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 宇宙戦艦ヤマト(1974)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2レビュー

 第15話「必死の逃亡!! 異次元のヤマト」


あらすじ (人類滅亡まで、あと273日)

 無事オクトパス星団を抜けて外宇宙へ出たヤマトは、順調に航行を続けていた。航海班は森雪からコーヒーを振る舞われ、その微妙な味に軽口を叩いている。
 イスカンダル星への中間地点にあるバラン星に、ドメル将軍率いる大艦隊が到着する。銀河方面基地司令官のゲールは副司令に降格になったうえ、ドメルから部屋の装飾が悪趣味であると叱責を受ける。さらにドメルは、四次元演習場で大演習を行うことを告げる。
 戦闘班は格納庫で戦闘機の整備にいそしんでいた。何もかも順調かと思われたそのとき、ヤマトは波動エンジンがストップしてしまい、水素気流に巻き込まれてしまう。やがて漂流したヤマトは不気味な空域、異次元空間に迷い込んでいた。そこに、ガミラスの戦艦が現れる。

コメント

 銀河系を出て順調に航行するヤマトの艦内では、隊員たちのほのぼのとした会話が繰り広げられている。それによると、どうも森雪はコーヒーを入れるのがあまりうまくないらしい。「いつまでもうまくならない」とズケズケという航海長の島、「こういうコーヒーを飲めないやつは飲まなきゃいい」と褒めそやしながら、さりげなくオチをつける太田、航海班のチームワークは固そうである。島によれば、スピードアップを図って当初は60日だった遅れは23日に短縮されている。

 そんなヤマトのほんわかムードとは裏腹に、殺伐とした光景が繰り広げられるのが、バラン星にあるガミラス銀河方面基地である。サイレンとともに駆けつけた兵士がずらっと両側2列に並ぶと、赤い空に大艦隊が現れる。ガミラス本星からドメル将軍がやって来たのである。ヤマトが80日ほどかけてやっとここまできたところ、ガミラスは数日で到着してしまうあたりに圧倒的な科学力の差を見せつけられる。しかもあの大艦隊。さきほどのほのぼの気分は一気に吹き飛ばされてしまった。
 ゲールはドメルから降格を告げられたことに大いに不満のようだが、さらに悪いことが起こる。インテリアの趣味が悪すぎると、ドメルが破壊の限りを尽くしたのだ。家具を全部入れ替えろ、と命じられた彼の屈辱や、いかばかりであろう。
 ドメル将軍はゲールに、四次元演習場で大演習を行うことを告げる。四次元とはどういう場なのかよく分からないが、どうもガミラスの科学力では、異次元との間との往来も可能なようだ。運悪く、ヤマトは大マゼラン雲から銀河に向かってのびる水素の気流「マゼラニックストリーム」につかまり波動エンジンが停止、漂流して異次元空間に入り込んでしまう。「外の様子がおかしいぞ」と古代が言っているのに、マゼラニックストリームについて銀河図まで動員して説明が入るのは、ちょとタイミング的には緊迫感を削いでいるが、実に松本零士らしい、SFっぽいリアル感のある展開である。その、はまりこんだ異次元空間が、ドメルが大演習を決行すると言っていた四次元演習場なのだから、たまらない。

 ヤマトが四次元空間に入りこんだことを知ったドメルは、先発隊にヤマトを引きつけておくよう命じる。敵がどれほどの能力を持っているのか探ろうというのだ。ヤマトは波動エンジンや波動エネルギーが使えない状態で、古代は通常兵器での応戦を主張するが、沖田艦長は島の「逃げよう」という主張に賛同。ヤマトは補助エンジンを使って敵艦を振り切ろうとする。この動きを知ったロメルは「ヤマトは思ったより賢い」と判断。大艦隊を四次元空間に突入させ、ヤマトは出口のわからない異次元空間で窮地に立たされる。沖田は古代に敵の追撃を阻止するよう命じ、古代は主砲を発射。その様子を見たドメルは「四次元で演習しているのはヤマトの方かもしれない」というコメントを発し、突然立ち上がって「ヤマトを叩け!」と総攻撃を命じるのだった。

 このドメルの判断はちょっと分かりにくいが、ヤマトの取りうる戦法を考えれば分かってくる。最終兵器「波動砲」を有するヤマトは、単艦で3000の艦隊を壊滅し得る能力を持っている。波動砲を撃って相手に壊滅的な打撃を与え、その間にワープして逃げ切ることで、大艦隊に対抗しつつイスカンダルへたどり着くことが可能となる。だからこそ、ドメルは慎重にヤマトの動向を見極め、攻撃すべきタイミングを見逃すまいとしていたのだ。
 逃げるヤマトは補助エンジンが限界に達し、進退窮まった感さえ出てくる。追い討ちをかけるように、すべてのエネルギーが吸い取られる現象に見舞われ、補助エンジンさえ停止。なすすべがなくなったところに、あのスターシャからのメッセージが届き、それとともにエネルギーが回復する。
 攻撃を振り切ったヤマトはワープして逃げ切り、基地に戻ったドメルは日記をしたためる。ヤマトに遭遇、あなどりがたし。この非凡な猛将は、彼らの様子がおかしいことを見切ったからこそ、「ヤマトを叩け」と命じたのだ。「あなどりがたし」の言葉には、ドメルがヤマトの指揮官を、その圧倒的な科学力の差を補うだけの能力を持った相手だと認識した、ということに他ならない。ドメルとの次の対決が、楽しみになる一言であった。

ピックアップ 「スターシャ」

  ヤマトが、というよりもヤマトによって沖田艦長や古代、島ら乗組員一同がイスカンダル星を目指すことになった、そもそものきっかけは、この人が届けたメッセージであった。放射能除去装置を取りに、イスカンダルまで来るのです、という彼女のメッセージに応答して、地球では与えられた設計図をもとに波動エンジンをつくり、戦艦ヤマトを宇宙戦艦に改造して、未知の宇宙へと漕ぎ出したのだ。
 そんな中で迎えた大ピンチ、宇宙の墓場ともいえる異次元断層に入り込み、しかも波動エネルギーが吸い取られて身動きが取れず、そこへ追い打ちをかけるようにドメル将軍率いる3000のガミラス艦隊が追撃してくる。これを絶体絶命と言わずして、何を絶体絶命というのか、という感じである。
 そこへ、次元羅針盤の不思議な発光とともにスクリーンパネルに姿を現すのが、イスカンダルのスターシャである。驚くべきことに、彼女は地球を出てからここまでのヤマトの航海を、ずっと見守ってきたというのだ。ガミラスの科学力はすさまじいものだが、イスカンダルはそれをも凌駕しているのだろうか。いや、むしろ科学力ではない「なにか」の力によっていると思った方がいいかもしれない。
 「あなたがたの愛と勇気と実行力に期待しています」とスターシャはヤマトの面々を励まし、次元羅針盤の示す方向へ進めなさい、と告げてメッセージは終わる。すると計器類に灯がともり、波動エンジンが息を吹き返すのだ。
 彼女は、ヤマトのこの戦いに何を見たのだろうか。ヤマトがイスカンダルを目指すことを可能にしているのは、彼女が与えた波動エンジンと波動砲という技術である。異次元空洞で、その両方が使用不可能になった。ヤマトにとって、絶体絶命の危機である。もはや諦めてもおかしくない状況で、しかしヤマトの乗組員たちは、自分たちの持てる知恵と力で、この窮地を何とか切り抜けようとした。彼らの中に、たとえ彼女が与えた技術が潰えても、それでもイスカンダルを目指すんだという強い使命感を見たにちがいない。
 この不思議な導き手によって、古代や島は「イスカンダルは、本当にあるんだ」と航海への自信を深める。スターシャにとっても、自分が最初にメッセージを届けた相手は、それにふさわしい人々だったと、この航海の成功を確信したに違いない。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2第15話 テレサ、愛の始まり」



変わった人だな、テレサは。───── 真田志郎


あらすじ

 古代らと接触したテレサは白色彗星の情報を彼らに教える。が、テレサはそれ以上の協力を拒絶し、一人残った島にテレザート滅亡の真実を教える。


彗星帝国の銀河突入パーティー

Aパート:テレサとの会見、彗星パーティー
Bパート:テレザートの秘密、ヤマト帰還命令

コメント

 テレサと接触した古代らは湖を割り、枯れた花をも蘇らせるテレサの超能力に驚愕する。この女性にはどうも超能力を使ったスタートレックのルブリケータ(物質複製機)の能力もあるようであり、提供された美味な果物に斎藤らは舌鼓を打つが、一抹の疑問が頭をよぎる。これほどの能力のある女性がどうしてヤマトの上陸作戦を助けてくれなかったのか。が、テレサは自分の能力を戦いのためには使わないと言う。彼女は白色彗星の情報を教え、彼らにテレザートを去るように促す。が、互いに交信を続けてきた島に対してだけは、テレサはその理由を明らかにする。
 テレザートが滅びたのはテレサのせいであった。かつてテレザートは宇宙のオアシス星と言えるほどに発達した文明を持つ星だったが、住民の民度が科学力に追いついていなかった。繁栄の主導権を巡って住民らは互いに諍いを始め、ついには惑星戦争に発展したことを見たテレサは戦いの終結を祈り、その祈りの力でこの星を滅ぼしてしまったのだ。確かに戦いは終わったが、その後には荒涼とした死の大地が残った。その経験から彼女は内戦で目覚めた自分の力を封印したのである。
 テレザート編は5話もあるが、この星の話だけで1シリーズ作れそうな話である。かねがね筆者は彗星帝国の幹部たちがどうしてテレサをひどく恐れるのか疑問に思っていた。その筆頭、おそらく修行時代のズォーダーが何らかの形でこの内戦に関わり、テレサの超能力をその目で見たのかもしれない。それに繁栄していた時代、この異能者テレサがどうやって生活していたかも気になる。今は隠者のような生活をしている彼女だが、別の時代には青春を謳歌し、学校や職場に通い、友人もいて将来への希望を持っていたかもしれないと思わせる話はそれ自体ロマンである。
 テレサとの接触が続く間、ついに銀河に突入した彗星帝国ではデスラーの安否に焦燥するタランをよそに銀河突入パーティーが開かれる。デーニッツが即位以来の大帝の偉業を説明し(ズォーダーはどうやら5代目大帝らしい)、侵略と征服に明け暮れるガトランティスの歴史を説明するが、おそらく被征服民であろう様々な肌の踊り子と彗星帝国が交わった文化に、若き日のズォーダーの活躍を重ね、これもロマン溢れる場面である。このあたりの話、宇宙戦艦ヤマトの外伝としていっそ誰か書いてくれないだろうか。デスラー以前のマゼラン雲の興亡を記した、先ず長田亀吉氏の小説が思い浮かぶが、こういう話を書かせれば、おそらく彼の右に出る者は筆者以外にはいまい。
 テレサが提供した情報により全ての辻褄が合い、迫り来る脅威の存在を認識した防衛軍本部ではヤマトに帰還命令を出すと同時に、防衛体制の整備に取り掛かる。土方はアンドロメダが10隻以上必要とし、防衛軍の大幅な拡充を求めるが、推定される100日後に間に合うかは難しい情勢である。テレサが提供した情報には、どうも彗星帝国の軍備に関するものも多くあったようだ。宇宙戦艦ヤマトの美女はスターシャを初めとしてたいてい理系だが、テレサもその系譜に属する人のようである。オアシス時代の彼女はありそうな神官などではなく、この星の水準でも強力なハイテク機器を使いこなし、遠い白色彗星についても知識があることから、おそらくはテレザートの研究所か大学の研究者、天文学者だったのではないだろうか。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★ 幕間狂言のような話だがやや物足りない。

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