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 宇宙戦艦ヤマト(1974)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2レビュー

 第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」


あらすじ (人類滅亡まで、あと305日)

 ガミラス星のデスラー総統府では、戦線から帰国したドメル将軍にデスラー総統から勲章が授けられた。叙勲の席でドメル将軍は、ヤマトを「ひねりに行く」ことをデスラーに約束する。
 その頃ヤマトでは、古代進がブラックタイガー隊とともに航路パトロールに出ていた。そこでガミラス軍の戦闘機部隊と遭遇。被弾した1機の戦闘機を拿捕し捕虜をヤマトに連れ帰る。敵であるガミラス星人との初遭遇に、身体検査をする佐渡先生の医務室は黒山の人だかりとなった。しかし検査のため衣服を脱がせると、肌の色以外まったく地球人と同じ人間が現われ、その場は騒然となる。その敵の姿に古代は逆上し、医務室に乗り込むとメスを手に取ってガミラスの捕虜に斬り掛かろうとする。古代の心の中にはガミラスに対する強い憎しみがあったのだ・・・

コメント

 全26話しかないヤマトでは、はやここが折り返し地点である。ようやくここで、ヤマトの乗組員たちは初めて、生身のガミラス星人と遭遇することになる。
 前回、暇つぶしで仕掛けた罠を突破されたデスラー総統。ジャングル風呂で保養しているところにドメル将軍帰還の報告があり、謁見して勲章を授ける。ここでドメル将軍からヤマトについて「ひねりに行きましょうか」と持ちかけられたデスラーは「君にもう一つ勲章が増えるだけだが」とあくまで余裕の姿勢を崩さないが、そうはいいながら、ガミラス帝国最強の将軍を投入する辺りに内心の変化が読み取れる。

 銀河系をウロウロしているヤマトの方では、古代進が加藤らブラックタイガー隊と航路パトロールに出ていたが、そこでガミラスの戦闘機部隊と遭遇、戦闘になる。ブラックタイガー隊はガミラスとの圧倒的な科学力の差をものともせず、余裕で彼らを始末するが、被弾したものの撃墜に至らなかった1機を拿捕。加藤は「ガミラス野郎の頭をぶち抜いてやる」と息巻くが、古代はそんな加藤をたしなめ、生きたガミラス人は貴重な資料だと、ヤマトに連れ帰るよう指図した。
 ヤマトの乗組員たちは、この「貴重な資料」に興味津々で、調査のために入れられた医務室のガラス越しに、ガミラス星人の正体が暴かれるのを今か今かと待っていた。会話からわかる、彼らのガミラス星人に対するイメージは、
 ・高い科学力を持っているので、知能が発達している
 ・(脳の容量が大きいという推測から)頭が大きい
 ・でも、獣でしょ
 ・そうでなければ、あんなひどいことはできないはずだ
 というものであった。
 しかし、頭部を覆っていたマスクがはずされ、人間と違わない姿が現れると、一同は驚愕する。呼気の成分も、どうやら地球人とほとんど変わらないようだ。ん? 確か放射能がないと生きていけないのではなかったっけ・・・?と思うが、ここまでの所、まだそういう話は出てきていないようだ。
 この地球人とほとんど変わらない敵の姿に、古代進は顔色を変える。そして捕虜にメスを突きつけるのだが、そこから話は彼の過去へと遡っていく。

 おそらく10年ほど前の、子どもの頃の記憶をたどる後半部では、どう見ても昭和の家族、昭和の宴会風景で今みると少々気恥ずかしいものを感じる。未来には未来的な風景、建物、交通機関が発達しているだろうと想像はするが、家族的な交わりや宴の風景は変わらないと思っていたのだろうか。決してそんなことはないだろう。もちろん制作スタッフは、もっと未来的な家庭、未来的なパーティー風景を描くことだって出来たはずだ。しかし、それよりもこの郷愁をすら感じさせる人々の交わりを描いた。この宴会は戦時中、出征前に家族が催した宴会をなぞらえたものなのだ。それは、第二話にも描かれた「過去の記憶」を呼び覚ますものだ。古代の記憶は、そのまま作り手の過去の記憶につながっている、といってもいいだろう。

 過去の記憶から「命の大切さ」に思い至った古代は、彼のメスを奪って自決しようとしたガミラス捕虜を涙ながらに助ける。そして沖田艦長の「食糧事情を考えると余計な者を乗せておくわけにはいかん」という判断から、捕虜は乗っていた戦闘機で釈放されることになる。沖田は古代に、食糧を持たせてやれ、と言うのだが、果たしてこれは人道的な措置といえるのか、実にモヤモヤするところである。ガミラス星までの距離を考えると(まだ10万光年以上あるだろう)、とても戦闘機単機で無事に帰還できるとは思えないからだ。「ガミラスは科学が発達しているから、きっとあんな小型の戦闘機でも10万光年ぐらい平気でワープとかできるはずだ」と自分に言い聞かせることにした。

ピックアップ 「トラウマ」

 この回では、後半のほとんどの時間を使って、古代進が味わった喪失体験と、そこからくるガミラスへの強い憎しみが描かれる。組織としての使命感とは別に、古代進という人物がどんな思いを持って航海に臨んでいるかを伝える上で、絶対にはずせないエピソードではないかと思う。
 ガミラスの遊星爆弾によって各地に被害が広がりはじめ、人々は地下都市へ避難を始めていた。三浦半島の風光明媚な場所に暮らす古代一家も、兄の守が宇宙戦士訓練学校に入ってすでに2回実戦経験、母や進も避難所で救護活動を手伝うなど、戦禍に巻き込まれつつあった。訓練学校から一時的に帰郷した守を囲む宴会で、自分はのけ者と感じた進はいじけるが、兄の訓練学校入学の進めには気が乗らない様子で、進の内向的で戦いを嫌う姿が印象づけられる。
 そんな彼を変えてしまったのが、ガミラスだった。遊星爆弾がついに進の故郷にも襲いかかり、兄の学校へ遊びに行っていた進の帰りを待っていた両親を吹き飛ばしてしまうのである。

 
 一瞬にして両親を失い、美しい故郷を奪われ、そして数年後にはたった一人の肉親となった兄、守も帰らぬ人となる。そのすべての原因が、はるか宇宙の彼方から襲来する敵、ガミラス星人にあるのだ。そうと知ったとき、捕虜に思わず刃を向けた古代の突飛な行動の理由が腑に落ちるだけでなく、共感すらするかもしれない。彼らも自分たちと同じ人間だった。だからこそ、彼の憎しみは燃え上がったのだろう。
 取り押さえられた古代が落としたメスを、今度は捕虜が拾って自身に向けた。そこで止めに入る古代の行動は一見、矛盾しているように見える。しかし行動ではなく彼の心に目を向けると、トラウマを乗り越えて本来の自分を取り戻すという大きなメッセージが見えてくる。それが、後のヤマトの取るべき指針に昇華されれば良かったのだが・・・。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2第13話 猛攻!テレザート上陸作戦」



ワカラナイ、オマエヤッパリコノ頭ノ方ガイイ。───── アナライザー


あらすじ

 テレザート星に到着したヤマトはテレサとの接触を求めザバイバルの戦車軍団と戦闘を開始する。一方、彗星帝国に召喚されたデスラーはサーベラーの奸計に落ちようとしていた。


安彦良和の美人画には定評がある。

Aパート:テレザート上陸作戦、デスラー召喚
Bパート:ヤマト農園の森雪、ザバイバルとの戦闘

コメント

 アニメの場合、止め絵では美人の美人画も実際に動かすと「?」というものが少なくないが、ヤマト2のテレサは美人である。それもそのはず、この回の作画は安彦良和で、松本零士の原画によりふくよかな線を与え、ある意味松本以上に人間的な線をこのテレサに加えている。パート1のスターシャも安彦だったが、どうもこの監督は美人の出る回には拷問係と同じ名前の絵コンテと決めているようである(作画監督は白土武)。それに引き換え2202のテレサはブス、、いや、多くは語るまい。
 デスラーを危険人物とみなすサーベラーは総参謀長のデーニッツと共謀し彼の処分を目論む。大帝であるズォーダーをたぶらかしての行動だが、デスラー艦隊の離脱により惑星のザバイバル兵団が危機に陥ることを指摘したデーニッツに、やむを得ない犠牲とサーベラーはザバイバルを切り捨てる。安彦なのでこのサーベラーも美人である。  この話は映画のカットも多用されるが、実は上陸してからザバイバルとの戦闘が始まるまでがやや長い。ヤマト農園で花を摘む森雪とか、ヘアースタイルを整える新米とか幕間狂言のような話が続く、佐渡の青春話が聞けるのもこの回が最初で最後である。どうも佐渡は若い頃から酒飲みだったらしい。それと壊滅したテレザートの映像は東日本大震災を知る我々にはアニメとは思えないほど生々しい。


まるで見てきたかのようなテレザートの惨状

 上陸した斎藤が送ってきた「スペシャル番組」で、テレザートがかつては地球以上に進み、繁栄した星であったことを知ったヤマト乗員だが、テレザートでは彗星帝国の面子が少し気になる。特に大帝ズォーダーはテレサとは面識がありそうな口ぶりだが、武者修行の時代に彼は繁栄時代のこの星を訪れたことがあったのではないか。彗星帝国や皇太子時代のズォーダーが以前に何をしていたかはほとんど手がかりがないので、地球以外のこの異星文明の存在は想像の翼をはためかせる契機になる。
 あと、いつも思うのだが、ヤマトの上陸作戦はいつもごく少数の兵団をコスモガンくらいの武装で上陸させ、敵の大戦車軍団や師団単位の兵団と戦わせるのだが、ハリソン・フォードがモデルガンを振り回していた最初のスターウォーズとか、パジャマのような隊員服を着ていたウィリアム・シャトラーの時代のスタートレックならともかく、この辺は少数なら少数らしく、作戦を立てるとか、もう少し本格的な戦いにできないものだろうか。なお、このチープな上陸作戦は実写版にまで引き継がれ、毎度壊される上陸艇など宇宙戦艦ヤマトシリーズの伝統になっている。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★ テレザートの壊滅映像に戦慄、それでも星には着いた。

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