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 宇宙戦艦ヤマト(1974)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2レビュー

 第10話「さらば太陽圏!銀河より愛をこめて!!」


あらすじ (人類滅亡まで、あと315日)

 いよいよ太陽系から出ようとするヤマトへ、地球防衛軍司令長官の藤堂から最後の通信が入る。藤堂は地球の窮状を彼らに伝え、ヤマトが遠くに離れていくにつれ、地球の人々がヤマトの帰還に絶望的になっていることを知らせる。しかしその通信は途中で途切れてしまう。大ワープ敢行の前に決意を新たにする必要性を感じた沖田艦長は、ヤマトの乗組員全員に、地球で待つ家族への通信を許可。家族の口から伝えられる地球の現状を胸に、使命感を燃え立たせようとするのだった。
 通信室に、順に入っていき家族と交信する乗組員たち。しかし古代はあてもなく、艦内を彷徨う。その先で彼は、同じように落ち着きなく歩き回る沖田の姿を目撃する。

コメント

 太陽系内からガミラスの艦隊を駆逐したヤマト。いよいよ外宇宙へと旅立って行くその前に、もう一度地球の惨状を思い出させ、使命感も新たに、地球への別れを告げる重要な一話である。ことに、地球の人々の姿については、ヤマト乗組員の出発前のパレードで手を振る姿が描かれたのみであったから、その暮らしぶりを私たちは初めて直接彼らの口から聞くことになる。

  太陽系から出立するヤマトに、司令長官の藤堂は地球の惨状を見せていう。地球の人々は希望を持ってヤマトを見送ったが、情報が途絶えるにつれ、ヤマトはもう地球のことを忘れているのではないか、地球に戻ってこないのではないか、と不安になっていると。沖田艦長は乗組員全員に5分ずつの時間を与え、地球にいる家族と通信して彼らに「必ず帰ってくる」ことを伝えるよう命じた。
 地球が滅亡寸前の状態にあることは、毎回冒頭で描かれているが、乗組員とその家族という私的な関係の中で語られる彼らの経験には、身につまされるものがある。島大介は、年の離れた幼い弟から、3人の友達が放射能が原因の病気で死んだことを聞く。散らかった部屋の様子に小言をいう徳川は、かわいい孫の様子に笑顔を見せるが、通信が切れかけると「まだ伝えていないことがある」と涙を見せる。母親から、いきなりお見合い写真を見せつけられた森雪は、若者が次の世代の子どもを産み育ててくれなければ希望はない、という現実を知り涙ぐむ。一人ひとりが、その人間的なつながりを通して知る地球の現状は、ただプロモーション的に見せられる映像とは違った重さを持って、私たちに語りかけてくるものを持っている。

 そのように、家族を通して思いを新たにする多くの乗組員と、強いコントラストを持って描かれるのが主人公の古代進、そして沖田十三の姿である。乗組員たちが、通信室の前で行列を作って順を待つ間、二人はそれぞれに、調理場や人気のない第一艦橋、機関室などをうろつき回り、不審がられる。とうとう最後の一人になって、しぶしぶ古代は通信室に入るが、誰とも交信せずにそこにたたずむ古代の姿を見て、森雪ははじめて「もう一つの現実」に気付いて涙するのであった。

  ストーリーは、宇宙戦艦ヤマトそのものの姿と性能、そして遊星爆弾発射を阻止するガミラス冥王星基地の殲滅という二つの大きなうねりから一転し、後ろを振り返り、乗組員の心のひだを描く繊細さをもって描かれる。このストーリーの本当の主役は誰か、地球に希望をもたらすのはこの船に乗る一人ひとりであることを強く印象づけられる一話である。そして私たちは、この船を動かしているのは、単にイスカンダルからもたらされた波動エンジンだけでなく、そこに乗り合わせている一人ひとりの思いであることを知るのだ。


ピックアップ 「艦長室」

 船や艦艇の指揮官の居室である船長室・館長室は帆船時代の古くから、長い間船尾・艦尾に置かれていた。ヤマトの原型である戦艦大和の館長室は、上甲板の右舷にあったという。しかし、宇宙戦艦ヤマトの館長室は第一艦橋のさらに上、ヤマトの船の最も高いところにある。第一艦橋とはエレベーター(というより昇降機)でつながっており、艦長は椅子に腰掛けたまま、第一艦橋と館長室の間を行き来できるようになっている。
 しかし、特筆すべきはこの艦長室の天井が、ドーム型のガラス張りになっていることであろう。ヤマトという船の天辺で、艦長は壮大な宇宙の光景を見晴るかしながら、この航海を続けることができるのだ。 そしてまた、ここは艦長の居室であり、彼の思いの詰まった場所でもある。引き出しに、ガミラスとの戦いで命を落としたであろう息子の写真が入っている。指揮官である沖田が、過去を振り返り、感傷にふけり、感情をあらわすことのできる唯一の場所なのだ。地球と乗組員との交信の間、沖田は行く場のない古代が、この場所を訪れることを願っていた。彼もまた、家族を失い天涯孤独の身となった者の辛さ、悲しみを知る者だったからである。
 古代は、そんな沖田の待つ艦長室をついに訪れ、沖田は古代と酒を酌み交わす。別れを告げる家族のいない沖田は、古代とともに立ち上がって、艦長室から、今はもう見えない地球に向かって「さようなら〜」と言いながら手を振る。カメラがひいて、艦長室のガラスごしに手を振る二人を天辺に頂いたヤマトが、宇宙を旅する全景が映し出される。そのときわかるのだ、ヤマトはまさに、あの艦長室にいる者の「思い」を指針に旅しているのだと。
 沖田が自分の代理、また後継者として古代進を指名するのはまだ先の話だが、艦長室はそうしたドラマのための、重要な舞台の一つなのだ。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2第10話 危機突破!吠えろ波動砲」



そう、やはり事態はかなり悪化してるの、、───── 倉田知世


あらすじ

 テレザート星近郊に達したヤマトは大流星帯に進路を阻まれる。一方、デスタールの前衛艦隊を殲滅されたゴーランドは恐竜惑星で憂さ晴らしをした後、ヤマト撃破に出撃する。


恐竜惑星で狩りをするゴーランド

Aパート:恐竜惑星、倉田一家のエピソード
Bパート:流星隊突入、ゴーランド艦隊全滅

コメント

 恐竜ハンティングにかこつけて惑星まで破壊してしまうゴーランドに彗星帝国の残忍さを見るが、タイトルからしてこれはこの男が波動砲の餌食になる話なので、テレビの悪役としてはそれらしい演出と言える。とにかくヤマトが波動砲を対人兵器として用いたのはこれが最初である。後のアンドロメダは緒戦から拡散波動砲を敵艦隊に浴びせようとするが、どうも前話あたりから作品の制作姿勢が変わったような感じである。あの状況でどうやって乗り込んだのかと思うが、新乗組員の新米が登場する。それにデスラーによるとヤマトの新乗組員は実はかなり多いらしい。どうも設定のいくつかも再設定されたようだ。
 ヤマトにより彗星帝国の全貌が徐々に明らかになってきたことから厳戒態勢に入る防衛軍だが、新婚旅行を邪魔される倉田一家の話では宇宙の争乱が徐々に一般市民の生活に暗い影を落としつつある様子が描かれている。こういうエピソードは2199では皆無だったし、映画「星巡る方舟」でもヤマトと防衛軍以外の市民は空間騎兵隊に鎮圧される暴徒か、むらかわみちおのマンガに描かれるような左派運動家でしかなく、こういう描写にストーリーテラーの腕の差を思い知らされる。
 今話はヤマト2で初めての真田活躍回でもあり、アステロイド・リングで真田が掻き集めた波動エネルギーにより、バキューム鉱石の流星帯でフラフラになったヤマトを破滅ミサイルで殲滅するというゴーランドの作戦は作戦倒れに終わり、ゴーランドは波動砲の露と消える。が、彼の死はデスラーにとっては前座の露払いにすぎず、デスラーは堂々とヤマトに挑戦状を叩きつける。
 8話で筆者は彗星帝国のおよその戦略とガミラスとの違いを説明したが、10話は制作サイドでもヤマトを巡る状況を一度整理した感じである。ガミラスとガトランティスは肌の色以外はあまり違わないので、後に袂を分かつデスラーとガトランティスの間には互いに相容れない、何か根本的な違いがあるはずだとスタッフの間でもかなり議論したのだろう。国ぐるみで戦闘に特化した彗星帝国よりは、ガミラス(現在は流兵集団)は星間国家としてもう少しバランスの取れた帝国であった。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★ 前話までの話との整合性に問題、恐竜惑星やアステロイド・リングはユニーク。

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