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 宇宙戦艦ヤマト(1974)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2レビュー

 第7話「ヤマト沈没!!運命の要塞攻略戦!!」


あらすじ (人類滅亡まで、あと356日)

 ヤマトは冥王星の周辺を航行していた。古代らは、冥王星のガミラス基地から地球へ向かって遊星爆弾が飛翔していくのを目の当たりにし、これ以上地球が遊星爆弾の攻撃に脅かされることがないように、冥王星基地を叩くことを提案する。沖田艦長もそれに同意するが、惑星の環境を破壊してはならないと、波動砲は使わないことを明言した。
 一方ガミラス基地では、シュルツ司令がヤマトを撃破しようと、最終兵器「反射衛星砲」による攻撃を企てていた。

コメント

 波動砲という超強力な最終兵器を披露したと思ったら、たちまち、その使用を制限してしまう。実に製作陣の姿勢はストイックだが、この手のストーリーは、小規模な戦いからだんだんと大規模な戦いへとエスカレートしていくのが定石ともいえる。敵が現れたら波動砲をぶっ放して終わり、なんていう子ども騙しの作話はしないよ、という一つの宣言と言うべきだろう。6話からの流れは、その意味で非常に重要である。
 一方のガミラス側は、波動砲ほどではないが強大な威力を持つ「反射衛星砲」によってヤマトを撃沈しようと企てる。冥王星基地のシュルツ司令はこれまで、宇宙空母を撃破され、超巨大ミサイルも撃ち落とされ、木星の浮遊大陸基地は大陸ごと吹き飛ばされるなど、ヤマト登場後は圧倒的な科学力もどこへやら、いいところナシの体たらくである。デスラー総督には「勝利の報告しか聞きたくない」と突き放されている。ここで何とか一発逆転を果たそうと、彼らにとっての最終兵器を持ち出したのである。

 シュルツは艦隊でヤマトを迎撃し、反射衛星砲の射程圏内へと誘い込むことに成功する。そしてミサイルの攻撃によって損傷したヤマトに直撃を食らわし、エンジンを損傷したヤマトは、ロケットアンカーを冥王星の衛星に打ち込んで、なんとか冥王星へ墜落するのを防ぐのだった。停泊した場所は敵基地の視覚になっていたが、ここで「反射衛星砲」の本領発揮。ヤマトはさらなる危機に陥ることになる。

 零下200度の凍てついた世界でありながら陸地や海のある風景はあまり地球と変わらず、衛星に向かってロケットアンカーを打ち込み場面では「どんだけ長いねん!」とツッコミを入れたくなるが、それにしても、ヤマトを迎え撃つガミラス、そして一転ピンチに陥るヤマト、双方の作戦、対策のアイデアの豊富さと自由奔放さが楽しい話である。今はやれ「科学考証が」だの「設定に矛盾が」だのと重箱の隅をつついてそれを正し、「理論的、論理的に正しい」話を作ろうとしがちである。しかし、枝葉末節にこだわったところで、ストーリーが面白くなるとは限らない。SFにおける設定や科学「的」考証は、ストーリーに奉仕するもので、その逆ではない。設定や科学考証からストーリーが生まれるワケではないのだ。
 第7話のラストで、ヤマトは冥王星の「海」へずぶずぶと沈んでいく。「またも海の藻屑となる運命を繰り返すのか」。そのナレーションの言葉に、製作者の思いが伺える。「またも海の藻屑」になるためには、冥王星に海がなければならないのだ。理由はそれで十分ではないか。


ピックアップ 「ヤマトの武器」

 ここまでに、ヤマトの武器で使われたもののうち、名前がはっきりしているのは「主砲」と「波動砲」ぐらいであった。「波動砲」の使用を自ら禁じた第7話は、ヤマトのそれ以外の武器が登場し活躍を見せる、武器紹介の楽しい話でもある。  古代が自ら発射する「ショックカノン」。発射映像を見ると、これは主砲の別名のようである。数条のビームがねじれながら進んでゆく、という特徴がある。直撃すると、ガミラス艦は一撃で爆破された。かなり強力な武器であることがわかる。
 ガミラスが冥王星基地から発射した多数のミサイルを迎撃するために使用された「空対空迎撃ミサイル」。こちらは実弾兵器である。空中で破裂して編み目のように光芒が広がり、次々に引っ掛かったミサイルが爆発していった。
 同じく、ミサイル迎撃のためにしようされた「パルスレーザー」。こちらは射撃するタイプで、空対空迎撃ミサイルの「編み目」をすり抜けたミサイルを射撃。ミサイルの表面にミシン目のような穴をあけ、破裂爆発させるなど、見た目は線が細いがかなりの威力を発揮する武器のようである。
 これらの武器の使用に先立って、艦載機の「ブラックタイガー」隊が出撃し交戦していたが、発射前に、古代の指示で戦闘空域から退避する場面が印象的である。沖田艦長は戦いの前に「ヤマトはできるだけ戦いを避けてイスカンダルを目指す」と明言しているが、このような戦闘場面を見るにつけ、本格的な描写に胸躍らせた少年たちも少なくなかっただろう。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2第7話 逆襲!姿なき潜宙艦」



仲間には指一本触れさせないぞ!───── 斎藤始


あらすじ

 ヤマトとの初の交戦で惨敗したナスカにサーベラーら彗星帝国の幹部は呆れ果てる。逆襲を望むナスカは潜宙艦でヤマトに特攻を掛けるが、ヤマトでは途中乗り込んだ空間騎兵隊の面子が艦内でトラブルを引き起こしていた。


各所に酒のある彗星要塞

Aパート:空間騎兵隊、サーベラーの怒り
Bパート:潜宙艦の襲撃、ヤマト乗員対空間騎兵隊

コメント

 天井都市での戦いでヒスがデスラーに差し出したのは「つまらぬ飲み物」だったが、どうも彗星帝国では昼間から飲酒が普通のようである。ナスカの敗北に怒り心頭に発したサーベラーは強い酒を煽るが、バーにはすでに先客がいて、ズォーダーが支配庁長官の飲みっぷりを誉める。いずれにしろ、赤ら顔のサーベラーに譴責されたナスカは決死の潜宙艦攻撃を試みる。隠密しての金星基地の破壊など、ナスカは実はこちらの方が本職かもしれない。「死して屍拾う者なし」、戦死してもカットのない彼は彗星帝国の隠密同心である。
 彗星帝国というのは本国の彗星要塞という常に移動している本隊が最大戦力で、その周辺に大艦隊があり、常に戦争しているような軍事集団である。侵略以外の国家目的はないと言って良いほどで、その攻撃は常に彗星も含む全軍攻撃である。戦略も優れていて、すでに第1話の段階で前衛艦隊や基地が地球周辺の恒星系に設営され、11番惑星への攻撃はその詰めの一手であった。つまり、宣戦布告などなくても彼らはいきなりやってきて、気づいた時にはすでに総攻撃を受けて為す術もなくなっているのだ。地球上でこのような帝国はといえばモンゴル帝国くらいだが、この帝国も中国に定住するようになってからは皇帝親征の外征などはしなくなっている。
 ズォーダーとサーベラーがバー(70年代昭和調)で飲んだくれている間にナスカ艦隊が全滅し、報告に来たラーゼラーも酒盛りに加わる。思うにこの帝国の場合、上のような事情から彗星本体も常に臨戦態勢で、頂点たる大帝も公務と私生活の区別があまり確然としていないのではないか、つまり、後に行われる酒席や宴会など時宜に応じてのもので、他の勢力では眉をひそめられる昼間飲酒もこの帝国では日常の一部なのだ。宇宙戦艦ヤマトに登場する諸勢力の中でも特にユニークな彗星帝国の一断面である。とにかくこの話では大帝は酒を飲んでいただけであった。  彗星の話が長くなったが、この話のメインは空間騎兵隊である。最近は自衛隊も演習がてらコンビニでおにぎりを調達しているという話だが、一見頼もしいこの陸戦隊も実は実戦経験を欠く訓練ヲタクの集団である。最初の戦闘で敗れ、それをヤマトに救難してもらった無念さから隊員らはヤマト乗員と衝突を繰り返し、ナスカとの戦いの後、一触即発の危機に発展する。ヤマトのような戦いらしい戦いもせずに多くの部下を失ったことに、隊長の斎藤は悔恨を感じていた。
 「戦いの後、これで良いのかと、、」、漠然とした不安から先走ったとさえ自身でも思っていたヤマト発進が実は適切な判断で、11番惑星の後、本当に彗星帝国との戦闘に巻き込まれていることを感じた古代は一抹の不安を覚える。彼らの目的である「メッセージの謎を探る」には、戦闘は予期されたものではあっても不可欠なものではなかった。予想できる最悪の方向性に艦も地球も導かれていることに、古代は気負いを感じ、斎藤を叱責して気を引き締める。
 映画では斎藤は最初からヤマトに乗り組んでいるので、映画での斎藤のポジションはやはり為す術もなく自艦を撃破された土方(映画ではヤマト艦長)が担っている。都市要塞との戦闘で致命傷を負い、息を引き取る間際の彼の言葉は「生きて生き恥を晒していた私も、、」であった。2年前に戦艦ヤマトは地球を救うために旅立ったが、地球にはやはり戦う気概がありながらも乗員に選ばれず、残された多くの人々がいたこと、彼もその一人だったことを感じさせる一コマである。土方は古代と殴り合いを演じた斎藤と異なり失点を帳消しにするほどの活躍で彗星要塞と艦隊を壊滅に追いやるが、やはり最初の敗北はこの人物に大きな影を落としていた。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★ ヤマトがイスカンダルに向かった後の地球軍はどうだったのか、会話に不自然な点があり、話の辻褄にやや疑問を感じる話。

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