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 宇宙戦艦ヤマト(1974)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2レビュー

 第11話「決断!!ガミラス絶対防衛線突入!!」


あらすじ (人類滅亡まで、あと311日)

 太陽圏を出て航海を続けるヤマトに、ガミラス帝国も注目し始めていた。副総統のヒスはヤマトのこれまでの戦いについて報告する。しかし太陽圏を出た先には「デスラー機雷」が敷設されており、タラン将軍は、この機雷にかかって沈むヤマトを夕食後の座興にと用意したことを説明する。
 機雷の存在に気付いたヤマトは航路を変更するが、やがてそのヤマトを追うように機雷が近づいてくることに気付く。ガミラス科学の粋を尽くしたデスラー機雷と沖田艦長の知謀をめぐらす戦いが始まった!

コメント

ついに太陽系から出たヤマト。ここからイスカンダル星まで、人類の誰もが通ったことのない未知の航路を進んでゆくことになる。冥王星の前線基地を失ったことで、ガミラス帝国でも徐々に注目度が高まってきているヤマトだが、まだ、シュルツに替わる司令官を戦いに送り出すには至っていない。「夕食後の座興に」仕掛けた機雷で葬り去ろうと、まだまだ余裕綽々のガミラス陣営である。
 太陽系を出て最初の「戦い」に遭遇する話だが、そういうわけで、ヤマトが戦う相手はガミラスの「兵器」であって人ではない。科学力に秀でた相手に対して、何をもって対抗していくかというテーマに沿った戦いは、すでに冥王星のシュルツとの戦いで展開されているが、今回は、その背後でこの戦いの成り行きを見つめるデスラー総統がいることが、強く意識されている。

 そんなヤマトの、太陽系脱出後最初の戦い、そしてデスラー自身との最初の対決は、機雷を爆発させない、という消極戦法、主人公の古代進が苦手とする防御戦である。ヤマトを追跡してくる機雷群は次第にヤマトを追い詰め、身動きが取れない状態へと陥っていく。この状態からいかに脱するか、ガミラス側が仕掛けた頭脳戦をいかに見破るか、沖田との知恵比べが本作の見どころである。

  少しずつ感覚を狭めてくる機雷群、制動をかけ、機雷に触れないようにするために船を傾けさせる沖田。派手な戦闘シーンはまったくないが、実に緊迫感あふれる演出と、宇宙空間ならではの意外な発想が、脱出のカタルシスを倍加させている。

 機雷群を脱出することに成功したヤマトに「祝電を打て」というデスラーは、まだまだ余裕綽々である。笑い声を挙げる取り巻きの高官たちと調子を合わせて、おそるおそる笑い出すヒスの表情がなんともいえない。冒頭の冷酷無比なデスラーを目の当たりにしたゆえの複雑な感情。デスラーを取り巻く人々の、こうした微妙な心理描写も、本作のかくれた見どころといえよう。  そしてラストに、デスラーと沖田は互いの存在を確かめ合う。太陽系を出て大マゼランへ向かう旅は、敵を知ることから始まろうとしている。



ピックアップ 「役割分担」

 30数年前を振り返ってみて、ヤマトの世界で新鮮だったことの一つに、乗組員の「役割分担」がある。戦闘班、航海班、通信班、工作班、生活班といった役割分担は、長い航海の中でのそれぞれの果たすべき役割があることを子どもにも分かりやすく示すもので、画期的であった。

 11話でのヤマトは、波動砲も撃たず、ワープもしない。イスカンダルから供与された「超」科学の使用を封じ、それどころかヤマトの航行まで封じた中での戦いを強いられる。そんなこともあって、この話では操縦する島と機関を動かす徳川、そして工作班の真田とアナライザーの「戦い」にスポットが当てられる。  第一艦橋で指示をすることもある徳川だが、その主戦場はヤマトの機関室である。機雷群の動きにあわせて、ヤマトに制動をかけたり、補助エンジンを動かしたり、と島の操艦にあわせて働く徳川らだが、機関室ではヤマトの外の状況が分からないので、「今日は何をやっているのか、エンジンのテストか?」とつぶやくところが面白い。第一艦橋の沖田や島の指揮によって動く彼らにとって、彼らへの信頼こそが、この離れた場をつなぐパイプである。
 恐らくヤマト艦内で一、二を争う激務であろう航海班班長の島。自動操縦システムはあるようだが交代要員は見当たらず、「いつ休んでいるのか」という状態であるが、11話では古代に替わって苦闘を演じる。  佐渡先生に酒を飲まされ酔っぱらったアナライザーが、真田とともに活躍するのもこの話である。ヤマトの各班をまたがって様々な分野で活躍しているが、恐らく彼の能力を一番上手く引き出すことができるのは真田であろう(一方、馬鹿力を発揮させることができるのは、森雪である)。

 11話では、沖田艦長の指示のもと、各キャラクターがそれぞれの役割分担において持てる力を発揮している。デスラーは祝電で「ヤマト諸君の検討を讃える」と伝えているが、機雷群をかわすというこの戦いが、沖田の知謀だけでなく、ヤマトクルーのチームワークによってなされたことを理解してこその賞賛であろう。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2第11話 復讐の鬼、デスラー総統」



たとえ死者でも蘇らすことができます。───── サーベラー


あらすじ

 ゴーランドが戦死し、ヤマトに挑戦状を叩きつけたデスラー総統は宇宙ボタルを使ってヤマトを戦闘不能に陥れ、バンデベルの戦闘空母を攻撃に差し向ける。デスラー編2話構成の前半。


蘇生手術を受けるデスラー

Aパート:回想シーン、宇宙ボタル
Bパート:デスラー蘇生シーン、バンデベルの襲撃

コメント

 話の半分が回想シーンとデスラー復活の事情で占められる11話だが、前作で自ら放ったデスラー砲の藻屑となったデスラーは通りがかった彗星帝国の攻撃機に収容され蘇生手術を施されて復活している。確か前作ではデスラーが決戦を挑んだのは地球近郊のはずである。当時の地球はまだ放射能汚染されており、彗星帝国が関心を持つ星ではなかったが、とにかく攻撃機デスバテータは地球近郊に来ていた。あのまま小艦隊を派遣すれば地球制圧も可能だったろう。
 ヤマト2の1話ではズォーダーが赤い地球に関心を払った様子は見られず、この辺、話に矛盾が見られる。実はズォーダーの関心は地球そのものではなく、干上がり赤茶けた死の星をわずか1年で蘇生させるイスカンダルの超技術「コスモクリーナーD」ではなかっただろうか。しかし、以降の話でこの装置に触れられることは金輪際なかったので、これはたぶん、制作者が設定を忘れたか、思い切って無視してしまったことにあるのかもしれない。
 ヤマトの制作体制というのは資金を集め自らもメガホンを取る総監督の西崎氏による徹底したトップダウンで、これにはストーリー性の高さや演出へのこだわり、議論のある問題を扱えるメリットもあり、ヤマトは代表的な成功作だが、それゆえの欠点もある。他人に任せることのできないこの人物の場合、前作以上に複雑になったストーリーと積み重なった設定について行けなかったのではなかろうか。いわば少年ジャンプのマンガのようなもので、プロデューサは常に意外性を求めるが、ストーリーを揃えて並べてみるとかなりの矛盾があるという、ヤマトに限らず他の作品にも往々にして見られた問題が顕在化してくる。
 スタートレックはこの問題を脚本や演出に関わる人間を増やし、システム化することで解決したが、これは日本アニメではついぞ見られなかった制作態度であった。決算四半期ごとにクールを切る日本独特のクール制も作品の質を高めることには寄与しなかった。
 仕事の質を高める方法は各々のスタッフに適する処を決め、個々に分野を極めていくシステム・エンジニアリングの方法によるしかない。ドイツ人のユンカースが航空機の設計に創案した方法だが、日本の場合はどうも経営者に意識が根付いておらず、せっかくのスタッフやノウハウがムダになってしまうケースが往々にして見られる。ヤマトはその興行収益や制作の安定性からその入口に辿り着いた作品であった。それは成功しかけたが、やはり経営者の限界がシステムの限界を画してしまった。
 それでもやはりガミラスが出てくると安心感がある。流浪の総統に忠節を尽くすガミラス軍人たちは戦国ドラマの定番、弱小大名ゆえ信長や秀吉の膝下にあった徳川家康と彼に尽くす三河衆のようでもあり、彗星帝国とは一味違う作戦と流浪の屈辱に耐える姿はこれぞヤマトの好敵手といった感じで好感が持てる。が、デスラーが用いる戦術はかつての彼の部下であったドメルが用いそうなものであり、「デスラー戦法(最初に実行したのはドメル)」のようにアイディアまで創案者違いの例もあるので、やっぱりプロデューサの健忘症は人気作であったこの作品に一抹の不安を感じさせる。
 宇宙ボタルで航行不能になったヤマトにデスラーはバンデベルの戦艦空母を送る、もちろんこんな将軍にヤマトのトドメを刺させる気はハナからなく、バンデベルはかませ犬だが、そんなことはこの総統はとうにお見通しなのだ。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★★ デスラーの心理戦術は見事。

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