。
 結果として見るならば、同社の関わったこれらの作品は裁判も決着が着いた後の印象では(裁判の経過で明らかになったこととして、ヤマトの著作権者は、松本氏でもなければ西崎氏でもなく、同作を配給した東北新社であった)、若いスタッフを交えて比較的良作に仕上がった「銀河鉄道物語」を除いては粗製乱造の凡作の群れといった印象で、松本氏の評判を落とす効果しかなかったように思える。正直、この時期のバンダイビジュアルの策動には筆者などは嫌悪感しか覚えない。
 オルフェンズのレビューを止めたことでちょうどスペースが空いたこともあり、また、「銀河鉄道物語」だけでは当時の松本作品の置かれた状況を説明するに片手落ちということもあり、あまり好きな作品ではないが、会社繋がりでオルフェンズとは多少の縁もあるので、この作品はこちらで扱うこととしたい。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★ オープニングは「わが青春のアルカディア」の二番煎じで白ける。松本は何回地球を滅ぼせば気が済むのか。

作品キャラ・用語紹介

ウォーリアス・ゼロ
 作品の主役の宇宙公務員。人間と機械人間は平等の信念を持ち、機械化人に占領された地球で地球独立艦隊の司令官として地球防衛に当たるが、そもそも機械化人が元人間なのか異星生命体のなれの果てなのか作品で説明がないため、彼の主張は戦艦火龍の乗員にも理解されないものである。議長からハーロック討伐の命令を受けて出陣するが、最初からやる気がなく、惑星エル・アラメインに立ち寄って情報収集した以外は専らまとまりの悪い乗員の仲裁と美人の副官とのオフィスラブに明け暮れる。敵手のハーロック曰く「肩書がなければ何もできない男」。ハーロック追跡には熱意を示さなかったが、最終決戦で共闘した際には公務員らしく小役人根性とセクト主義を連合軍に持ち込み、戦いを不必要に長引かせることでハーロックやトチローを大いに苦しめ、議長の人選の正しさを証明した。見掛けに寄らず吝嗇家で、宇宙公務員の給料が安いのか、ヘビーメルダーでの酒はハーロックの奢り、惑星テクノロジアへの道程で自損した火龍の修理にはトチローの超合金を供出させるなど、作中で自腹を切ったことは一度もなく、バルジですら協賛金を出した乗員の親睦会にも金も出さなかったため、彼の戦艦火龍は乗員同士の諍いで最終回まで荒れに荒れた。

戦艦火龍
 作品でゼロの乗るアルミ製の弁当箱を二段重ねしたような重箱様の宇宙戦艦。上下にセントエルモ砲(+磁極、−磁極)を持ち、地球艦や他の海賊艦と同じ梯子段式の三連装砲塔を四基持つ。通常の地球艦よりは大型で強力だが、トチローの言によるとデスシャドウより上、アルカディア号より格下の地球軍のB級戦艦。作中でも無人操縦のデスシャドウ号のクローン艦を撃ち落とした以外はこれといった戦果はなく、専らゼロと副長のオフィスラブと仲違いの多い乗員間の紛争の舞台として用いられた。実はアニメの宇宙戦艦としては例外的に機能的なデザインで(ほとんどのガンダム戦艦より優れている)、両舷の飛行甲板と格納庫を防御帯として用いる上に、軸線上に一列に並べられた主砲の射界は広く、視界が良く強力なレーダーを持つ艦橋を中心に砲熕火器をまとめた配備は防御能力も優れている。このようにハードウェアとしてはハーロックのデスシャドウ号、クイーン・エメラルダス号をはるかに凌ぐ有能な艦だが、いかんせんカッコ悪いのは、これをまとめたデザイナーの力量がなさすぎたためである。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第9話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第9話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第9話紹介
An another tale of Z 第9話「闇の胎動」(本編)

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