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 宇宙戦艦ヤマト(1974)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2レビュー

 第3話「ヤマト発進!!29万6千光年への挑戦!!」


あらすじ (人類滅亡まで、あと363日)

 始動した宇宙戦艦ヤマトを撃破しようと、ガミラスは冥王星基地から超巨大ミサイルを発射する。そのころ地球では、沖田艦長によるヤマト航海計画の説明が行われ、乗組員は地下都市をパレードして多くの市民に見送られつつヤマトに乗船する。沖田は航海の危険性について語り、乗艦拒否も受け入れる姿勢を示したが、ヤマトには全員が乗艦した。  巨大ミサイルを感知した地球防衛軍司令部は、ヤマトに撃破を命じる。沖田艦長の命令で、島大介は波動エンジンを始動させようとするが…。

コメント

 第2話でようやく姿を現した宇宙戦艦ヤマト。第3話では、その全容が明らかにされる。まずは、主要な乗組員とその計画。沖田が全乗組員を召集して説明した後、パレードの間に、船に乗り組むかどうか考える猶予を与えているのが印象的だ。パレードの最中に、見物客から「おまえたちだけ逃げるんだろう」と怒号が飛ぶ。また島が弟と、森雪が両親と別れを惜しむ場面があるが、本当に無事に戻って来れるかどうかも分からない、無謀な計画に賭けるしかない悲壮感が伝わる重要なパートである。と同時に、ヤマトの乗組員たちが、人類の存亡という大きな使命を背負い、多くの人の希望を負って旅立つのだということを強く印象づける場面であろう。

 周到なガミラスは、ヤマトを発進させまいと冥王星基地から巨大ミサイルを発射する。ヤマトでは、沖田艦長が古代と島を引き連れて、艦内を案内してくれ、長距離航海を可能にする設備の数々を私たちに見せてくれる。光速以上の速さを持つタキオン粒子の働きによって、光よりも速く航行できるという、波動エンジン。同じくタキオン粒子の力を使った強力な最終兵器、波動砲。乗員のレクリエーションのためのリゾートルーム、何でも造れる真田の工場や艦載機の格納庫など。沖田は、必ず以前の大和ではその場所が何に使われていたか、も説明している。大和であっても同じではない、ということを強く印象づける言葉である。

もう一つ、第3話で明確になるのが、古代進の沖田に対する屈折した感情である。島に対して「俺には沖田艦長の冷たさが気に入らないんだ!」とはっきり、その思いを口にする。のみならず、「兄さんの一人も救えなかった人が、地球の危機を救えると思いますか?」と、その疑問を、沖田をよく知る機関長の徳川に投げかける。
 第一艦橋で艦長席に座る沖田と、戦闘班長の古代進。そんな二人の間にある軋轢、とりわけ古代の心にある、このわだかまりが、これからの航海の中でどのようなドラマとなってゆくのか、それも気になるところである。ただ古代だけではなく、沖田にとっても古代のぶつけた疑問、兄さえ救えなかった人が、地球の危機を救えるのか、という大きな課題が提示されている。  

 演出面では、特に波動エンジン始動の場面での「間」の使い方に目が留まった。焦る島、黙して語らない沖田。この「間」が、見るものに何ともいえない焦燥感とワクワク感とを喚起させ、エンジン始動から発進までの興奮を増幅させている。ハイライトとなるべき場面を、見事に盛り上げてくれる演出もまた、見どころの一つである。


ピックアップ 「過去の払拭」

 沖田艦長がヤマトの艦内を案内する場面で、とりわけ印象的なのが、波動砲について古代と島に説明する場面である。二人は波動砲の発射口に立ち、荒涼とした地表の様子を見ながら沖田の説明を聞いている。そこで、不意に戦艦大和の砲撃シーンが挿入されるのだ。  ガミラスの巨大ミサイルがヤマトを狙って発射されたことを知っているこちらは、早く迎撃態勢を取らないと、とやきもきしてしまう。なぜ、ここで戦艦大和の追想が必要だったのだろうか。第2話で、その悲劇的な最期が語られたことは、しっかりと心に残っている。その同じ場面を見て、「このままでは、この希望の船がやられてしまう」と思うだろう。戦艦大和に託された最後の希望は潰えた。新生したヤマトは、旅立つ前に、その過去を払拭していく必要があったのだ。だからこそ、悲劇的な最期をもう一度思い起こさせつつ、かつて日本を救うことの出来なかったその主砲で、自らを狙う巨大ミサイルを撃破して、この先にある希望へと向かって、旅立ってゆくのだ。
 赤さびた戦艦大和が、その過去をぬぐい去って、「宇宙戦艦ヤマト」へと生まれ変わる。それは、ただ地中に埋もれていた戦艦が姿を現し、飛び立っていくだけではなし得なかった。ヤマトの主砲が吹き飛ばしたもの、それは過去の歴史の残影だったのだ。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2第3話 地球の危機に起て、ヤマト!」



わしも行かせてもらうぞ、古代。───── 徳川彦左衛門


あらすじ

 ナスカ艦隊の攻撃に金星に調査に向かう戦艦アンドロメダ、一方古代と真田はメッセージの解読に成功し、防衛会議に資料を提出したが防衛会議のメンバーはそれを一蹴する。連邦政府が動かないことを見た古代はヤマトでメッセージの謎を解明することを計画する。


デスラーの副官タラン

Aパート:メッセージ解読、防衛会議
Bパート:古代地下都市に行く、ガミラス艦隊集結

コメント

 ヤマト2の2〜3話は同シリーズで一番難解な話と先に書いたが、不確かなメッセージを動機に戦艦まで強奪して出撃しようとする古代とヤマト乗員の行動は「軍人としてありえない」と昨今では無視されるか、なかったことにされる場面の代表格である。ヤマト2199などはこの古代の行動へのアレルギーからでっち上げられた作品と言えなくもないほどにこの描写は強烈で、ある意味、宇宙戦艦ヤマトという作品の本質を考えさせる話である。このあたりの話をきちんと見れないと2199のようにシリーズ全体を見損なうことになるほどの重要な話である。
 メッセージを解読し、防衛会議に提出した古代は防衛軍幹部の退嬰的な態度に呆れ果てる。調査の必要さえ認めず、接近する彗星など波動砲で粉砕すれば良いとする幹部たちだが、先に攻撃を受けた上、解読したメッセージの内容は明らかに遠い宇宙で何者かが武力攻撃をしていることを示唆するものだった。が、描写は「地球は宇宙の平和を守るリーダー」などと古代が言い出すに及んでやや難解になる。その後の行動を見ると、古代らの関心はあくまでも地球の防衛であって、遠い星の宇宙人をヤマトが救援し、守ることではなかったはずである。現に到着したテレザートでも、ヤマトはテレサを救出もせず、白色彗星とも対峙せずにそのまま帰還している。つまり、以降の古代らの行動は「(宇宙の状況に)無関心は許されない」というインテリジェンスと若者らしいその直截的な発露であって、反乱などといえるものではそもそもなかった。怒りは防衛会議の幹部らの怠慢に向けられていたのであり、地球政府やその社会に向けられていたものではなかったのである。
 この時点での彼らの動機は威力偵察であった。その後の行動もそうであるが、それだけならば防衛軍長官の裁量でもできそうな話である。それさえ認められないので彼らは個々の持ち場を離れてヤマトに集うことになるのである。2年前に地球を救うために選ばれた彼らはイスカンダルに向かうという目的のために結集した、軍人という範疇に収まらない「真の兄弟たち」であった。
 なお、劇場版ではこの場面に加え、長官がヤマトの廃艦を告げ、古代らを各々辺境に赴任するよう命令する場面が加えられる。正論を言った彼らに対し防衛軍の幹部が応じたやり方は冷酷な権力の行使であった。が、パート2のヤマトは現役艦として改造されているので廃艦などというもったいないことはしていない。古代らも左遷されていない。このあたりの扱いの違いが劇場版とTV版の制作の合間にどういう議論を経たものかは興味深い。
 宇宙戦艦ヤマトという物語を戯曲化するならば、この周辺の話とパート1における彼らのありようを無視しては通れない。この物語に軍隊的価値観を持ち込むことがいかに愚劣か、軍規を盾に取って「反乱はありえない」とする一部視聴者の批判は、憲法9条を盾に取り「我が国には関係ない」として溢れる難民や被災するアジアの民を無視し続けてきた当時の一部国民や政治家のようであり、あるいは原発事故にも関わる、無責任というキーワードで括ることのできる、実は同じものである。が、この物語の制作者が描こうとしていた群像は、実はそういう愚劣で安直な人間たちの姿ではなかったのである。
 個人的に安堵するのはラスト付近のガミラス艦隊集結の場面、劇場版ではデスラーとタラン以外全滅していたガミラス軍の将校があの緑地にストライプの軍服を纏って揃い踏みする姿はこの作品が「宇宙戦艦ヤマト」の後継作であることを示すものであり、筆者の見方では「ヤマト2」はこの描写によって「さらば宇宙戦艦ヤマト」を超える作品になり、変化の激しい時代においては一過性のヒット作ではない、不朽の名作への第一歩を踏み出したといえる名場面である。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★★ この話を解読できなければ2202は作る意味なし。

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